月次速報による家電量販店の6月売上高は前年同月比70~80%台とダウン
前同比では2020年6月の販売好調が高いハードルに
6月前半は新型コロナウイルスの新規感染者が横ばいで推移していた。しかし、徐々に感染者が増加。ウイルスの接種が急ピッチで進んでいるが、状況が改善したとは言い難い。6月は消費行動にとって決して良い状況ではなかった。
これに加えて、前年の6月の単月業績はケーズホールディングス(以下、ケーズ)とコジマが一昨年同月比で130%超、エディオンも同2桁増と伸長した。同月比較では当然のことながら、分母(=前年同月の業績)が小さいほど、伸長率は高くなる。本年6月の販売環境と前年同月の業績を鑑みると、前年同月マイナスとなることは想定内といえるだろう。ケーズの月次速報による6月の売上高は既報のとおり、前年同月比74.7%。その他の3法人はどうだったのか。
エディオンの6月売上高は前年同月比80.4%で、4~6月の第1四半期は前年同期比92.7%。第2四半期累計売上高は同98.0%の予想で、月次と会計上の売上高は異なるが、前年の第2四半期が一昨年比で89.2%だったことを考えると、この予想を上回ることは可能と考えられる。
コジマの6月売上高は前年同月比76.0%だが、一昨年からは4.0%増
コジマの6月売上高は前年同月比76.0%。やはり前同月が好調だったことが前年割れの要因と同社では分析している。ただし、前年ではなく一昨年の同月と比較すると104%。つまり、前年よりは売上がダウンしたが、一昨年比ではプラスとなっており、成長が鈍化したわけではない。
商品別ではテレビが前年同月比75.2%、エアコンが同67.1%、洗濯機は同66.0%、冷蔵庫は同62.0%。この4商品は前年6月の業績が一昨年比でいずれも150.0%超となっており、先述した反動減による売上ダウンといえるだろう。ただし、洗濯機についてはドラム式洗濯機の在庫不足が影響した面もあるようだ。
同社は8月決算で、2021年8月期まで残すところあと2カ月。現時点での累計売上高は前年同期比105.7%。通期の売上高は前年比103.4%と予想している。前年の7月は一昨年同月比で118.8%。8月は同113.8%と業績は良かっただけに通期予想クリアには売上の底上げが必要といえよう。
厳しかった上期から盛り返してきたビックカメラの累計売上高は95.5%
ビックカメラの6月売上高は前年同月比83.2%で、2021年8月期累計では前年同期比95.5%。6月の品目別売上高は音響映像商品が前年同月比85.1%で、家庭電化商品が同80.7%、情報通信機器商品は同80.1%、その他の商品が同91.3%だった。
ビックカメラ単体の2021年8月期売上高予想は前年比102.7%。昨年の7月は一昨年比88.0%で、8月は同88.5%と低調だった。従って予想をクリアすることは可能だが、8月22日までの期間で東京は緊急事態宣言下にある。この影響が不確定要素で、予断を許さない状況といえるだろう。
依然として店舗の営業活動や来店客はコロナ禍前には戻っていない。しかし、以前と比べて下見や価格を調べるためだけに訪れるお客は少なくなったように見受けられる。コロナ禍、オリンピック、祝日の変更と、今年の7月は販売計画が立てにくい面がある。だからこそ、来店客に対しては成約率のアップに注力していきたい。