ケーズの6月売上高は前年同月比74.7%で第1四半期は2桁減


3月決算の2021年度第1四半期が終わった。6月の動向はまだ発表されていないが、5月までの各工業会の出荷動向を見ると、前年同期を上回る出荷状況で前年2桁増となっている商品も数多い。しかし、出荷と販売は違う。販売が伸びなければ出荷も後追いで減少する。家電量販企業ではケーズホールディングスが毎月、他社よりも早く月次情報を開示しており、6月の売上高が発表された。前年が好調に推移したため、やはりその反動が現れている。

前年のハードルが高く、前年割れは想定内

ケーズホールディングスは毎月、月次速報を発表している。あくまでPOSデータでの速報で、決算等の業績とは異なる部分がある。その月次速報によると、2021年6月の子会社を含めた売上高は前年同月比74.7%。5月も92.6%で前年を割っており、4~6月の第1四半期累計では前年同期比89.3%、前年2桁減となった。

ただ、前年の5月は一昨年同月比で121.9%、6月は同140.5%と大きく伸長したため、前年同月のハードルが高かった影響が考えられる。同社では現在の状況について「前年のハードルが高いことは明らかなので、現状は想定内として捉えています」と話す。

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第1四半期累計は前年2桁減となったが一昨年と比較すると伸長しており、需要が減少したわけではない

第1四半期のテレビは前年同月比93.6%で、エアコンは同85.7%

6月の売上高を商品別でみると、テレビは前年同月比83.9%で、エアコンは67.2%。冷蔵庫や洗濯機、クリーナーなどの生活家電も軒並み前年実績割れとなっている。

同社では「昨年の6月はテレビが前年同月で150%を超えていました。当然、ハードルは高かったといえます。しかし、テレビでは50V型以上の売上が好調で、構成比も高くなってきています。目前に控えたオリンピックを見るために買い替えるというお客様も増えているようで、テレビの需要が下がったというわけではありません」という。

エアコンも昨年の6月は非常に暑く、一昨年比で149.7%に伸長したため、その反動が今回の結果とみている。

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好調に推移してきたテレビもここ2カ月は前年割れとなっているが、昨年の動向から前年割れは想定内という

主な品種として取り上げられている上記8商品の第1四半期累計はいずれも前年割れとなっている。想定内とはいえ、状況は厳しい。

客数は前年9掛けで、一部商品では品薄や品切れも

今年も緊急事態宣言の発令があり、同社の客数は第1四半期累計で前年同期の約90%。これには京都、大阪、兵庫の店舗が休業を余儀なくされたということも影響しているようだが、集客面ではまだまだ以前のような状況に戻っていないのが実状だ。

報道では半導体不足が喧伝されているが、「プリンターやFAX、電話、ムービーなどでは品不足や品薄となっている商品があります」。しかし、家電全体の供給不足という事態にはなっていないとのことである。

前年の第2四半期累計は一昨年同期比で91.8%。前年対比のハードルという意味では、第1四半期よりも低い。ワクチンの接種も進んでおり、「買い替えサイクルに入っている商品も多くあります」ということから、第1四半期の落ち込みを第2四半期でカバーし、上期累計の売上高は前年同期比94.5%を予想している。