Technicsが完全ワイヤレスイヤホン2モデルを発売。Technicsブランドは3モデルに


完全ワイヤレスイヤホン市場は拡大基調で推移している。ケーブルの取り回しや断線を気にすることなく音楽や通話、会話が楽しめる点がユーザーには大きな魅力だ。ノイズキャンセリング搭載モデルは雑踏や電車内などでも周囲の音をシャットアウトし、より音に集中できる。リスニングだけでなく、テレワークやオンライン会議などの用途も広がっており、さらに市場は拡大しそうだ。パナソニックはTechnicsブランドの完全ワイヤレスイヤホン2モデルを10月15日に発売すると発表した。

2020年4月、パナソニックは同社初の完全ワイヤレスイヤホン3モデルを発売した。この3モデルのうち、EAH-AZ70WはTechnicsブランドで、音質にこだわったノイキャン搭載モデル。その品質の高さは話題となり、売れ筋として上位にランキングされるヒット商品となった。発売から約1年半。新たに2モデルがラインアップに加わることとなった。

コロナ禍で消費者の生活スタイルは変化した。在宅時間が長くなったことで、ネット動画やライブ配信、ストリーミングサービスの需要が拡大。これまで以上に『聴く』という行為が増え、高音質が求められるようになってきた。また、在宅勤務の普及により、オンラインでの会議やスマホでの通話の機会も増えた。

これらの変化で完全ワイヤレスイヤホンに求められる性能も変わってきたと同社ではみている。

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在宅時間が長くなったことで、家は「暮らしを楽しむ」場であり、「在宅ワーク」で仕事をする場にもなっている。そのため、より高音質で“聴く”“話す”が求められている

完全ワイヤレスイヤホンはマイクを通して自分の声を相手に伝えることができる。しかし、周囲の騒音や生活音で相手の声が聴き取りにくいときや発話の中に周囲の音が紛れてしまうときもある。だからこそ、通話の際の音質が重視されるようになっているのだ。

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オンライン会議の開催は増え、PCやスマホにイヤホンやヘッドホンを接続して会議に臨むケースが多い

使用シーンが増えている完全ワイヤレスイヤホンだが、使っている時間が長くなれば気になるのは装着感だ。

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完全ワイヤレスイヤホン購入者の3割が装着の際のフィット感を重視している

ノイキャン搭載のAZ60とコンパクトサイズのAZ40

完全ワイヤレスイヤホンに求められる先述の機能や課題に対応した新製品がEAH-AZ60(以下、AZ60)とEAH-AZ40(以下、AZ40)である。

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AZ60は振動板にバイオセルロース素材を採用した8mm径のダイナミックドライバーを搭載し、ノイズキャンセリング性能は業界最高クラスという高機能モデル。カラーはブラックとシルバーの2色展開だ
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AZ40のダイナミックドライバーはPEEK素材を使用した6mm径。重量は約5gのコンパクトサイズながらも高音質で音楽や通話が楽しめるスタンダードモデル。カラーはブラック、ローズゴールド、シルバーの3色

両モデルともドライバーの後ろ側に空間と通気孔を設けて空気の流れを調整し、振動板の鳴りを最適化するアコースティックコントロールチャンバーを採用。低音域から中音域の伸びを引き上げている。また、ドライバーの前方にも新開発のハーモナイザーを配置し、自然で伸びのある高音域を再生する。AZ40では、このアコースティックコントロールチャンバーとドライバーを一体化することで本体のコンパクト化を実現している。

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それぞれのドライバーが持つ再生能力を引き出し、AZ60は臨場感のある高音質、AZ40はコンパクトサイズでもナチュラルで厚みのある高音質を実現した

両モデルを視聴した印象だが、AZ60は低音域がこもらずクリアで、高音域も抜けが良く、ワイドレンジをしっかりと再生していた。音の分離もよく、それでいて楽器群のまとまりもあるため、幅広い音楽ジャンルの再生に最適だ。

AZ40も臨場感があり、骨のある音を再生。AZ60よりもドライバー径が小さいので音圧自体はAZ60と比較するとやや弱い印象もあるが、コンパクトなサイズからは予想以上の厚い音を聴くことができた。

装着性では、イヤーピースの素材であるシリコンの硬さや本体と耳との接触面積、装着時の耳に対する本体の高さを改善。外れにくさと耳への圧迫感の低減を両立させている。

本体の形状を新たに見直し、より耳にフィットして外れにくくなった。また、密着感が高まったことで、パッシブノイズキャンセリングとしての遮音性も向上した

3つの技術を組み合わせたJustMyVoiceテクノロジー

通話音質が向上する技術として新製品2モデルで採用したのが、独自の通話音声処理技術である「JustMyVoice」テクノロジーだ。これは①ビームフォーミング、②音声解析、③風切り音対策、の3つの技術を組み合わせものである。

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「JustMyVoice」テクノロジーは発話者の声をしっかりと拾い、声に混じってくる周囲の雑音やマイクが拾う風切り音を低減して通話音質を向上させている

①は2つの通話用マイクに加えて、骨に伝わる声の振動を検知する発話検知マイクを搭載。マイクが拾った音声が発話者の声か、周囲の音かを検知する。さらに発話者の声の帯域を特定することで、異なる帯域をノイズと判断し、発話者の声だけをピックアップする。

