popIn Aladdinが累計販売台数2万台を突破 購入者の51%は子供がいない家庭でリビングユースも過半数


2018年11月から一般販売を開始したプロジェクター付きシーリングライト「popIn Aladdin(ポップインアラジン)」の事業報告会が21日に開催された。先行販売と一般販売を合わせて17,000台を売り上げ、クラウドファンディングと合わせると累計販売台数は2万台を超えたという。

クラウドファンディングから一般販売へ

popInは6月21日、メディアや家電ライターを集めた「popIn Aladdin 事業報告会」を六本木ヒルズの本社で開催。多数の参加者が出席し、同社のこれまでの経緯や新しく付加した機能の紹介などが行なわれた。

popIn Aladdinは天井設置のシーリングライトにプロジェクターとスピーカー機能が搭載された、照明と映像、音響のハイブリッド家電だ。もともとはクラウドファンディング(以下、CF)の「Makuake」で大ブレークし、現在は楽天やAmazonなどのECと、家電量販店で販売をしている。

同社の創業者で代表取締役社長・程涛(テイ・トウ)氏は、「昨今、IoTデバイスが普及拡大しています。このデバイスで子供の世界観を広げることができないかと考えたのが、ポップインアラジンのスタート。自宅にいながらもさまざまなコンテンツを見て、聴くことで、いろいろな世界を子供に教え、子供の視野や世界観が広がると考えました」と語った。

子供たちの世界観を自然に広げたいと語るpopIn代表取締役社長の程涛氏。自身も3人の子供の父親だ

現在までの販売台数は2万台を突破

同社のこれまでの経緯と程社長への独占インタビューについては、当サイトで4月に紹介したので、そちらを閲覧していただきたいが、CF出品も含め、現在までの販売台数は約2万台を突破した。

2018年3月終了のCFで約2,700台、同年10月までの自社サイトによる先行販売で約2,300台、11月からの一般販売で約15,000台と、累計で販売台数は2万台を超えている

本年2月15日に実施された楽天市場の「お買い物マラソン」では、わずか2時間で872台の受注があったという。また、3月21日に放映された「アメトーーク」で同製品が紹介されたことでも大きな反響を呼び、2度にわたって楽天総合ランキング1位を獲得した。

楽天市場が不定期で実施しているお買い物マラソンでは、2/15の午後10時からの2時間という限られた時間にも関わらず、872台の注文があった

現在、お客が売り場でpopIn Aladdinを体験できる家電量販店は全国60店舗に拡大し、今後もさらに体験の場を増やしていきたいという。販売実績としては想像以上の反響だったため、現在は品切れ状態となっているが、7月には再入荷となる見通しで受注にも対応できるようになるとのことだ。

コンシューマー向けとしては好調に推移しているが、実はそれだけではない。法人向けとして導入済みのホテルが11カ所あり、さらに賃貸住宅を対象とした不動産販売・管理会社4社とも提携予定である。ホテルの室内設置におけるメリットは、シーリングライトという形状によりスペースを取らず、テレビ台やコンセントも不要であること。これは一般にとっても訴求ポイントの一つになる。

ホテルでは宿泊者がコンテンツを楽しめ、設置スペースも不要なため、B to Bでの需要も期待できる

高機能な単体製品をハイブリッド化

室内でプロジェクターを使用する場合は電源が必要だ。さらに通常は壁やスクリーンに対して下方向から投影するため、テレビやチェストなどが壁際にあるとプロジェクターを一定の高さまで上げる必要がある。popIn Aladdinはシーリングライト一体型のため、天井から斜めに投影し、電源の確保も投影の都度のセッティングも不要。台形補正機能も搭載しているので、投影面に対してpopIn Aladdinが多少斜めの角度で設置されていてもスクエアな画面で観ることができる。

また、Bluetooth対応スピーカーとしても使用が可能で、これにより天井から音が降ってくるという通常のBluetooth対応スピーカーでは味わえない体験ができる。スピーカーはオーディオブランドのハーマンカードン製を採用しているため、音質にもこだわった仕様となっている。

