新型コロナウイルスの影響で加湿器が好調に推移 4月の全体出荷台数は前年同月比で7倍に伸長


新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛で、急速に巣ごもり需要が立ち上がっている。調理家電やゲーム、テレワーク関連商材などがその代表例だが、実は加湿器にも好影響を与えているのだ。例年とは異なり、乾燥期は過ぎたが、出荷台数は前年を大きく上回っている。

乾燥シーズン後でも出荷台数は大幅に伸長

加湿器の出荷は通常、11~12月が年間のピークで、1月以降は急速に需要が減少していく傾向にある。ところが、ここ数カ月の動向は例年と異なっているのだ。

2020年3月の出荷台数は前年同月比328.7%と前年同月の3倍に伸長。4月にいたっては同710.5%と実に前年同月の7倍もの伸びとなった。乾燥時期が過ぎたにも関わらず、高い伸びを示した理由はどのようなことか。

3~4月は加湿器の出荷台数が前年よりも大きく伸長した。日本電機工業会の自主統計調査より

2003年の発売以来、国内生産にこだわって加湿器を生産しているダイニチ工業では、この伸長の理由に『新型コロナウイルスの感染症対策』を挙げる。

外出自粛で在宅時間が増加し、乾燥対策として購入する向きが増えたということだ。また、首相官邸のWebサイトに掲載された新型コロナウイルス感染症対策では、空気の乾燥がのどの粘膜の防御機能を低下させるため、乾燥しやすい室内では加湿器などを使って、適切な湿度(50~60%)を保つ、との記述があり、これが需要を押し上げたとも考えられる。

ダイニチ工業の4月単月出荷は前年同月比3倍に

ダイニチ工業では、4月の出荷台数が前年同月比で約300%となり、4月単月としては過去最高を記録したという。

2020年4月のダイニチの加湿器出荷台数は2019年4月比で約300%を記録した

同社のフラグシップであるLXシリーズは『パワフル』『使いやすさ』『スタイリッシュ』をキーワードとして開発。加湿量が最大960mLのHD-LX1019と最大1,200のHD-LX1219の2モデルを揃え、パワフルな加湿スピードと加湿量は、従来モデルと比べて設定湿度までの到達時間を約30%短縮した。

加湿器は加湿量や加湿スピードに不満を持つユーザーが多く、LXシリーズは加湿機能を大きく改善している

使いやすさにこだわり、ユーザーの利便性を向上

天板部の「カンタン持ち運びハンドル」や給水タンクを両手で持てる「タンクWとって」とともに、トレイには交換式の樹脂製トレイカバーを採用してシーズン終了後にはトレイカバーを交換することでトレイの洗浄を行わずに済むなど、ユーザーの使いやすさに配慮したモデルである。

機能のみならず、ユーザビリティにもこだわり、使いやすさのレベルもアップした

非常事態宣言は全国で解除となったが、第2波の懸念も捨てきれない。以前よりも高気密住宅が増え、室内は乾燥しやすくなっている。今年の秋からは特に注意が必要で、新型コロナウイルス対策の一つとして、加湿器の動向に要注目だ。