ヤマダ電機がテックランド レミィ町田店をオープン 250坪でもボリューム感とセット購入に注力した展示を実現


現在、家電住まいる館を全国で展開しているヤマダ電機がテックランドフォーマットのレミィ町田店を移転オープンした。単独の郊外店だった旧店舗から新店は商業施設へのインショップという形に変わった。売り場面積からすると小型店舗という位置づけになるが、小型店ならではのお客との距離感の近さを武器に運営していく方針だ。

レミィ町田は商業施設と公共施設からなる複合型施設

ヤマダ電機のテックランド レミィ町田店は4月27日にオープン。立地はJR町田駅北口から徒歩で2分ほどのレミィ町田店で、2階にインショップとしてオープンした。

ヤマダ電機が入るレミィ町田。JR町田駅からはペデストリアンデッキを歩いて徒歩2分ほどの立地

レミィ町田店は4月1日に、109MACHIDAから名称を変更し、合わせて店舗のリニューアルも行った商業施設だ。109は、渋谷を発祥として、若い女性を対象に一時期は女子中高生のファッションの聖地として人気を博した商業施設。この渋谷の成功で地方にも出店をしてきたが、近年では集客力に陰りが見え、現在、109を店舗に付けているのは渋谷店のみとなっている。

109MACHIDAからレミィ町田への業態変更は、若い層の女性客だけでなく、より幅広い層の集客を狙うと施設を運営する東急モールズデベロップメントでは、そのコンセプトを発表している。ちなみにレミィ町田は地下1階~地上5階までの6フロアだが、上層階の6~8階は町田市生涯学習センターとして視聴覚室や学習室、ホールなどが館内に入っており、商業施設と市民のための公共施設が一体化した複合施設だ。

レミィ町田のエントランス部。上層階には生涯学習センターやまちだ中央公民館が入っており、中高年も多く訪れる

売り場面積は減少したが、展示の工夫で品揃えは充実を維持

テックランド レミィ町田店の売り場面積は約250坪で、従業員は約20名。宇野玲司店長は旧店舗であるテックランド町田本店で、約4年間店長を務め、今回の移転に伴い、レミィ町田店の店長に就任した。「移転オープンで家電の売り場は約1/3に減りましたが、品揃えとしてはお客様が必要とするアイテムを削ることなく充実させています」と宇野店長は話す。

移転前の旧店舗である町田本店でも店長を務めていた宇野玲司店長。商圏は熟知している

また、旧店舗からのお客の継続についても宇野店長は「旧店舗で移転をお伝えしたら、当店の上層階のセンターを利用しているお客様が多く、お客様の継続についても特に不安はありません」という。さらに、「当店の1階には若い女性のお客様向けのショップがテナントとして入っているので、お客様の層は広がるのではないか」と期待している。

確かに単独店が客層を広げようとしても、自店の取り組みだけでは、なかなかうまくはいかない。しかし、複合施設であれば、他のテナントからの流入が期待できる。集客において、複合施設のメリットはそこにあるといえよう。

売り場は携帯電話関係、テレビ、PCやオーディオとレコーダー類のデジタル家電、生活・季節家電、洗濯機と冷蔵庫という6つの大きなブロックに分かれている。売り場効率を上げるために什器は背が高く、棚下在庫も含めてボリューム感のある展示となっており、品揃えの不足感は一切感じられない。

テックランド レミィ町田店のエントランス部。「安心接客宣言」のパネルを置いて、親切丁寧な対応を訴求する
携帯コーナーではSIMと端末を展示してヤマダニューモバイルを訴求
コーヒーメーカーは長いスパンの中島と3段展示により、品揃えの不足感は全く感じられない
テレビ売り場では持ち帰り提案にも注力し、テレビ台のセット提案も行っている

スペースを活用してお客への情報提供に注力

柱や展示商品を活用して、スピード配達や長期保証、買い取りサービス、同社が推進するファミリーサポートなどのポスターや告知POPが貼付され、お客に対する同店のサービス訴求も売り場で実現している。

また、デジカメの展示ではクリーニングキットやカメラケース、プリンターでは印刷用の用紙などを展示商品と一緒に並べることでついで買いを促進。エアコンでも最下段の展示商品の下にHERBRelaxのこたつを置いて、セットでの購入を促進している。

展示商品に隣り合う形で関連商材を配置し、ついで買いを促進

洗濯機の上部には番号を付けたシーリングライトを配置し、そのリモコンを近くの柱に集めている。シーリングライトとリモコンには番号が振られているため、シーリングライトに付属のリモコンも触って試せるようになっている。

洗濯機コーナーの上部にシーリングライトを配置し、そのリモコンを近くの柱に集合展示

親身になった応対と幅広い商品知識で顧客固定化を推進

宇野店長は、「お客様1人1人に親身になって対応し、新店舗での固定客化を図りたいと考えています。そのために販売員は、いろいろな商品の知識を身につけ、オールラウンドでの対応ができるようになることを目指しています。特に小物商品や修理などは聞きたいけど、お客様から言い出しにくいという印象があります。当店では、細かいことでも親身になって対応し、販売員の1人1人に何人ものお客様が付くような関係を作り上げていきたいと思っています」と話す。

特に接客の際に気をつけていることとしては、「難しい言葉や専門用語を使わないこと、そして、こちらから一方的に話すのではなく、分からないところや不安なところを聞き出すような応対に努めること」という。確かに、販売員の商品説明では、往々にして専門用語を使いがちになる傾向がある。販売サイドとしては分かっているからなのだが、対峙しているお客が、その用語を理解しているとは限らず、そのことが潜在的な不満となることも十分に考えられる。

エアコンでは外寸を表示し、冷蔵庫では搬入時の注意点をお客にしっかりと伝えている

また、機能の説明でもつい一方的に話してしまうこともある。「お客様が納得して購入していただくためには、お客様の不安を解消することが重要。機能の説明では、分からない点や分かりにくい点をしっかりと説明して、不安を納得に変えることに注力していきます」と宇野店長は説明する。

テレビの展示の横に手元スピーカーやテレビ用のウェットティッシュを展示

展示アイテム数や休憩スペース、販売スタッフ数など、小型店舗が大型店舗に劣る部分はある。しかし、だからこそ売り場の人の力でその不足している部分を補い、販売スタッフの人数が少ないからこそ、1人1人のお客に対して真剣に向き合い、顧客化を図る。シンプルだが、お客と店舗との距離を近づけるという商売本来のあり方でレミィ町田店を運営していく考えだ。