【第1回】電話応対編 電話応対の基本を極めてCSアップを

パート、アルバイト、新人のためのスタートアップ講座 第1回・電話応対編


新人が入ってくる春。基本的な挨拶のほかにも覚えるべきことは多々ある。そこで取材時に店長などから「新人にぜひ覚えてほしい」と言われたことについて、連載形式で紹介する。パートやアルバイトの方もぜひチェックしていただきたい

「電話の応対が苦手な新人が多い」という話をよく耳にする。特に今の若い世代は、スマホを使ってLINEなどの文字情報でやりとりをすることが多いため、電話をかけることに慣れていないという面もある。また、電話をしても友達のスマホに直接連絡をすることが多いので、「親しくない人」に電話をする経験が少ないともいえる。そこで、今回は店舗取材やコールセンターへのヒアリングなどを踏まえて、「電話応対」のポイントについてまとめる。

声の出し方

コールセンターの指導で印象的だったのは「声の出し方」に関すること。具体的には「下を向かない」「表情をつくる」ことに気を付け、声を出す。
下を向くと、人の声は暗くなりがち。前方か上方を向いて話すと明るい響きの声になるという。資料やメモなどを読む際は、机の上に置いて読むのではなく、手に持って話すようにすると、視線が下に落ちない。

また、表情をつくると、それに従って声の調子も変わる。通常の案内の際は、ニコニコした表情をつくり、クレーム対応や受けられないサービスの案内などをする際は、すまなそうな表情をつくって話をするようにすると、表情が声に伝わり、相手にも気持ちが届く。コールセンターでは電話応対の時の自分の表情を確認するため、電話のそばに鏡を置いているところも少なくない。
特に、難しい対応や緊張しそうな電話の場合は、顔がこわばりがち。鏡の前で一度笑顔をつくってから電話をすることで、明るい声を出すことができる。

スピード

電話は、声だけのやりとりになり、態度やジェスチャーが相手に見えない。言い間違いや聞き間違いがないよう、普段話しているよりもわざと「ゆっくり」話すことを心がけるのがポイントだ。急いでいる用件ほど早口になりがちなので、意識してゆっくり話すことが重要。明るくはきはき、そしてゆっくりと話すことで好印象の電話応対になる。

受信も発信もメモを用意する

電話をする際はメモを用意するとスムーズな応対ができる。「発信」のときは、箇条書きでもよいので、話す内容をまとめておく。そうすることで頭の中が整理できて、明確に用件を伝えることができる。

「受信」の時は、相手からの用件に関して聞き間違いがないようにメモをする。細かい内容になるほど、メモが重要だ。いつでも必要なときにメモができる準備をしておくと安心だ。
メモの文字は、漢字よりは画数が少なく記述のスピードが早いこと、ひらがなよりも曲線が少ないので誤字が少ないなどの理由で、カタカナで書くのがオススメだ。また、すぐに対応しなくてはいけない場合には「☆」、折り返しが必要な場合は「CB」などのように、記号や略語を使うことで正確なメモを素早くとることができる。

メモのポイント例)
●いつ
●誰から
●誰に
●どのような用件で
●相手が求めるアクション(折り返しが必要かなど)
●折り返す場合の連絡先や電話をかけてもよい時間帯
など

復唱する

氏名、住所、電話番号、日時、価格、商品名、数量、価格など、重要な内容は必ず復唱する。単におうむ返しをするだけでなく、言い換え、説明を加えての復唱、まとめた復唱、用件を要約した復唱など、受け答えに工夫すると勘違いや聞き間違いを防ぐことができる。
例)
●1時→午後1時、昼間の1時、13時
※1,4,7は言い間違いが多いので、「しちじ」を「ななじ」というように言い方を変えて復唱する
●来週の火曜日→14日の火曜日
●03→はい03
11×△→はい、11×△
1111→はい、1111。復唱いたします。03-11×△-1111ですね
※相手が言っていることを途中で復唱し、さらに最後にまとめて復唱する

ひと言付けたす工夫

用件以外の言葉をひと言付け足すだけで、電話応対の印象がよくなる。

例)
●受信の際、電話がかかってきてもすぐにとれなかった場合に「大変お待たせいたしました」と、すまなそうな表情をつくって言う
●発信の際、「今お時間、よろしいですか」と、最初に伝える
●相手が名前を名乗らない場合、「私△△と申します。お客様のお名前を伺ってもよろしいですか」と、先に名乗って相手が名乗りやすくする
●電話を切る際、「ほかにご不明な点などございませんか」と確認する
●保留をする際「少々おまちくださいませ」、待たせてしまうような場合は、中間報告をする(一般的に言われている保留時間の目安は20~30秒以内)
–など

このほか、語尾までしっかり発音する、相手が切ってから受話器を置くか、用件終了後3~5秒待って静かに受話器を置くなど、最後まで気を抜かない対応をすることで、電話の印象アップにつなげることができる。

電話をとる前に深呼吸するなどリラックスし、「笑顔で、明るく、はきはきと、ゆっくり話し、メモをとり、復唱する」ことを意識すると、CSの向上につながる電話応対になる。