第1Q増収増益のケーズは営業利益率が0.4ポイントアップの4.4% 上新電機の営業利益額は22%増で営業利益率は0.2ポイントアップ


ケーズホールディングス(以下、ケーズHD)と上新電機の2020年3月期第1四半期決算が発表された。両社とも増収増益で、営業利益額、経常利益額とも前年同期比2桁増と伸長した。

ケーズの売上高6.5%増は2012年3月期以降で最も高い増収率

ケーズHDの2020年3月期1Qの売上高は1,648億800万円で、前年同期比6.5%増。この売上高伸長率は2012年3月期1Qの16.1%増以降で最も高い1Qの伸び率で、1Qの期間内に店舗数が7店純増となったことが貢献したとみられる。

商品面では5月の暑さと早期購入提案により、エアコンが好調に推移。1Q累計でのPOSデータの集計速報では前年同期比で129%と大きく伸長した。パソコンもWindows7のサポート終了に伴うリプレース需要で需要が増加し、伸長したという。

Windows7のサポート終了で、パソコンのリプレース需要が顕在化し、実績となって現れている

粗利益額は475億4,800万円で前年同期比5.8%増。粗利益率は28.9%と高いレベルを維持しているが、前年同期から0.1ポイントダウンしたのが、気になるところだ。

販売管理費は前年同期比3.9%増。エアコンの早期購入提案や人件費の増加で、ケーズHDに限らず販売管理費は増加傾向で推移しているが、この3.9%増というのは他社よりも低いレベルだ。販管費比率は24.5%で、前年同期から0.6ポイントダウン。ケーズHDは2019年3月期の販管費比率も前年度に対して0.3ポイントダウンとなっており、市況を見ながら販売管理費をコントロールしていることが分かる。

営業利益額は72億3,100万円で前年同期比17.7%増。営業利益率は4.4%で、前年同期から0.4ポイント増である。この1Qの営業利益額は、売上高でダブルスコア以上の差があるヤマダ電機よりも高く、4.4%の営業利益率も3月期決算の上場家電量販企業5社の中で最も高い数値となっている。

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店舗数が減少するも7.5%増の売上高となった上新電機

上新電機の2020年3月期1Qの売上高は964億8,100万円で前年同期比7.5%増。この増収率はケーズHDと同様に2012年3月期1Q以降の1Qで最も高い数値である。1Q内での出店は2店、閉店は3店で、店舗数は231店と前年同期から1店舗減少したが、商品販売やサービス売り上げが好調に推移したため、大幅な増収となった。

商品ではエアコンが大きく伸長し、売上高は前年同期比23.7%増で、売上高全体に占める構成比は前年同期の13.0%から14.9%にアップ。前年同期からの増収額全体の約4割はエアコンが占めている。冷蔵庫の売り上げも同10.2%と2桁伸長し、テレビも同9.0%増となった。

情報通信では携帯電話の売上高が前年同期比17.1%増で、パソコンも同16.7%増と売上高の底上げに貢献した。また、修理・工事収入の売上高は同27.0%増で、50億円を突破。全体売上に占める割合は前年同期の4.5%から5.2%にアップした。自社サービスによる修理や、推進する“まごころリフォーム”が全体売り上げに大きく貢献したといえる。

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粗利益額は241億6,500万円で、前年同期比8.9%増と伸長。粗利益率は同0.3ポイントアップの25.0%となった。販売管理費は同8.1%増で、販管費比率は23.5%と前年同期から0.1ポイントアップにとどめた。

営業利益額は15億2,500万円で前年同期から22.3%増と大きく伸長し、営業利益率は1.6%となった。経常利益率も1.6%で、前年同期比0.1ポイントアップ。営業外収益が前年同期よりも低下し、逆に営業外費用が増加したことで経常利益額は営業利益額よりも低い伸長率となっている。

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7月のエアコン販売は想定外の大きなダメージ

両社とも連結業績予想は2Q累計、通期とも2019年3月期決算での公表予想から修正は行っていない。2Q累計では売上高、利益とも2桁増との予想だ。しかし、2Qの初月である7月は気温が低い日が続き、特にエアコン販売は大きな痛手を被った。

エアコンだけではない。低い気温は冷蔵庫の販売にも影響を及ぼし、そもそも暑さという来店動機自体が消失してしまったのが実情だ。8月に入ると一転して猛暑日が続いているが、お客の集中で設置工事が対応できず、販売機会ロスとなるケースも多いと聞く。また、あまりの暑さで外出を控える向きもあるだろう。

10月1日から予定されている消費税の引き上げまで2カ月を切ったが、現段階では駆け込み需要が顕在化しているという印象はない。2Q累計業績がどのようになるのか。先行き不透明が強いだけに、各店舗の創意工夫による顧客開拓や囲い込み、展示演出や提案での販売増、利益増に期待したい。