ヤマダ電機が宅配ボックスで24時間受け取りの実証実験を開始 ヤマダウェブコムでの注文商品を店舗外で受け取り


ヤマダ電機は6月18日、ネットでの注文品を宅配ボックス活用で24時間いつでも引き取り可能なサービスの実証実験を開始したと発表。検証の結果によって、このサービスを拡大していく予定もあり、ネットユーザーの利便性を向上させていく考えだ。

YAMADAホールセール江東新砂店の店外に宅配ボックスを設置

ヤマダ電機が宅配ボックスの設置で提携したのは、街中に置くオープン型宅配ボックス「ERY BOX」の開発・設置を行なっているERY JAPAN。現在、ERY JAPANでは提携先と協同で、東京の6カ所において実証実験を行なっているが、その1カ所がヤマダ電機の店舗というわけだ。

「ERY BOX」が設置されたのは、東京・江東区のYAMADAホールセール江東新砂店。同店ではヤマダウェブコムで注文した商品を店内で受け取れる「お店de受け取り」の専用カウンターを設置している。しかし、当然のことながら、お客が注文品を受け取れるのは店舗の営業時間内だ。同店の営業時間は午前10時から午後9時まで。この営業時間外での受け取りは不可能で、東京人にとって午後9時は決して遅い時間ではない。早朝から夜間、深夜も含めて24時間、受け取りができる意義は大きい。

宅配ボックスはYAMADAホールセール江東新砂店のエントラス左手の店外に設置

24時間受け取りでは、ヨドバシカメラが先駆けて導入し、Akiba、梅田、博多の3店舗で受け取りが可能となっている。いずれも大都市のターミナル駅に近接した店舗で、帰宅時に立ち寄ることはできる。ただし、そこから自宅まで受け取った商品を持って帰宅の途につかなくてはならないという不便さがある。また、同社の受け取りに関しては有人対応のため、お客の利便性向上の半面で人件費というコストが発生する。

お客の利便性と店舗サイドの負担減、さらに大きな枠では配達業者の再配達という問題もまるごと解決できるのが、オープン型宅配ボックスといえよう。

再配達の指定場所も可能で、受け取りの利便性が向上

今回、ヤマダ電機の実証実験では、ヤマダウェブコムで注文した商品の受け取り場所として「ERY BOX」を指定して24時間の受け取りを可能とするだけでなく、佐川急便による再配達の指定場所としても「ERY BOX」を指定することが可能。万が一、初回の受け取りができなかった場合でも「ERY BOX」での受け取りが可能となり、お客の利便性は飛躍的に高まる。

「ERY BOX」での受け取り方法は、非常に簡単だ。メールやSNSで受信した「配達のお知らせ」にQRコード、または暗証番号が記載されており、「ERY BOX」のタッチ画面からどちらかの方法を選択してQRコードをかざすか、暗証番号を入力。受け取りサインをタッチ画面で記入して確認ボタンを押すとボックス番号が指定され、解錠する。

受け取りは中央のタッチ画面を操作し、QRコードか暗証番号のいずれかでロッカーが開く仕組み

「ERY BOX」が設置されたYAMADAホールセール江東新砂店は東京メトロ・東西線の南砂町駅から徒歩3分。駅周辺は再開発により、乗降客は増加基調で推移し、団地やアパートなどの集合住宅が林立しているエリアだ。

ヨドバシカメラとは異なり、ターミナルではない駅に近接した店舗での宅配ボックス設置は、家電量販店でも同店が初の試みといえよう。前述のとおり、今回の24時間受け取りはあくまで実証事件だが、スピード感はヤマダ電機の特徴の一つでもある。実証実験によって有益性が確認できれば、一気に全国展開することも考えられないことではない。そうなると、ECでは他の家電量販企業に遅れを取った感もある同社が、その利便性を優位性としてECにおける存在感を急速にアップすることも考えられる。実験の期日は決まっていないようだが、今後の展開に期待したい。