スマホのカメラ機能向上が大きな要因となって、縮小基調にあるデジカメ市場。新規需要の拡大により、市場の再活性化を期待したい。そこで、本稿前編では、コジマ×ビックカメラ 梶ヶ谷店での、家電量販郊外店ならではのきめ細やかな接客について述べた。さらに同店は、接客以外にも「行きたくなる」店にするための魅力的な取り組みを行っている。その内容とは？

カメラで遊べて学べる。独自のイベント開催

コジマ×ビックカメラ 梶ヶ谷店では、販売員が独自のイベントを企画・開催している。
「先日開催された当店2階の白物家電コーナーでのピザづくり体験イベントではデジカメを貸し出し、来場者の方々に試していただきました。お子様たちがピザを作り、保護者の方々が撮影。その画像をA4サイズやカレンダータイプにしてプリントし、3階のデジカメコーナーでプレゼントしました」（廣島さん）。保護者たちが貸し出し機で撮影をする際、デジカメ担当の販売員がカメラの使い方や撮影方法についてアドバイスをするという。

このようなイベントは、新規需要の取り込みに非常に効果的だ。デジカメに興味があっても、普段のスマホの画像で満足している人は多い。そこで、プリントした画像を見てもらうことで、専用機であるデジカメの画質の良さを実感してもらえる。その際、自然で美しい背景ボケなどのデジカメならではの写真を撮影してもらうのがオススメ。難しいと思われがちなデジカメの操作へのハードルを下げることもできる。また、被写体が明確なため、購入後に実際に撮影するイメージが容易にできるのだ。それだけでなく、他商品コーナーでのイベントと連動しているため、白物コーナーの来店客をデジカメコーナーに誘導できるという大きな利点もある。

他商品コーナーのイベントとコラボしたカメラコーナーの取り組み　※イベントの画像はイメージです

さらに同店では、販売員が講師となってテーマに沿った撮影セミナーも行っている。子供の効果的な撮影方法などだ。購入後に身近な店舗、しかも購入時に訪れた馴染みの店舗で撮り方を教えてもらえるというのは、愛好家を増やす大きなきっかけとなる。特に女性ユーザーは、カメラを「素敵な写真を撮るための道具」として考えるコト軸志向が強い。2月に開催された総合的カメラ映像ショー「CP+」のキーノートスピーチで、女性はカメラ本体への興味よりも、セミナーやイベントへの興味の方が強いというアンケート結果の報告もあった。

撮り方講座は撮影方法を学べるだけでなく、参加者同士の交流も生まれる可能性がある。店舗と来店客、来店客同志の交流は、やはり自宅と店舗の距離が近い郊外店だからこそできることなのだ。

イベントの告知は、デジカメ担当の販売員がチラシを作成し、デジカメコーナーの来店客に配布。購入商品のレジ袋にも同梱している。廣島さんたちデジカメ専任スタッフは、能動的にデジカメコーナーへの来店を促進する活動を行っている。

購入後も心配ご無用！

デジカメは、特に初心者の場合、実際に使いこなせるかどうか、購入後の心配をする来店客が多い。また、不具合が起きた場合はすぐに修理に出すのではなく、まず相談できる場所が欲しいものだ。そこで廣島さんは、「操作方法のご相談や、不具合が起きた時の簡易的なチェックなど、お困りごとがありましたら、ぜひ来店してください」と声を掛けている。販売員は購入時だけの存在ではなく、購入後の相談窓口にもなっている。

このようなきめ細かい接客に加え、長期保証や全損保障などのサービスも充実。買い替えの際には下取りサービスもあるので、購入の幅も広がり、店舗と顧客の長い付き合いが可能だ。そのため、デジカメ本体だけでなく交換レンズやフィルターや三脚などの周辺機器の品揃えを厚くし、来店客のニーズに合わせた商品がすぐに手に入るようにしているという。

前述のように、家電量販の郊外店では、接客や独自のイベントで来店客との密接な関係を築く努力をしている。そこで編集部がお勧めしたいのが、ハイスペック機の提案だ。「CP+」では、4K動画や高速連写機能が搭載されたミラーレスが話題となった。パナソニックのLUMIX GH5やオリンパスのOM-D E-M1 MarkⅡなどだ。これらの機種は、ハイスペック機ながら初心者でも操作しやすく、子育て層やペット愛好家にぴったりな機能を搭載している。

高額商品だけに、来店客にとっては、購入前の不安点や疑問の解消から購入後の操作方法やアクセサリーの購入にいたるまで相談に乗ってくれる場所が身近にあることは非常に心強い。これらのことが購入の後押しとなるのだ。撮影方法や購入後の相談まで対応することは、来店客のリピーター化および関連商品の提案まで、お客との幅広く末永い関係を築くことができる。