2016年4月の「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」の適用後、SIMフリースマホ市場は大きく拡大している。そのSIMフリースマホにおいて急速にシェアを拡大しているのが、ファーウェイだ。日本は言うに及ばず、グローバルでのマーケットシェアはサムスン、アップルに次ぐ3位となっている。
ファーウェイは2015年10月にスマートウォッチのHuawei Watch、2016年7月には2イン1PCのMateBookを日本市場で発売。スマートフォンのみならず情報通信分野においてもラインアップを広げ、認知度が急速に高まっている。
12月13日に東京・ベルサール東京日本橋で開催された新製品発表会でも多数のメディアが集まり、同社に対する注目の高さが表れた。
「一歩先の世界へ」とうたうフラグシップモデルのMate9
13日に発表された新製品は、スマートフォンの最上位機種となるMate9、世界的なオーディオメーカーであるアメリカのハーマン社のチューニングでダイナミックなサウンドを再現する8.4インチタブレットのMediaPad M3、心拍測定機能を搭載した長時間の連続使用が可能なウェアラブル機器のHUAWEI FITの3モデル。
操作性、長時間使用、高画質撮影に優れたフラグシップ・スマホのMate9
スマートフォンの新製品Mate 9はARM社の最新設計を採用したオクタコアCPU「Kirin960」を搭載。CPUのパフォーマンスは同社の従来比で18%、電力効率も15%とアップ。快適な操作性と高速レスポンスを実現した。
バッテリーは大容量の4,000mAhで、標準的な利用で2日以上の連続使用が可能。さらに20分の充電で約1日使用が可能な急速充電機能を搭載。
カメラ部は同社のP9で高い評価を得ているライカのダブルレンズを搭載。モノクロ2,000万画素とRGB1,200万画素のデュアルセンサーにより、陰影情報を捉える性能は従来比で50%アップした。
呉波(ゴ・ハ)氏はMate9について、「最先端の技術を搭載し、OSのスムーズ性、バッテリーの駆動時間、カメラ機能を搭載した革命的なAndroidスマートフォンを開発した」と説明。新製品に対する自信のほどをのぞかせた。
ハーマンカードンによる「極上の音の世界」を提供する「MediaPad M3」
タブレットでありながらも音にこだわり、迫力ある音響空間を再現した「MediaPad M2」の後継機種として16日から発売されたのが、「M3」である。
搭載されたCPUは前機種のKirin930オクタコアからKirin950オクタコアに変更。マルチタスクに強く、パワフルかつ省電力を実現した。
「M2」でもサウンドチューニングはアメリカのハーマン社によるものだったが、「M3」でもこれを継承。HUAWEI独自のサラウンドテクノロジー「SWS」は前機種の2.0から「3.0」に進化。力強さと歪みのない音を再現する。
プレミアムモデルにはAKGイヤホンが付属
同製品のラインアップは、スタンダード2モデル(Wi-FiとLTEの2タイプ)とプレミアムモデル。スタンダードのメモリはRAMが4GB、ROMが32GB。プレミアムモデルはROMが64GBとなっている。さらにプレミアムモデルには、プロも使用するヘッドホンメーカーであるAKGのイヤホンが付属されている。
心拍数も測れる手のひらサイズのパーソナルトレーナーHUAWEI FIT
1回の充電で6日間の連続使用時間が可能なスポーツリストバンドがHUAWEI FITだ。
1.04インチの有機ELディスプレイと透明感のあるゴリラガラス、丸型のアルミケースの組み合わせにより、あらゆる生活シーンにフィットするデザインとなっている。
高品質光源部品の採用と横一列に配置したLEDにより、精度の高い心拍測定ができる。さらに独自の肌色識別アルゴリズムを採用し、肌の色から光の吸収を感知してフォトセンサーで光の調整をすることにより、測定精度をより高めた。
心拍数の測定や各種の活動量を計測し、ダイエットを目的とした有酸素運動や筋力アップのための無酸素運動など、6つのレベルで運動強度を確認できる。また、5気圧防水なので、装着したままプールでのスイミングをサポートする。
Bluetoothでスマートフォンと連動させることにより、着信やメールの通知をリアルタイムで確認することができる。また、長時間の座りっぱなし防止やバッテリーの減少に対するアラート機能も内蔵している。
NPSを製品・ブランド評価の指標に活用
発表会後の会見で呉波氏は、ファーウェイが好調にシェアを拡大している理由について、品質はもちろんとしながらも、「これまで特に広告宣伝に力を入れてきたわけではなく、NPSを指標としてきた」と解説した。
NPSとは、ネット・プロモーター・スコアの略称で近年、ブランディングの構築やリピーターの獲得などを目的に、このNPSを調査し、指標として活用する企業が増加傾向にある。
NPSの調査内容を一言で表すと、「当該企業や当該企業の製品、サービスなどを友人や知人に勧めるか?」というもの。この質問で得られた回答を、その点数によって「推奨者」「中立者」「批判者」の3つのグループに分類し、「推奨者」から「批判者」を引いた数値がNPSとなるのだ。
生き残るために品質にこだわる
呉波氏は「日本市場でのNPSは、満足のいく数字となっている。日本市場での目標をよく聞かれるが、常に『生き残ること』と回答している。そのために注力してきたのが品質」と話し、NPSでの高い評価が、同社がこだわってきた品質に起因していると分析した。
消費者の中国メーカーに対する見方は、一般的に厳しいといえるだろう。だからこそ品質にこだわった。一過性の大々的なキャンペーン展開で認知度アップを図るのではなく、ヘビーユーザーやリテラシーの高いユーザーからの支持を獲得し、それが次第に広がる形でシェアアップにつながった。
「日本市場に関しては、消費者の理解を変えようと努めてきた。SIMフリーは単に安いということではなく、消費者が好きな機種を自由に選択できるというメッセージを発信してきた」と呉波氏は語る。
この秋からキャンペーンや宣伝告知活動にも積極的な展開を図り、さらに日本市場で攻勢に転じようとするファーウェイ。今後、日本市場での存在感はますます高まっていきそうだ。