シャープが8K対応モニターと受信機を発表 8K時代に向け、ラインアップを強化
2016年から試験放送が始まっている4K・8K放送。来年の2018年には4Kの実用放送が開始される見込みで、これに合わせて8Kの実用放送も一部でスタートとなりそうだ。シャープは8Kの新製品を発表。今回の新製品は民生用ではなく、業務用という位置づけだが、4Kの次に控える8Kの映像関連機器でリーディングカンパニーとなるべく、ラインアップを拡充させていく考えである。
8K映像モニターは6月、受信機は4月に発売
4月12日、シャープは同社の幕張事業所において新製品の70型8K映像モニター「LV-70002」と8K試験放送対応高度広帯域衛星デジタル放送受信機「TU-SH1050」を発表した。
「LV-70002」は6月30日発売で想定価格は約800万円。「TU-SH1050」は4月14日発売で、想定価格は約700万円。いずれも業務用としての位置づけで、主な販売先としては放送・通信事業者や施設などを想定している。
登壇したシャープ ディスプレイデバイスカンパニー デジタル情報家電事業本部副事業本部長の喜多村和洋氏は、「8K、4K放送について、昨年8月からBS17チャンネルで試験放送がスタート。2018年12月には8K、4Kの放送が開始される予定」と今後のロードマップについて述べ、国策として8K、4K放送の普及を進めている現状を語った。
85型8K映像モニターは全国54カ所でパブリックビューイングとして使用
シャープでは2015年10月に85型の8K映像モニター「LV-85001」を発売しており、今回発表された「LV-70002」はこれに次ぐ第二弾の商品となる。既発の「LV-85001」は全国54カ所でパブリックビューイング用機器として導入されており、さらに放送局で8K映像編集用機材として活用されていたり、放送通信の研究機関などにも導入されているという。
今回発表された「LV-70002」は「LV-85001」と比較すると「奥行きや重量は約半分、消費電力は1/3となっており、業務用としての発売だが、2018年の本放送を見据えた商品づくり」(喜多村氏)という。
「LV-70002」の特徴は、①7,680×4,320画素の8Kパネル搭載、②HDR対応、③高輝度技術の採用、④自然界の色をほぼカバーする広色域技術である。
主な用途としては、内視鏡カメラなどとの組み合わせで高精細・高画質の映像表現が求められる医療分野やデザイン現場、さらにデジタルアーカイブの展示モニター用として美術館や博物館などを例に挙げ、高解像度モニターだからこその幅広い業務用途を想定している。
本体寸法はディスプレイ部が幅156.4cm×奥行き9.2cm×高さ91.0cm。重量が約42.5kg。テーブルスタンド装着時は奥行きが37.5cm、高さが96.7cmとなり、重量は約45.0kg。液晶パネルは水平7,680×垂直4,320画素で、視野角は上下、左右とも176度。スピーカーはフルレンジ2個、サブウーハー1個で、音声最大出力は合計35W(10W+10W+15W)。消費電力は約470Wで、年間消費電力量は545kWh/年。
業界に先駆けて8K対応商品を拡充
喜多村氏は今回の8K対応新製品について、「液晶にしかできない8K対応商品を業界に先駆けて導入していく。今後、商品の開発を加速していく」と語った。
前述のとおり、2015年には「LV-85001」を発売しているが、デジタル情報家電事業本部 国内事業本部 事業部長 宗俊昭広氏は「販売実績としては約100台強。新製品の「LV-70002」について、年間で200~300台を見込んでいる」という。
今回の新製品はあくまで業務用としての商品で、店頭で販売されるものではない。また、BSやCSはともかく、地上波で4K放送がスタートする時期すらもいまだに未定である。このような状況で8Kといってもテレビの販売には無関係と思われるかもしれない。しかし、今回の発表がさまざまなメディアで取り上げられることで、改めて映像技術の進化や今後のテレビ放送に関心を持つ消費者もいるのではないだろうか。
今、店頭で必要なことはお客への情報発信・情報提供である。より多くのお客にテレビに対する関心を持ってもらうことで、需要の底上げになる。販売員は常に最新の情報をキャッチアップし、お客への情報提供を心がけたい。