商業集積地として成長するJR立川駅直結で気軽に立ち寄りが可能
11月18日、JR立川駅にヤマダ電機のLABI LIFE SELECT立川がオープンした。立地は立川駅北改札および北口からペデストリアンデッキで直結した32階建ての再開発ビル「立川タクロス」の3~7階。9~32階は319戸からなる分譲住宅の「プラウドタワー立川」という構造。
オープン前日に行われた記者会見で、同社の一宮忠男代表取締役副会長は、「今まで首都圏を中心に都市型店舗であるLABIの展開を図ってきたが、このLIFE SELECT立川は今までとは一味も二味も違った新しい都市型店舗を提案していく。新しいLABIのスタイルやヤマダ電機が考えるお客様満足というものが分かる店舗にした」と述べた。
顧客宅を訪問するコンシェルジュ・サービスを導入
同店ではConcept LABI TOKYOでサービスを開始したコンシェルジュ・サービスも採用。これはコンシェルジュと呼ばれる商品知識や顧客対応に優れた販売員が、VIP会員である顧客の要望によって自宅まで訪問し、様々なソリューション対応を行うというもの。
ヤマダ電機といえば、かつては価格と品揃えで競合店の差別化を図り、地域のプライスリーダーであることを標榜していた。しかし、消費税増税以降は消費マインドが低迷し、中期的なスパンでは家電需要は減少していくと予想されている。
ここ数年、ヤマダ電機では「量から質」への転換を図り、顧客満足度を上げることで商品単価や顧客単価をアップする戦略にシフトチャンジしている。今回出店したLABI LIFE SELECT立川もこの戦略に沿った店舗だ。
同店の売り場面積は6,451㎡の5フロア構成。エントランス部の3階はパソコン・携帯電話。4階は理美容・健康・クリーナー・照明。5階は冷蔵庫・洗濯機・エアコン・季節・調理・デザイン家電。6階はテレビ・レコーダー・デジカメ・ビデオカメラ・オーディオ・音楽映像ソフト。7階がゲーム・ゲームソフト・おもちゃ・子ども遊技場という構成だ。
デジタル商品などで生じた顧客の悩みを解決するテクニカルサポート
エントランスとなる3階部は携帯電話の契約カウンターと連続する形で、ANSWER CENTERという相談カウンターを設置。その隣にはパソコンやスマホ、タブレットなどのテクニカルサポートを設け、これら2つのソリューション対面式カウンターをデジタルサポートステーションとして名付けた。
店舗全体に言えることだが、木目調の什器が多く、売り場全体に柔らかさを感じさせる印象がある。パソコンコーナーでは、普通だとカタログ類が置かれている棚下がガラスの引き戸になっており、そこに在庫が立てて置かれている。
一見すると在庫が置かれているだけのように見えるが、梱包自体がカラーバリエーションになっている。雑然としがちな棚下をスッキリと見せ、かつ木目調の什器と梱包の色とのマッチングにより、高級感すら感じさる見せ方だ。
豊富な体感・提案コーナーを配置してお客の満足度アップに貢献
専門アドバイザーが対応する家電サポートカウンターを設置
4階の健康コーナーでは「ロ」の字型の対面カウンターである家電サポートカウンターを設けている。このカウンターには低周波治療器や血圧計などの実機が置かれ、顧客がアドバイザーに相談しながら機器を体感できる。
マッサージチェアのコーナーではデモ機とデモ機の間にはパーテーションが取り付けられ、顧客が隣を気にせずに体感できるような配慮がされている。
アイロンとクリーナーの間の通路には、シングルベッドが置かれ、ふとん乾燥機とふとんクリーナー、加湿器などを集合展示し、冬場に快適な眠りを実現するための提案コーナーとなっていた。
独立ショールーム以上の規模・内容を誇るハウステックのショールーム
5階には約150坪のハウステックショールームを併設。通路面は総ガラス張りで、インショップ形式のショールームとしては、かなりグレードが高く、展示点数では単独のショールームよりも多いと思える内容だ。ショールーム内では専任の担当者が相談から無料プランニングまで、顧客のリフォームに関する相談に応じているという。
同フロアにはデザイン家電のコーナーも設置し、壁面の壁紙も他のコーナーとは異なる色調として、デザインがしっかりと存在感を発揮できるような売り場となっている。
エスカレーターの正面にはキッチンを配置。展示している商品を利用した実食デモを定期的に行うという。このコーナーはデザイン家電に隣接した位置にあるため、非常に落ち着いた雰囲気で実演デモを体験できるような工夫がされている。
6階はAVの売り場で、数多くの4Kテレビやオーディオ機器を展示。4Kでは、同じコンテンツの2K比較を行い、2Kと4Kの画質の違いがひと目で分かる。
また、テレビの視聴コーナーでは、テレビとソファの組み合わせがそれぞれのモデルで異なっている。単にテレビの前にソファを置きましたという形ではなく、上質なソファによる座り心地の良さもあり、このように座って大画面テレビを視聴したいと思わせるような組み合わせの妙が感じられた。
テレビは大画面や4Kの販売構成比が高まっている反面、価格ダウンも激しい商品の一つ。売価10万円台の4Kもある。販売サイドとしては、なんとしても単価アップしたいのが実情である。同店の取り組みは、顧客が自然とより大画面、より高画質に行くような雰囲気づくりに注力していることが分かる。
テレビ+手元スピーカーなどのセット提案を充実
さらにテレビ売り場では、セット提案も随所で見られた。ヘッドホンや手元スピーカーなどとテレビを組み合わせることで顧客単価アップを図るのが狙いだ。従来、ヤマダ電機は商品カテゴリーごとの区分けがキッチリと分けられ、どちらかというとセット提案はあまり見られなかった。しかし、同店では提案や体感が従来よりも明らかに多く、それがさりげなく実現されているところにヤマダ電機の底力が感じられる。
7階には子どもの遊技場である「Yu kids Island」を併設。対象年齢は0歳~小学2年生までで、入園料を払って楽しむというスタイルだ
おもちゃも家電と同じように体験ができる工夫がされている。野球盤やサッカーゲームがエンドに展示され、実際に遊ぶことができる。さらにロボットコーナーではpepperやROBOHONなどが並べられ、実機に触れることができる。子どもから大人まで楽しめるコーナーになっている。
商業集積地としてのポテンシャルに期待がかかる立川
立川駅はJR中央線と中央本線、南武線、青梅線と多摩モノレールが乗り入れる東京西部のターミナル駅。1日の乗員数が約164,000人で、JR東日本管内の駅としては、乗員数で15位にランクされる巨大ターミナルだ。
駅周辺には伊勢丹や高島屋といったデパートがあり、さらにここ数年は「ららぽーと立川立飛」や「IKEA立川」がオープンするなど、商業集積地として成長しており、街としての集客力も年々増加している。
若い層の顧客が多く訪れる街であると同時に、デパートで買い物をする高齢者も多い。このような街の特徴から、同店では最新の家電を体感する提案を増やし、高齢者への配慮も各所に見られる店舗となっている。
11月12日からプレオープンし、18日にグランドオープンしたLABI LIFE SELECT立川。12月2日からは即日お届けサービスもスタートし、これまでのLABI以上に、お客に対する気遣いや配慮、サービスが様々な形で盛り込まれた店舗となった。単にキレイな店ではない、ヤマダ電機の本気度が分かる店舗である。