原宿・竹下通りにビックカメラセレクト原宿店出店 コスメ・ドラッグなどでインバウンドと若い女性を狙う
駅から徒歩1分、2フロアで約100坪に商品を絞って展示
11月28日、東京・原宿に「ビックカメラセレクト原宿店」がオープンした。同店の立地はJR原宿駅竹下口から伸びる竹下通り。竹下口から徒歩1分程度にあるダイソーが売り場を縮小してリニューアルするのに合わせて、1階と地下1階の合計330㎡という小型店での出店となった。
原宿の竹下通りは学生を中心とした若い女性客が多く行き交い、飲食店や雑貨、コスメ、衣料品などの小型店舗が軒を連ねる通りだ。東京への修学旅行で訪れる学生も数多く、最近は訪日外国人も多く訪れる観光スポットの一つにもなっている。
出店地の客層に合わせて、家電はエアコンやテレビ、冷蔵庫、洗濯機などの大型商品を一切置いていない。小物家電が中心で、低価格レンジやジャーポット、炊飯器、ロボットやスティックなどのクリーナーが家電品として陳列され、ドライヤーやシェーバーはインバウンド需要もあって展示ボリュームが厚くなっている。
また、女性客も多く来店するであろうことから、デジカメはミラーレスとコンパクトを群展示し、インバウンドや若い女性に人気のチェキはカラバリも揃えた品揃えを展開している。家電だから何でも置くというのではなく、店のターゲットに合わせた割り切りを実現した品揃えといえるだろう。
あえて通りに面していない地下に化粧品や医薬品などを配置
1階は時計、カメラ、オーディオ、文房具、ステンレスボトル、酒。地下1階は家電、ビューティ家電、化粧品、日用品、医薬品、カラーコンタクトレンズという売り場構成である。
ターゲットを考えると通りに面した1階に化粧品や医薬品などを配置した方がよさそうだが、同店店長の鈴木譲氏は、「売り場の面積が1階よりも地下1階の方が広いということ。それと、化粧品を試すとしたとき、通りに面した場所よりもゆったりとしたスペースで試していただいた方がお客様には喜んでいただけるのではないかと考えての配置」と説明する。
広くはない売り場でボリューム感を演出するため、什器は大型店舗と比べて、高さがある。さらに什器と什器の間隔も狭く、人がすれ違うのが容易ではないほどだ。しかし、時間をかけて商品選定をしたり、子供連れが多く訪れる立地でもないため、逆に何があるのかを探す楽しみを感じられると思われる。
また、通常はデッドスペースになる天井付近も商品のディスプレイとして活用したり、クリスマス提案などとしても活用。売り場を極限まで有効活用しようという同社の考えは、セレクト原宿店においても実践されている。
Air Bicのデータを活かしてインバウンドに人気の商品をピックアップ
商品構成としては家電が3で、非家電が7。この3の家電で取り扱う商品の選定基準としては「まず、ビューティ家電は女性がターゲットということの延長線上。炊飯器やクリーナーはインバウンドの方々が高い関心を持っている商品で、Air BICでも売れ筋となっている商品を中心に揃えました」と語るのは取締役専務執行役員で経営企画本部長の安部徹氏。
化粧品や医薬品の幅広い品揃えという点では、近隣に複数のドラッグストアがある。この差別化について安部氏は、ビューティ家電や健康家電、イヤホンなども取り扱っていることでの幅広さが武器と話す。目的買いや立ち寄りの際に、ドラッグストアには置いていない商品展示がドライバーとなってお客の購入意欲を刺激するのではないかと考えている。
ビックカメラは会社設立から37年。非家電の取り扱いは最近のことではなく、玩具や酒類の販売も25年以上行っている。安部氏は「長い取り扱いの中で、我々が目指す専門店という領域に来ることができたのではないかと思っています。その意味では家電の一本足打法ではなく、場所とお客様に合わせた形で当社の引き出しから、まさにセレクトし、チャレンジしていくことを考えています」と話す。
年商目標については非公表だが、化粧品と日用品、医薬品の売上構成比は約4割と想定。家電商品と比較すると単価は低いが、それだけ多くの来店客を吸引できる店舗という自信の表れが、この構成比に見られる。
ネット注文で店舗受け取りは約2年間で4~5倍に
現在、同社で取り組んでいる、ネットで注文して店舗で受取るシステムも同店で採用。地下1階でネット注文の商品を受け取れる。いわゆるネットとリアル店舗を融合させるこの取り組みについては、この2年ほどでピックアップする件数が4~5倍くらいになっているとのことで、訪日外国人が多く訪れる原宿エリアの同店についても重要な受け取り拠点と考えている。
店舗スタッフは12名で、これとは別にアルバイトも含めた外国語対応スタッフは8名を配置した。竹下通りは欧米からの外国人観光客も多いため、英語と中国語に対応できるスタッフを揃えたという。
今後の出店については未定としながらも、「都市部で人が集まる場所に出店するのが当社のビジネスモデル。そのため、都市部という要素は外せないが、必ずしも東京のみに出店すると決めているわけではありません」と安部氏。
小型店の新たな業態店舗であるセレクト原宿店。一つのチャレンジとしながらも、インスタグラムなどのSNSを活用して若い層に情報を発信し、お客の利便性や提案力の向上に注力していく考えである。
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