ビックカメラの2021年8月期1Qの連結決算は減収減益 コジマは増収増益で営業利益、経常利益が倍以上に拡大


8月を決算期とするビックカメラとコジマの2021年8月期1Qの決算が発表された。両社の1Qの対象期間は2020年9~11月。9~10月は新規感染者数が増加したものの、やや落ち着いていた。しかし、11月に入ると全国の感染者数は1,000人を超える状況に変わってきた。この新型コロナウイルスの影響は決算にも表れ、ビックカメラの連結決算は減収減益となった。

コジマの営業・経常利益は前年同期比倍増

コジマの2021年8月期1Q単独決算の業績は売上高が692億7,900万円で前年同期比106.6%と伸長した。営業利益は同220.9%、経常利益も同212.6%と倍増。1Qでの増収増益は2年連続となった。

商品別の売上高を見ると、カメラとパソコンソフトが前年同期から2桁減となったが、音響映像、家庭電化、情報通信機器、その他の商品の4分野はいずれも前年実績を上回った。特に好調だったのはテレビと季節家電、パソコン周辺機器で、テレビは前年同期比117.0%、季節家電は同127.5%、パソコン周辺機器は118.7%と大きく伸長した。

非家電ではゲームが前年同期比124.2%、玩具も同113.6%と増収で、注力してきたゲームや玩具の販売が売上高アップに貢献した形になっている。

コジマのゲーム売上高はパソコン周辺機器を抜き、売上高構成比は3.1%から3.6%にアップした

1Qの粗利益率は28.7%で、前年同期から1.3ポイントアップし、営業利益率は3.0%で同1.5ポイントアップ。経常利益率も3.0%で、営業利益率と同様に1.5ポイントアップした。

ビックカメラの営業利益は前年同期比2桁減に

ビックカメラの2021年8月期1Q連結業績では売上高が2,005億5,200万円で前年同期比92.7%。営業利益は同88.4%、経常利益も同96.9%で減収減益となった。商品別ではテレビ、洗濯機、季節家電とパソコン本体、パソコン周辺機器が前年実績を上回ったが、その他は軒並み前年割れとなった。また、非家電のゲームは前年同期比で111.8%と家電商品の伸長率を上回る伸びを示した。

これらの商品動向からは、巣ごもりやテレワークというコロナ禍での需要増に対応する商品の売り上げが好調だったことが分かる。

物品販売事業での売上高は前年同期比92.6%で、経常利益は同90.9%。BS11のBSデジタル放送事業の売上高は同100.0%と横ばいで、経常利益は同152.0%と利益面は伸長した。

2020年10月8日にはアウトドアの専門店「ビックアウトドア立川」をオープンし、新たな顧客開拓にも取り組んだ

連結決算でのビックカメラの粗利益率は28.3%で、前年同期から約1.0ポイントアップした。営業利益率は1.9%で前年同期から0.1ポイントのダウンとなったが、経常利益率は2.3%で前年同期から逆に0.1ポイントのアップとなった。

感染者拡大で都市型ターミナル店への影響必至に

決算短信では単独の決算が公表されていないのだが、ビックカメラの連結決算とコジマの単独決算を比較すると、ビックカメラ単独での業績は連結以上に厳しいものと推測される。2021年に入って2度目の緊急事態宣言が発令され、都市型店舗は集客面で再び大きなハンデを背負いそうだ。

ネット経由の取り置きサービスや接客予約などで店舗への送客策を講じ、集客と囲い込みに注力する

ビックカメラは代表取締役の異動で、木村一義氏が1Qから社長に就任。組織体制の変更や役員人事も行った。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない状況が続いている中で、すぐに業績が改善されるような特効薬はない。ECは好調に推移しているようだが、実店舗での売り上げをカバーするまでにはいたっていない。

コロナ禍の収束が予想できない今、ビックカメラがどのような形で売り上げを積み上げ、利益を確保していくのか、注目していきたい。

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