新生活の接客で忘れがちなこと
春商戦に突入した。新生活に向けてまとめ買いの需要が高まる時期だ。来店客数が増加し、さらに配送手配や在庫確認など業務も増えているのではないだろうか。まとめ買いの場合、普段よりも時間をかけて接客することが多いため、顧客との信頼関係が築きやすいというメリットがある。この機会を生かすため、CS向上につながる接客のヒントをまとめた。
春商戦の基本的な接客ポイント
「春商戦ならではの接客のポイントは」という質問を量販店関係者にすると、主に挙げられるポイントは次のとおりだ。
- 設置場所のサイズ確認
- 在庫の確認
- 配送先、配送日の確認
- お客を待たせないためのレジ周辺誘導の工夫
- 持ち帰り商品を事前にバンド掛けする
駅前量販店Aのスタッフは、接客の最初に、”設置場所のサイズや搬入経路の計測はお済みですか”と確認するという。遠方への引越しなど、搬入の時にしかサイズが測れないような場合は、商品を決めて在庫の確認をして、計測後に再度の来店を案内しているという。
春商戦は、お客が集中する時期なので商品の在庫が短期間で変動する。そのため先に在庫を確認するように努めるのだ。春商戦では通常期以上に、在庫の確認に力を入れる必要がある。
配送にも気を配らねばならない。複数購入の場合、一度に配送できない場合もある。そのため、日付の確認を忘れずに行う。さらに、配送手続きをスムーズに行うために、レジカウンターとは別に記入台を設けている店舗、手続き待ちの人数が分かるように待機客が座るベンチに番号をつける店舗、台帳を作成して対応状況を見える化する店舗など、さまざまだ。このほか、持ち帰り商品を事前にバンド掛けするといった工夫も、春商戦にお客を待たせない対策のひとつだ。
更なるCSアップのための接客ポイント
これらのような取り組みに加え、春商戦ではさらに気をつけたいポイントが5つある。
1:ターゲットは若者だけじゃない
春商戦というと、入学・入社シーズンということで、若者の一人暮らしというイメージが強い。しかし、春商戦は新大学生・新社会人のほか「異動を伴うファミリーの引越し」「ブライダル」なども含まれる。特に、ファミリーの場合は買い替えの場合が多く、現在使用している家電をきっかけに、容量アップや、機能アップの提案がしやすい。
2:色の確認を忘れない
まとめ買いのときは、複数の商品の説明を受けるため、お客の方も混乱しがち。また、商品によっては色が違うと機能が違うというものもある。色を確認しなかったことで、配送後クレームにつながったケースも少なくない。型番を確認する際、商品が何色なのか、店とお客双方で確認し、返品リスクを防ごう。
3:付属品、別売り品の確認
テレビの接続ケーブルやリモコンの電池など、購入後すぐに必要なものでも別売りの場合は少なくない。お客の会計をする前に、必ず付属品や別売り品の確認をして、買い忘れがないようにしよう。
4:「お買い忘れはありませんか」と、ひと声かける
新生活の準備で真っ先にお客が思い浮かぶのは、冷蔵庫や洗濯機だ。それから電子レンジや掃除機などを購入するお客が多いだろう。
しかし、例えば実家を離れて一人暮らしをするとなると、シェーバーやドライヤーといった美容家電も必要となる。また、除湿器や、最近人気の衣類スチーマーなど「あると便利」な商品も量販店では数多く取り揃えている。販売成績の良いスタッフは、春商戦の接客のときに、こうした「すぐには必要ないかもしれないが、あると便利な家電」の提案を忘れない。
5:名刺を渡す
配送、接続設定など、家電を購入した後、誰に相談すればよいのか不安になるお客もいる。名刺を渡し「いつでもご相談ください」と伝え、お客の安心につなげよう。お客に、名刺を複数渡したことで、知人・家族を紹介してもらえたという話も聞く。自分の接客にお客が満足すれば、リピートや紹介につながるというわけだ。接客後は、自信を持って名刺を渡そう。
総合的な接客力が求められる
新生活は、1組のお客に対して幅広い商品提案が必要な時期だ。普段自分が担当していない商品も接客する機会が多いので、人気の商品やトレンドについてスタッフ間で情報交換をしておくことも重要だ。ある意味、春商戦は総合的な接客力が求められる時期ともいえる。
この3月は多くの量販企業にとって決算月でもある。念には念をいれ、現場の力を存分に発揮し、春商戦を乗り切っていただきたい。