【第2回】最寄り品の販売 乾電池編 乾電池の正しい知識を知ろう 接客でTIPSを伝えてCSアップを

パート、アルバイト、新人のためのスタートアップ講座 第2回・乾電池編


新入社員やパート、アルバイトの新人のためのスタートアップ講座の第2回は「最寄り品の販売」。乾電池編とSDカード編に分けてお届けする。乾電池やSDカードなど、セルフ売り場になっている小物商品は接客がつい疎かになりがち。しかし、このような最寄り品にまで細やかな接客をすることが、CSの向上につながる。来店客から商品の場所を尋ねられることが多い最寄り品だからこそ、商品知識をしっかりと身に着け、接客を通じて顧客の獲得につなげたい。

意外と知らない乾電池の知識

誰もが何気なく使っているのが乾電池。目覚まし時計やリモコン、ポータブル機器防災用品など、いろいろな家電機器に使われているが、あまりに身近すぎるためか、意外と正しい知識を持っていないのではないだろうか。

電池、特に一次電池と呼ばれる使い捨ての乾電池は家電量販店だけでなく、スーパーやコンビニ、ホームセンターなどでも販売をしており、最近では100円ショップでも輸入品の安価な複数本パックが販売されている。

それだけ身近な商品だが、使い方は機器のプラスとマイナスの極に合わせて電池を入れる。それだけのことなので、ほとんどの消費者が電池の取り扱い方法について注意を払うことがないのだろう。

新人は、いきなり大型商品の担当になることはなく、まずは最寄り品や小物商品から覚えるというパターンが一般的。乾電池の販売というよりも、乾電池を使用した機器の販売をすることがメインとなる。その機器の接客の際に、ひとこと乾電池についても説明をすることで、店の印象は格段に良くなる。

お客にとっては新人もベテランも関係はない。その店の従業員という見方をする。だからこそ、お客は新人のちょっとしたひとことでも真剣に聞いてくれる。日頃から使ってはいるが、知らなかった知識を提供してくれたことに対して、感謝もされるかもしれない。それが新人には自信となり、モチベーションにもつながるだろう。

使用機会は多いが、意外と乾電池の正しい知識は知られていない
使用機会は多いが、意外と乾電池の正しい知識は知られていない

では、ちょっとひとことに使える乾電池のTIPSを紹介しよう。

電池を複数本使用する機器の電池交換は、すべてを交換する

複数本の電池が必要な機器で電池交換をする場合は、すべてを交換することが大事。使用期間の異なる電池をセットとして使用すると、使用期間の違いによって個々の電池には電圧差が生じてしまう。

前から入れたままにしている電池と、新たに入れた電池とでは、その時点で容量に差が生じており、容量の多い電池から容量の少ない電池へ充電してしまうということもあり、過放電によって液漏れの原因ともなることが考えられる。

簡単に言うと、新しい電池が古い電池の性能に引きずられ、新しい電池のパワーを存分に発揮できないばかりか、悪くすると液漏れによって機器自体が壊れることもある、ということだ。

電池交換の際は、必要な本数すべてを交換することを伝えよう。

電池交換の際は必要な本数をすべて換えるため、複数本パックを提案しよう
電池交換の際は必要な本数をすべて換えるため、複数本パックを提案しよう

マンガンは消費電力の小さい機器向けで、アルカリは大きい機器向け

マンガン乾電池の特徴は休ませると電力が少し回復することと、電圧はゆっくりとなだらかに低下していくことから、時々使用する機器や消費電力が小さい機器の使用に適している。

使用例としてはテレビやエアコンのリモコン、懐中電灯、時計などが挙げられる。

アルカリ乾電池はマンガン乾電池よりもパワーがあり、さらにマンガンよりも電圧が長持ちするという特徴があるため、連続での使用や消費電力が大きい機器の使用に適している。

使用例としてはCD・DVD・ラジカセなどのポータブル機器やラジコン、シェーバーなどのモーターを使用している機器が適している。

使用機器によってマンガンとアルカリの使い分けを提案しよう
使用機器によってマンガンとアルカリの使い分けを提案しよう

マンガンとアルカリを混合して使用すると電圧低下までの時間が異なることから、先に電圧が低下した電池に電圧が低下していない電池から充電をしてしまうことになる。そのため、先述の複数本数の使用と同じ状況となり、機器の故障の原因になることもあるので、アルカリとマンガンを一緒に使用することは避ける。

使用しない期間が長いときは電池を抜いておく

電池を入れる機器によっては待機電力を必要とするものがある。つまり、スイッチを入れて使わなくても微弱な電流が常に流れているということだ。機器を使用していないのに、いざ使おうとするとバッテリーが切れていることがある。原因は、この微弱な電流が流れているためだ。また、電流は流れていないが、自然放電でのバッテリー切れというケースもある。

特に緊急性のない機器だと電池を交換すればよいが、防災用品などの場合は、必要なときに作動しないということになりかねない。そのため、防災用品などに使用する際は機器の横に置いておくことで、いざという時でも使用できる状態にしておきたい。

例えば防災用の懐中電灯であれば、電池はパッケージから出さない状態で懐中電灯の横に置いておこう。また、パッケージから取り出した電池の場合、1年が経過したあたりでチェックしておくことを忘れずに伝えたい。

時々使用する場合は、電池を入れっぱなしにしないことを伝えよう
時々使用する場合は、電池を入れっぱなしにしないことを伝えよう

乾電池は風通しがよく、直射日光が当たらない場所で保管しよう

未開封や一度開封した乾電池は冷蔵庫で保管しておくと長持ちする、と聞いたことがあるかもしれない。まるで都市伝説のような話だが、実際にはどうなのだろうか。

乾電池は本体内部に収められた内容物が化学反応を起こすことで電気を発生する。乾電池を冷やすことで、化学反応は起きにくくなる。したがって、冷蔵庫で保管するというのは、理屈のうえでは正しいといえる。

しかし、冷蔵庫での保管では結露という問題が発生する。冷蔵庫のドアを頻繁に開閉したり、あるいは冷蔵状態から常温状態にして放置すると結露が生じる。すると、結露の影響で端子にサビが生じてしまうことがあるのだ。

理屈上は冷やすことが正しいのだが、室内とあまりに異なる温度の状態で保管しておくと、実際の使用時にトラブルが生じてしまう恐れがある。

乾電池を保管する時は直射日光が当たらず、高温多湿ではない場所で保管することを勧めよう。