新4K8K衛星放送視聴可能機器の出荷が累計で300万台突破 製品購入後のコールセンターへの問い合わせは約3割と増加


2018年12月からスタートした新4K8K衛星放送。BSとCSチャンネルでの放送のため、どの程度普及するのか未知数でのスタートだった。徐々に認知も上がり、対応機器も増えてきた。しかし、まだまだ普及にはほど遠く、一層の普及活動が望まれるところだ。

受信機の出荷は低空飛行から右肩上がりへ

一般社団法人 放送サービス高度化推進協会(以下、A-PAB)は1月24日に記者発表会を開催し、新4K8K衛星放送の視聴可能機器出荷台数を発表した。

冒頭の挨拶で、A-PAB理事長の福田俊男氏は「この1年を振り返ると、放送開始から半年くらいは受信機の普及が低空飛行。スタートしたが、なかなか展望が開けませんでした。6月になると主要メーカーの受信機の品揃えが増えたことで、少しずつ右肩上がりになりました。今年はオリンピックがあるので、期待感が高まってきたと感じています。しかし、BS放送の受信可能世帯から見ると、普及率はまだまだ1桁台という状況ですので、早く2桁台に乗せていきたいと思っています」と述べた。

新4K8K衛星放送の普及率をさらに拡大させていきたいと語るA-PABの福田俊男理事長

続いて、A-PAB理事の木村政孝氏が新4K8K衛星放送の視聴可能機器の累計出荷台数を発表。視聴可能機器とは新4K8K衛星放送チューナー(以下、新チューナー)を内蔵した機器と単体チューナーを表わす。それぞれ新チューナー内蔵テレビ、単体新チューナー、新チューナー内蔵録画機、CATV用の新チューナー内蔵STBの4タイプだ。

新チューナー内蔵テレビは12月の単月出荷が30万台を超え、単月での過去最高を記録した

チューナー内蔵テレビの12月販売は前年3.9倍

電子情報技術産業協会(JEITA)と日本ケーブルテレビ連盟(JCTA)による新4K8K衛星放送視聴可能機器の出荷台数は、12月末累計で313万台。木村氏は「昨年1~5月は月間平均で12万台。それが6月になると大手家電メーカーのラインアップが揃い、10月までは月平均22万台ベースで推移しました。11月単月は4K内蔵レコーダーの累計も含めたので、一気に出荷台数が52万台に増え、12月も42万台で累計300万台を突破しました」と述べた。

新チューナー内蔵テレビの実売は8月が前年同月比1.8倍、9月が同2.3倍と伸長。消費税の増税施行となる10月は反動の懸念もあったが、ほぼ横ばいで推移し、12月は同3.9倍にも達した。木村氏は「2018年の12月は新チューナー内蔵テレビがまだ20モデル程度しかありませんでしたが、昨年の12月には100モデルに増加し、選択肢が大幅に増えたため」と12月の大幅伸長の理由を説明した。

11月から発売したシャープの8K対応テレビ。今春にはパネルの供給を受けて有機ELテレビの発売も予定されているという

また、4K対応テレビ全体に占める新チューナー内蔵テレビの構成比は1~5月が約3割だったが、6月以降は構成比が高くなり、11~12月の4K対応テレビの約9割が新チューナー内蔵テレビとなっている。

4Kレコーダーは月2万台ベースから拡大か

新チューナー内蔵録画機、いわゆる4Kレコーダーは2018年11月から出荷が始まり、13カ月で25万4,000台。月平均だと約2万台というペースだったが、2019年12月は6万台に拡大。「レコーダー全体の出荷台数は2018年11月~2019年12月の14カ月で約233万台。この期間の4Kレコーダーの出荷台数は31万5,000台。レコーダーでの4K比率は約14%になっています」と木村氏は解説した。