②では、誰が発した音か、どの方向から来た音か、音なのかノイズなのか、人が話している声なのかという4つの解析を1秒間に15,000回以上処理する。

③は本体にメッシュ部を追加し、内蔵マイクまでの距離を確保することで風切り音を低減。さらに風切り音を検知することで、通話時には音声だけを届ける。

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ビームフォーミングにより、ノイズの低減と同時に音声を増幅させて発話の声をクリアに届ける

しかし、「JustMyVoice」テクノロジーを搭載したとはいえ、相手に自分の声がどう伝っているかは自分で聴くことができず、気になるところ。そこで自分の声を一時的に録音して、実際に相手に伝わる声を事前に確認できる機能も搭載している。

ノイキャン機能では新たにアテンションモードを搭載

AZ60のノイズキャンセリング機能は、AZ70Wと同じ内側と外側の2つのマイクを使い、アナログ制御とデジタル制御を組み合わせたデュアルハイブリッド方式。このノイズキャンセリングはアプリで100段階のレベル調整が可能だ。

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外側のマイクで拾った音にはさまざまな周波数のノイズが混在し、逆位相の周波数を出してノイズを打ち消す処理量が多いため、デジタルで制御。内側での処理は量よりもスピードが要求されるため、アナログ制御としている

使用シーンによっては外音を遮断してしまうと危険な場合や突然の呼びかけなどもある。そのようなときは外音取り込み(=アンビエント)モードに設定しておくと良いが、AZ60では従来の外音取り込みに加え、一時的に人の声に特化して取り込むアテンションモードを搭載。その時その時の使用シーンで使い分けることが可能だ。

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車道と歩道が分離されていない場所の通行や電車内などで外音取り込みの2つのモードを使い分けられる。設定はアプリで切り替える

さらにAZ60はLDACに対応し、今後増えていくであろうハイレゾストリーミングでの再生も可能だ。

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LDACは一般的なコーデックの約3倍の情報量に対応し、ハイレゾ音質のワイヤレス伝送により音楽を従来以上の高音質で楽しめる

両モデルともBluetoothはVer.5.2に対応し、防水性能はIPX4相当。本体の再生時間と充電ケースからの充電を含む再生時間、イヤホン単体での通話時間はAZ60がノイズキャンセリングON時で約7時間、約24時間、約4時間。AZ40は約7.5時間、約25時間、約4時間。

本体を充電ケースに入れた際の同時充電時間と短時間充電時再生時間はAZ60が約3.5時間、15分充電で約70分再生。AZ40は約3時間、約15分充電で約90分再生となっている。

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AZ60の付属品(左)とAZ40の付属品(右)。イヤーピースの数が両モデルでは異なる。AZ60は高さの違うXSサイズとSサイズが2種類ずつとM、L、XLが同梱。AZ40はXS、S、M、Lの4サイズ

同社では新製品発売に合わせて、9月14日からオリジナルケースカバーが応募者全員に当たる「テクニクスデビューキャンペーン」を実施。購入期間は予約を含む9月14日から11月14日までで、応募期間は発売となる10月15日から11月30日まで。保証書とレシートを1枚の写真に収めて応募フォームからアップロードする。予約のお客には忘れずに伝えよう。

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専用ケースカバーは透明で、ケースの上から装着する

商品知識を持たない層に分かりやすい説明を

完全ワイヤレスイヤホンは現在進行形で市場が拡大中だ。マーケティング理論で現在の市場を捉えると、イノベーターへの浸透はすでに終わり、普及のステージはアーリーアダプターからアーリーマジョリティへと移行している段階のように感じられる。

ユーザー層の拡大は、商品知識を持って自分で購入機種を選べる層から購入機種の選定にはアドバイスや商品説明が必要な層への移り変わりを意味する。すなわち、販売サイドの商品説明力や提案力が重要となっているのだ。

先述したようにパナソニックの新製品2モデルに共通しているのは高音質と高い通話品質。高音質については「振動板と呼ばれる音を出すメカの周りに空間を設けて振動板がしっかりと鳴ります。だから低い音から高い音まで、クリアで迫力のある音が出ます」と伝えよう。

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アコースティックコントロールチャンバーとハーモナイザーで空気の流れを制御して高音質を実現。左はAZ60、右はAZ40

通話品質では「パソコンにはデータ処理をするプロセッサーと呼ばれる装置が入っています。このプロセッサーがTechnicsの新製品にも入っているんです。話している人の声と雑音は周波数が違っていて、プロセッサーが人の声だけを拾って相手に届けるから、人混みの中でも自分の声がしっかりと相手に届くんです」と説明しよう。

購入者が重視するバッテリーの持ちについては、他社の同等クラス(想定売価でAZ60は29,000円前後、AZ40は16,000円前後。いずれも税込み)と再生時間や通話時間を比べて提示するのがよいだろう。特に劣っている点がないと分かってもらえるはずだ。

装着性はサンプル機で装着してもらうのが一番だ。だが、それができないときはイヤーピースの硬さが中心部は硬く、周辺部は柔らかくなっているため、「耳に直接当たる部分が柔らかいので、長時間使っていても耳が痛くなりません」と伝えよう。さらに「耳から飛び出している部分が少ないので、外れにくく落ちにくくなっています」と念押しもしておきたい。

完全ワイヤレスイヤホンはショーケース内に展示され、それがお客にとっては機種選定のハードルとなっている。デモができるのであれば積極的にお客に呼びかけ、できない場合でも声掛けをして接客機会を設けたい。消費者の関心が高いからこそ販売機会ロスの低減に努め、Technicsの新製品を訴求しよう。