パナソニックの高級炊飯器 “銘柄炊き”を接客トークに生かす



3月23日、パナソニックが炊飯器とスチームオーブンレンジのメディア向け新商品セミナーを開催した。その中で、特に炊飯器の新商品に注目した。

パナソニック史上最高の甘み

新商品の特長は「従来比品より甘みが約10%アップ、もちもち感が約9%向上」したご飯。
この実現に至ったポイントは2つだ。

1つめは炊飯工程の後半の追い炊き時にも加圧・高温化する「加圧追い炊き」の搭載だ。
これは、かまど炊きの炊飯工程でいうところの「ひと握りのわら燃やし」の工程にあたる、「追い炊き」時にも加圧して釜内の高温化する機能だ。従来よりも耐圧性の高い素材を採用することで加圧して高温化することを可能にした。これにより甘みが従来比約10%アップ、もちもち感(ねばり)が約9%向上している。

2つめは、内釜の改良だ。内釜の高断熱中空セラミックスを従来比約30%増量することで断熱性能を約10%アップ。高い断熱性で釜内の熱を外に逃がしにくくして閉じ込めるので米のひと粒ひと粒に熱を伝え甘みを引き出すという。

銘柄炊き分けは50種類に

従来から好評の銘柄炊き分けは、今年新発売の銘柄を含む50種類に対応している。
同社では、店頭販促、宣伝に加え「銘柄食べ比べ亭」といった食べ比べ体験を全国で展開するとしている。さらに、WEBでは各地の銘柄と”ごはんの供”と椀物を組み合わせた「至高の一膳」を順次紹介していく予定だ。

米の銘柄と、地元のごはんの供を組み合わせた”至高の一膳”を紹介
米の銘柄と、地元のごはんの供を組み合わせた”至高の一膳”を紹介

米の生産者をたずね、3トンの米を炊いて開発

同社には「ライスレディ」と呼ばれる炊飯器調理のソフト開発チームがある。おいしいご飯を追求するのが彼女たちの使命だという。セミナーの席上にはライスレディの加古さおりさんが登場。新製品の1台の開発につき約3トンの米を炊いてデータを集めたという。
さらに、実際に産地まで足を運ぶこともあるという。

パナソニック炊飯器技術部ライスレディの加古さおりさん
パナソニック炊飯器技術部ライスレディの加古さおりさん

「米の特長が出ている」生産者も納得

セミナー当日は、北海道「ゆめぴりか」、岩手県「金色の風」、秋田県「あきたこまち」、新潟県「新之助」の4銘柄の生産者が登壇。

「炊飯器を開けた瞬間、ご飯にツヤがあって粒が立っていて驚きました。食べてみると、ゆめぴりかの特長がしっかり出ているのが分かりました」(ゆめぴりかの生産者 北海道立総合研究機構 農業研究本部 上川農業試験場研究部の佐藤穀氏)など、「Wおどり炊きSR-SPX7シリーズ」で炊いた感想を述べた。

店頭では「どんなお米を食べていますか」と声かけを

WEBメディアの編集者に話を聞くと、白モノ家電の記事の中でも「炊飯器」に関する記事のビュー数は高くなる傾向にあるという。

都市型店舗の調理担当者(A氏)によれば「ネットで家電のことを下調べするお客様は増えていますが、特に炊飯器はほかの家電に比べ自分でいろいろなクチコミを深く調べてくる方が多い印象があります。しかし、”ごはんのおいしさ”は主観によるところが大きいので、結局どの炊飯器がよいのか分からず、店頭にオススメ商品を聞きにきたという方が少なくありません」という。

下調べする来店客が多いため、投げかけられる質問も千差万別。そのため、広く細かい商品知識が求められ接客が難しい商品のひとつだ、とA氏は話す。
「大きく分けると圧力系と非圧力系で味がかわるので、お客様に炊き上がりの好みを伺います。その際、お米についても”どんなお米を食べていますか”と必ず伺うようにしています」(A氏)。

米の銘柄をたずねることで、味の好みが聞き出しやすくなる。さらに「新潟からお米を取り寄せている」などといわれれば、銘柄の炊き分けをフックに商品の説明をしていくのだという。

前出のパナソニックの加古さんは「米の作り手の思い、炊き手の思い、双方が納得した炊き上がりでお客様にお届けしたい」と話す。今年はパナソニックがCMなどで「銘柄炊き分け」をひとつのキーポイントにして展開してくようだ。それに便乗し、「自分好みのご飯が炊ける」という各社の炊き分けメニューを店頭でアピールしてみてはどうか。

パナソニックのWおどり炊きSR-SPX7シリーズ
パナソニックのWおどり炊きSR-SPX7シリーズ