シーリングライトとしては昼光色から常夜灯まで、6段階の明るさと6種類の色から選べる調光・調色機能を備えている。3800lmのLEDライトによって8畳程度の部屋では通常のシーリングライトとして全く遜色のない使い方が可能だ。

つまり、シーリングライト、プロジェクター、スピーカーという個々の機器で捉えても単体機器に勝るとも劣らない機能が、ハイブリッド化による一体型で多用途となっているのだ。接客の際には、単に一体型のメリットを訴求するだけではなく、個別での機能としての特長もしっかりと伝えたい。

ユーザーが投影のためにアップした写真は72万枚

本体には多彩なアプリが搭載されており、無線LANでネットと接続して動画配信サービスを視聴することができる。また、壁面に時計を投影する壁時計や写真をアップロードして大画面のスライドショーが楽しめるフォトメモリーズ、美しい風景を壁面に投影するアート系やヒーリング系のコンテンツも充実している。

これまでフォトメモリーズにアップされた写真は72万枚、オリジナル時計が作れる「きせかえ時計」は1.4万個を数えた。いかにユーザーが購入後に同製品を使用しているかが分かる数字といえる。

博報堂DYメディアパートナーズのメディア環境研究所が毎年実施しているメディア定点調査2019によると、携帯電話/スマートフォンとの接触時間は1日約118分で、テレビは同154分。ところが、popIn Aladdinは同254分という。「自然に世界観を広げるという環境を提供したいという思いが、形となっているのではないかと思っています」と程社長は話す。

携帯/スマホは約2時間、テレビは約2時間半、popIn Aladdinは4時間超の接触時間となっている

購入者の51%が子供のいない層

もともと子供の世界観が豊かになってほしいと考えて開発した同製品だが、同社の調査によると、購入者層としてはファミリー層が49%で、シングルやDINKSなど子供のいない層が51%。

この結果について同社のローレンス・ジェファーズ シニアセールスマネージャーは「当社ではファミリーに向けてプロモーションを行なってきましたが、結果的にはどのような方々にも当社の製品を楽しんでいただけているということが分かりました」と話す。

同製品の購入者が実際に設置している場所については、寝室が47%でリビングが53%。これについても「リビングにはすでにテレビがあり、就寝前や起床時のリラックスした状態のときに使っていただきたいと考え、寝室での使用を推奨していました。リビング設置が半数以上ということは、一般の方のテレビ離れという傾向とともに、テレビ以上の大画面でコンテンツを視聴できる点に魅力を感じていただけたのではないかと考えています」(ジェファーズ氏)。

ユーザーの過半数がリビングに同製品を設置して楽しんでいる

2019年の目標としては、3万台を掲げる。「2019年の半年で1万台を販売していますので、残りの半年で2万台を販売していきたいと考えています」とジェファーズ氏は話す。この目標を達成するためには、より便利で魅力的なコンテンツをアップグレードして、未購入者の購入意欲を高める戦略だ。

登録無料のアカウント制度 Aladdin IDをスタート

今回、新たに導入するサービスが、Aladdin IDだ。これはユーザーが無料で登録できるIDで、以下の4つのサービスが利用可能になる。

①CINEMAアプリ。映画の予告編やさまざまな情報が毎週更新されるアプリで、映画のチケットプレゼントもある。

②同社が定期的に実施している特別イベントへの招待

③子供に関する悩みを、電話やLINEのチャットなどで小児科医に聞ける小児科オンライン。通常は月額3,980円(税抜き)の使用料がかかるが、同社がコストを負担するので利用し放題。

④ベビーシッターや家事代行のKIDS LINE。利用料金に還元できるポイントをプレゼント。

これらのサービスがAladdin IDに無料登録することで受けられる。

子育て中の親にとって、非常に有益なサービスを無料登録で受けられるのは大きなアピールポイントだ

また、このAladdin IDの開始に伴い、有料コンテンツも2つ追加した。その一つが「美風景」で、世界各国の美しい風景や“動く浮世絵”などが利用できる。月額利用料金は120円と非常にリーズナブルだ。