さらに木村氏は「家電量販店に話を聞くと、今年の1~3月の単月では前年同月で2~2.5倍の販売を予算化しているとのこと。また、1月に入ってからの4Kテレビの動きを聞くと、前年同月の3.5倍くらいの実績となっているようなので、今後さらに期待できます」と新4K8K衛星放送の視聴環境拡大に期待を寄せる。

新4K8K衛星放送視聴可能機器について解説するA-PABの木村政孝理事

A-PABでは新4K8K衛星放送に関する問い合わせに対応するため、コールセンターを設けている。このコールセンターへの問い合わせについて、A-PAB 4K8K推進センター長の宇佐美雄司氏が登壇。コールセンターの状況について説明を行った。

4Kテレビ購入者からの相談が増加

新4K8K衛星放送スタート月の2018年12月は、2,542件の問い合わせがあったが、1年が経過した2019年12月は314件だった。1年前に比べると件数は激減したが、2019年11月との比較では件数が27%増加。「問い合わせの内容としては、これから4Kテレビを購入するために、ということでの購入相談が増加しています。また、購入後の操作方法についての相談も多くなってきました」と宇佐美氏は解説。受信機器に関する相談の約3割が、すでに4K放送が視聴できる環境を持っている人からの相談という。

12月のコールセンターに寄せられた、受信機器に関する相談内容を内容別に分類した上位10項目。購入後の相談も増加している

コールセンター(0570-048-001)は個人情報を収集していないため、厳密な意味で相談者のプロフィールは分からないが、会話での印象から相談者は高齢者が多いという。「正確なデータではありませんが、70代、60代、50代という順で、やはり高齢の方からの問い合わせが多いですね」と宇佐美氏は語る。

以前と比べて、4Kテレビの購入者からの問い合わせが増加していると話すA-PAB 4K8K推進センターの宇佐美雄司センター長

また、A-PABでは新4K8K衛星放送の視聴に関して、不適切な受信設備による電波漏洩を防止するため、国から補助金を受けて中間周波数漏洩対策事業を行っている。この対策事業については、補助金の申請件数は240件で、交付決定が230件であることも報告された。

夏のオリンピックに向け、一層の需要喚起を

この年末年始にかけて、BS各局ではさまざまな4K番組を放送し、多くの反響が寄せられたという。しかし、普及というには、まだまだ道半ばというのが実情だろう。話題性という点では、新4K8K衛星放送よりもネット配信サービスの方が注目されているのではないだろうか。この状況をブレークスルーするためには、やはり魅力的な番組が視聴できるということでの各放送局の4K8K放送への取り組みが重要だ。

放送局では4K番組をオンエアしているが、まだ2Kのアップコンバートが多数を占めているのが実情だ

ただし、放送局がいくら魅力的な番組を放映しても視聴環境が整っていない、つまり新4K8K衛星放送を視聴できない環境にある視聴者には、その魅力が届かない。この夏にはオリンピックが開催される。A-PABでは、この時期に合わせてさらなる普及促進活動に取り組む考えだ。店頭でも、この需要に合わせて新4K8K衛星放送の周知活動を一層、強化したい。

放送開始後は店頭でも新4K8K衛星放送のアピールをしていたが、最近はあまり見られなくなった

また、販売サイドでは当たり前のことでも、一般には認知されていないということはよくある。コールセンターへの問い合わせ状況でも分かるように、高齢者は年々増加しているのに、この層への周知はあまり進んでいないようだ。映像や音響のカテゴリーではアルファベットによる専門用語が多用され、高齢者にとっては、なかなか理解しにくい面がある。

リアル店舗がネットに勝るのは、販売員が対面で接客をしてソリューション対応ができる点だ。同時に、来店客に気づきを与えたり、実機によるデモを見せられるのもリアル店舗の特徴である。だからこそ、高齢者も含めた多くの来店客に対して、店頭で新4K8K衛星放送を今以上にアピールして、アナログ停波時からの買い替えを促進させよう。