2016年の家電市場

GfKジャパンによると、2016年の家電小売り市場規模は、前年比1.5%減の7兆円。カテゴリーごとにみていくと、洗濯機やエアコンなどの大型家電が金額前年比2%増となった。さらに、空気清浄器、ドライヤー、オーブントースターなどの小物家電も好調に推移した。
IT関連製品はパソコン本体と周辺機器の需要が減少。AV関連製品は4Kテレビが伸長したものの、その他の主要製品の需要減を補うには至らず金額前年比は6%減となった。
それでは、各カテゴリーの詳細をみていこう。

黒物は4Kの販売台数が伸長

2016年のAV市場は、平均価格の上昇が見られたが、全体的な販売台数の減少を補うには至らず、市場は縮小で推移した。

平均単価上昇の要因の１つが、4Kテレビの伸長だ。4Kテレビの販売台数は前年の1.9倍となる105万台に達し、薄型テレビに占める4Kテレビの構成比は数量ベースで22%、金額ベースでは50%に拡大した。一方で、テレビ全体の売台数は前年比15%減の490万台。上半期は2015年のデジアナ変換サービス終了に伴う特需との対比で大幅縮小となったが、下半期は1%のプラス成長となり、需要縮小に下げ止まり感が見られた。しかし、通期の薄型テレビの金額前年比は3%減の落ち込みとなった。

BDレコーダーは前年比11%減の210万台と厳しい状況が続いている。一方で、4基以上のチューナー搭載機は数量前年比63%増、数量構成比では8%へ拡大した。このほか、4Kテレビなどの交付加価値テレビに搭載された内蔵スピーカー性能の向上などは、サウンドバー/サウンドベースは数量前年比7%減となった。

ヘッドホン/ヘッドセット※2は引き続き好調。ハイレゾ対応機が数量前年比48%増、Bluetooth対応機が同18%増となるなど、高価格帯製品の販売が拡大しており、平均価格は前年から6%上昇した。

テレコム市場

2016年の携帯電話市場は総務省による端末値引きの適正化施策により縮小が懸念されていたものの、販売台数は前年比3%減の3010万台にとどまった。とはいえ、契約種別にみると、MNPを含む新規契約販売は同25%減と適正化施策の影響をうけた格好だ。なお、SIMフリースマートフォンは数量構成比でスマートフォンの5%を占め、拡大基調で推移している。

IT市場　注)リテール市場は省略

パソコン※3は前年比1%減の1,100万台タブレット端末※5は前年比6%減の690万台と通年で初めてのマイナス成長となり、パソコンとタブレット端末と合わせてみると、市場は前年比3%減の1,790万台となった。
プリンター・複合機はインクジェットの販売減により、前年比9%減の520万台となった。

イメージング市場

デジタルカメラは前年比25%減の380万台となった。カテゴリー別でみると、コンパクトカメラは同27%減の240万台、レンズ交換式カメラは同20%減の140万台。厳しい市場の中にあって、4K動画撮影モデルは数量構成比で5%へ拡大した。

ドラム洗、冷蔵庫は大容量が好調

生活家電

2016年の生活家電市場は、販売数量で前年を下回る製品があったものの、平均価格の上昇により金額ベースでは成長を維持した。

冷蔵庫は前年比2%減の430万台。ここ数年では一番低い水準で、需要期の6月~8月が平年の販売台数を大きく下回ったことが影響したとみられる。容量別※4の数量構成比は、200L以下が38%、201～400Lが22%、401L以上が40%を占め、前年から大きな変化はない。また、ここ数年続いていた容量601L以上の拡大もみられなかった。

洗濯機の販売台数は480万台と前年並みで推移した。洗濯容量別の数量構成比では、6kg未満が前年から2%ポイント拡大して29%、6kg以上8kg未満は3%ポイントの減少で31%、8kg以上は1%ポイント拡大して40%となり、特に10kg以上の構成比は前年の５％から17％に拡大した。洗濯容量10kg以上のモデルやドラム式の伸長等により、洗濯機の平均価格は66,000円に上昇。過去5年で最も高い水準となった。

タイプ別の数量前年比では、縦型が前年並み、二槽式が5%減となる中、ドラム式は3%増とプラス成長。洗濯容量10kg以上のモデルやドラム式の伸長等により、洗濯機の金額前年比は5%増と、過去５年で一番高い水準となった。

エアコンは前年比3%増の790万台。比較対象の2015年の水準が低かったこともあるが、市場は総じて回復基調といえる。また、平均価格が上昇しており、金額前年比は5%増となった。

掃除機は前年比3%減の830万台で、2年連続の縮小となった。スティックタイプは同19%増、ロボットタイプは同11%増と伸長しているカテゴリーがあるものの、シリンダタイプは同8%減、ハンディータイプも同25%減と縮小した。
タイプ別構成比では、スティックタイプの構成比が前年から6%ポイントの拡大となった。同タイプでは高単価のコードレス式が66%に拡大したことで平均価格が前年から6%上昇し、ロボットタイプも7%上昇。しかし、シリンダタイプやハンディータイプにおける価格低下で相殺され、上昇が続いていた掃除機の平均価格は22,300円と前年から変化がなかった。

※1.全国の有力家電・IT取扱店（家電量販店、地域家電店、総合量販店、カメラ専門店、携帯電話専門店、ネット通販等）からPOS データ等を収集し、統計的な手法に基づき全国市場規模相当に拡大推計した
※2.ヘッドホン・・マイク無しのイヤホン・ヘッドホン製品（ステレオのみ）、  ヘッドセット・・マイクを備えたイヤホン・ヘッドホン製品（ステレオ・モノラル）
※3.Windows8/8.1/10搭載のスレート型情報端末を含む
※4.2015年のJIS改正により一部新JIS表示値を採用
※写真は全て「コジマ×ビックカメラららぽーとTOKYO-BAY店」オープン時に編集部で撮影したもの