本体に内蔵されている20種類の風景は無料で、新たに2種類のコンテンツを追加(上)。それが“世界の風景”(中)と“動く浮世絵”(下)。浮世絵は上から雪が舞い降り、中央の川が流れる

もう1つの有料コンテンツが「世界の絵本」。プロのナレーターによる読み聞かせと自動ページ送り機能を搭載。本体に3冊分は内蔵されており、月額360円で毎月、新しい絵本が届くシステムだ。通常、書店で購入すると、1冊1,500円相当するが、360円で上記の機能も搭載しているので、非常にリーズナブルといえる。「あえて日本の絵本は入れていません。世界の絵本である理由は色使いやストーリーが日本とは異なることで、お子様の世界が広がると考えました」と程社長はその選定理由について話す。

プロのナレーターによる読み聞かせでは、読むスピードや声の強弱にもこだわっている

パートナー企業との提携でコンテンツをさらに充実

新しいサービスの紹介と合わせて、新たなパートナー企業との提携も現在進行系で進めているという。ヒーリング・ミュージックのCDやDVDの制作・販売を手がけるデラとの業務提携がその1つ。「popIn Aladdinは寝室での導入を推奨しており、睡眠導入が大きなテーマとなっています。ヒーリング・ミュージックとライトの調光などをセットにして快適な入眠ができ、睡眠の質を改善することができると考えています」(程社長)。

もう1社がナショナル・ジオグラフィック。本体には等身大動物図鑑というコンテンツが内蔵されており、特に動物写真を中心として同社が所有している写真をコンテンツに活用していくという。

国内最大の動画配信サービスのU-NEXTは、ユーザーからの追加アプリのリクエストも多かったということで、近日中に動画系アプリに追加される見込みだ。

「夏からはTVCMでのプロモーションも予定しており、地方での放映からスタートし、全国でのCM展開も考えています。壁に投影するコンテンツを通して、世界観が豊かになるようなサービスを、Aladdin IDを通してどんどん提供していきます。」と程社長は語った。

売り場では世界観や価値を伝えることに注力を

いわゆる高付加価値商品の販売においては、お客にその商品の価値をいかに伝えるかが重要だ。popIn Aladdinの体験店舗では、それぞれに工夫を凝らした展示演出がされている。実際に老若男女問わず、足を止めるお客は少なくない。しかし、同製品が内蔵しているコンテンツの数々を実際に試せるという形にはなっていない面もある。

コンテンツの選択や設定などは、壁面に投影された画面の内容を付属のリモコンで操作するだけで簡単にできる。リモコンに盗難防止用の加工を施したうえで、コンテンツの簡単な紹介と選択方法を記載した用紙を置くだけで、来店客がもっと自由に体験できるはずだ。ライトの色調や調光も含めて、より体験しやすい場を作ることで、お客は自分自身にとっての価値を発見できるのではないだろうか。

売り場は一般家庭と比べて非常に明るいため、搭載した映像が薄く表示されてしまう傾向がある。売り場の照度を落とすわけにはいかないので、投影している映像は、濃い色や鮮やかな色が使われているコンテンツを選びたい。

接客の際、子供連れであれば世界の絵本や等身大動物図鑑をお客に見せながら、本体がシーリングライトなので機器の転倒や落下、不注意による破損がなく、子供にとっての安全性も伝えよう。また、先述の小児科オンラインやKIDS LINEといった子育て支援サービスについても紹介したい。

シングルやカップルのお客に対しては動画配信サービスとヒーリング系のコンテンツを見せて説明をすると同時に、Bluetoothスピーカーとしての機能もしっかりと訴求しよう。購入者の約半数がファミリー層ではないこと、リビングでの使用が半数以上という調査結果も伝えることにより、お客は自分にとっての使い方をイメージし、関心は1段階高いものになると思われる。

プロジェクター、シーリングライト、スピーカー一体型のpopIn Aladdinはこれまでにない全く新しい製品だ。だからこそ、お客が自宅に設置して使用するイメージが描けるような情報を売り場で提供し、お客にとっての価値が見いだせるような展示演出を売り場で実践しよう。

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