販売員のキラーワードに貢献するメーカーのマーケティング活動


2024年に入っても家電需要はなかなか上向かない。家電量販企業の1月の月次情報を見ても、ほとんどの企業は前年を大きく割り込んでいる。

市場がなかなか伸びない中で、家電量販企業は成約率を上げることに注力しています。実際に店頭を回って店長や販売員からいろいろ聞き出してみると家電量販企業の来店者数は減少傾向にあります。

売上維持のために、来店者数の減少の中で店側が行うことは成約率のアップです。例えば、1000人の来店者があり、300人の購入者がいれば購入率は30%です。来店者が900人になり、それでも330人が購入していただくと購入率は37%となります。つまり購入率が上がると売上は確保できます。それでは、どのように購入率を上げていけばよいのでしょうか。購入率の向上策は家電量販企業各社の知恵の入れどころであり、このあたりが各企業の業績の差として表れています。

郊外型の家電量販店はこれまではあまり積極的にアプローチしてこなかったですが、昨年の夏以降は積極的にアプローチをするようになっています。接客率を高めることによって、成約率を上げようとしています。

一方で都市型の家電量販店では、店頭での体感イベントを強化しています。体感していただくことで、衝動購入や納得購入で成約率を上げていく政策です。

このような中で注目したい動きがあります。それは、販売員のお客様へ説明するトークの変化です。具体的には、

「私もこの商品が欲しいです」から「私はこの商品使っていますが、とても良いのでお勧めです」
といった風に変わってきています。

家電量販企業の中で比較的売上が伸びているカテゴリーとして理美容機器があります。理美容機器が好調な理由は、インバウンド需要が安定して確保できていることや、男性用の美容意識の高まりによって男性用の需要も増えている事、高価格帯の脱毛器やドライヤーによって販売単価が引き上げられてことなどが挙げられます。

理美容機器の販売単価が上がってきてから店側も接客を強化しており、商品単価で3万円以上の商品は積極的に接客アプローチをかけています。店舗を回りいろいろな販売員に話を聞いてみると、「理美容機器は接客と体感で売れる」といいます。今まで、セルフ的な販売をしていた理美容商品が接客を強化することで高額商品でも売れるようになるようです。また、商品の体感を行うことで、納得して商品を購入するお客様が増えているといいます。

販売成績の良い販売員にヒアリングをしていて気が付いたことがあります。販売成績の良い販売員は、例外なく最新の理美容機器を体感使用していることです。高単価な理美容機器を購入するのは大変なように思われますが、そこにはメーカーの販売支援政策があります。その政策を紹介すると、一つは理美容機器の無料貸し出しです。すべての店舗で行われているわけではないですが、希望する販売員には、最新の理美容機器を貸し出しています。商品を貸し出して使ってもらい商品の良さを体感してもらっています。優秀な販売員に話を聞いたところ、売れ筋の商品の体感はほとんど行っており、接客時は実際に商品を使ってみて感じた良さを具体的に説明していました。

商品の貸し出し以外にも実際に商品を欲しいという販売員には割引販売政策も行っていました。本部のバイヤーの了承のもと、割引購入制度を取り入れて販売員に提供しています。販売員に使ってもらうことで、接客にも活かすという制度です。

さらにメーカーによっては、店舗の休憩室に一週間ほど無料で使用できるサンプルを置き、多くの販売員に使ってもらっていました。

理美容機器の販売が好調な裏にはこのようなメーカーの支援があります。販売員のお客様向けキラーワード(説得力ある言葉)の中に、「私もこの商品が欲しいです」というものがありますが、現在では「この商品は私も使っていて、とても良いのでお勧めできます」に代わってきています。このような接客はEC販売にはないものです。販売員が使ってみて良いと感じた商品をお勧めすることでお客様への接客が変わり、さらにより実用的なキラーワードを伝えることで成約率は向上しています。