石油ファンヒーター再発見!


石油ファンヒーターの市場動向

石油ファンヒーターの出荷動向を見ると、市場はここ数年、緩やかに縮小している。しかし、石油ファンヒーター市場は7年毎に増減を繰り返す特徴があり、前回の需要ピークは東日本大震災があった2011年。
電力消費を抑えるために石油ファンヒーターを購入したユーザーの買い替え需要が今冬から始まり、市場は2018年に向けて増加基調で推移すると予測される。

ファンヒーター表

気になるのは今冬の気温と灯油価格。気温は11月末現在、平年並みか寒くなるという予報で、エルニーニョ現象の影響で暖冬だった昨冬よりも寒くなりそうだ。
また、灯油価格は11月現在安めで推移しており、大幅な価格上昇もない見込みだ。

ダイニチ工業の担当者によると、消費者はは商品選定の際、灯油価格などのランニングコストよりも、いかに温かさを提供してくれるかを重視する傾向にあるという。

ほかの暖房機器にはない、石油ファンヒーターの特性

近年、エアコンや電気暖房機器の需要が高まってきている。先述したこれからの買い替え需要に向けて、石油ファンヒーターの利点の再認知を強化したい。

電気暖房機器は、コンセントの定格容量に限界があるため、どうしても出力制限が生じる。

また、エアコンは温風が出るまでの立ち上がりが遅い傾向にあり、さらに設置場所が天井近くのため、どうしても足元が冷えがちだ。

このような電気暖房機器の弱点をクリアしているのが石油ファンヒーター。電力消費が少なく、すぐに温まり、吹き出し口が床に近いため足元から部屋全体を温める。

特に店頭でアピールしたい石油ファンヒーターならではの特性は、乾燥しにくいということ。灯油は、1L燃えると、化学反応により同じく1Lの水が生成されます。例えば、ダイニチ工業の小型加湿器1台分と同程度の加湿が、暖房と同時に得られるのだ。

夏場に同じ気温でも湿度が高いとより暑く感じるのと同じで、加湿によって体感温度が高くなる。同担当者によると、設定温度22度のエアコンと、20度設定の石油ファンヒーターが同じ温かさに感じるという。

このような石油ファンヒーターならではの特性を生かし、エアコンや他の暖房機器とのセット提案も積極的に取り組みたい。

適切なサイズを訴求して単価アップ

接客の際はより高単価商品を販売するために、部屋の広さと環境に合わせた適切なサイズ+用途に応じた付加機能を提案しよう。

ダイニチ工業では、石油ファンヒーターのあたため畳数の目安が東京の住宅を基準に設定しているため、寒冷地ではそれよりも大きい機種が適切。サイズアップで単価アップが図れる。

また、最近の住宅は天井が高い造りが多く、顧客の想定畳数よりも大きい機種のほうが快適に暖まる。

10畳以上の部屋に設置する場合、顧客は購入価格を抑えるために適正機種よりも小さいタイプを選ぶ傾向がある。しかし、満足のいく暖を得られないうえに、灯油をムダに消費してしまうことを伝えて、適切なサイズをオススメしたい。

リビングに設置する場合は、高単価商品をオススメするチャンス。来客を気にして高単価の商品を購入する傾向が高く、さらに人の出入りが多いため、エコモードなどの付加機能がついたモデルを求める顧客が多いのだ。誰もが知っている石油ファンヒーターだが、その特性を再度アピールすることで、新たな発見を顧客にもたらしてくれるだろう。今冬は石油ファンヒーターの魅力の再発見を促し、購入に結び付けたい。