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テックランド ダイエー赤羽店オープン 展示陳列の工夫と提案で売り場の効率化を実現


来店客数の減少や消費行動の停滞から大型家電量販店舗の売り場効率は年々、低下している。お客の要望に応えるには商品の幅やアイテム数が求められ、品揃えを充実させるためにはある程度の売り場スペースが必要だが、そのことが在庫回転数の悪化や1人当たり売り上げの低下にもつながってしまう。このような課題に対する解決策がテックランド ダイエー赤羽店に見ることができる。

インショップで売り場面積は340坪

ヤマダ電機は2017年6月30日、東京都北区にテックランド ダイエー赤羽店をオープンした。同店はJR赤羽駅からほど近い距離にある赤羽スズラン通り商店街の中のダイエー3階にインショップとして出店したものだ。 売り場面積は340坪で、従業員は15人。駐車場の収容台数は共用で69台となっている。

オープン当日はあいにくの霧雨模様だったが、開店前に長蛇の列が並び、同店に対する期待の高さが表れていた。また、オープンから約1時間経過した時点でも多くのお客がレジに並び、来店したお客が実際の購買行動をしていたことから、店舗に対する関心のみならず、商品を購入する場所という面でも期待していたことがうかがわれる。

オープン当日は多くのお客が開店を待つ行列を作った

同店が立地する北区の総人口は、2017年6月1日現在で約347,000人。世帯数は約192,700世帯で、65歳以上の高齢者比率は25.3%。2016年9月15日時点での日本の高齢者比率は27.3%で、北区は全国と比較しても高齢者の比率は少ないが、同店がアーケードの商店街の中にあり、日中は商店街が歩行者天国になることや近隣に高齢者の支援センターがあることなどから、来店客は高齢者が多いという印象を受けた。

平日の午前中ということもあり、高齢者の来店客が多かった

ただし、これはあくまでオープン当日の印象であり、同店の橋本健一店長は「プレオープンの期間を見ていると、夕方になればダイエーに買い物に来た主婦層が多くなり、夜の時間帯は帰宅の学生やビジネスマンの比率が高くなっています」とのことで、曜日や時間帯によって来店客層は変わるという。

かつて同店から約1kmのダイエー赤羽本通店にテックランド赤羽北本通り店があったが、2015年11月に閉店。この赤羽北本通り店のお客はヤマダ電機がなくなったため、JRで池袋まで出ていたようだ。「特にご年配のお客様からは赤羽店がオープンとなり、便利になるという声を多くいただきました」と橋本店長は話す。ダイエーと共用の駐車場は69台と決して多くないが、駐輪場は340台と多い。実際にダイエーのお客の9割ほどが徒歩か自転車利用という。

小型店ながらボリューム感のある展示に工夫

売り場のエントランス部は、エスカレーターから上ってきて、そのまま入店する側とフロア奥にある100円均一ショップ側の2カ所が設けられている。

エスカレーター側のエントランスから入ると目の前には最寄品や消耗品コーナーが配置され、正面から向かって右側がパソコンやデジカメ、オーディオなどのデジタル・情報家電商品。左側には生活家電という形で、売り場が大きく分けられている。

売り場の右側がデジタル・情報家電、左側が空調・生活家電と大別

一見して分かるのは、展示されている商品アイテムの多さだ。売り場面積が340坪、約1,100㎡と小規模ながら展示のボリューム感は小型店とは思えないほどある。

橋本店長は、「売り場面積は300坪程度だが、展示アイテム数は500~600坪クラスの店舗と同等のボリュームとなっています」と説明する。

エントランスからほど近い位置では、懐中ライトやSDカード、電子体温計、電源タップなどを100円、500円、1,000円の3プライスで、オープン記念のお買い得商品としてワゴンに入れてジャンブル展示をしていた。

エントランス近くのジャンブル展示。3プライスで衝動買いを促進

ついで買いやセット購入を促す展示演出く

スマートフォン・携帯コーナーでは木目を活かした什器を使い、キャリア別に島を配置。什器の下部にはスマホカバーなどの関連商品を配し、本体とのセット提案ができるようにしている。

スマートフォン・携帯コーナーでは什器の下に関連商品を展示

また、ヤマダ電機のオリジナル商品であるEveryPhoneや自社SIMを提案するヤマダニューモバイルの島も設けた。前述のとおり高齢者の来店が多いことを想定し、各キャリアの島ではガラケーも複数台を展示。想定客層に呼応した品揃えを展開している。

スマートフォンだけでなく、携帯もしっかりと揃えてアピール

オーディオコーナーではデジタルオーディオプレーヤーやイヤホンなどとともに、特にCDラジオやラジカセは幅広いラインナップを揃えた。

顧客層を考え、CDラジオやラジカセは品ぞろえを充実

デジタルカメラのコーナーでは什器の下部にケースやブロアーなどの関連商材をフック掛けし、本体購入と同時に関連商材もついで買いを促せる取り組みを行っている。このような、ついで買いやセット購入を促す展示は随所で見られる。

パソコンコーナーでは「お買い忘れありませんか?」というPOPを貼り、セキュリティソフトやタイピングソフト、マウス、エアクリーナー、LEDスタンドライトなどをパソコン本体の脇や背面のメッシュパネルを活用して展示。

パソコン本体の横にセキュリティソフトやタイピングソフトなどの関連商材を展示

テレビコーナーでは手元スピーカーやHDMIケーブル、クリーナーコーナーでは紙パック方式のクリーナー純正の紙パックやふとんノズル、扇風機コーナーでは温度・湿度計などの関連・周辺商材を本体と隣接展示。

テレビではHERB Relaxの手元スピーカーをセットで提案
紙パック式クリーナーは、純正紙パックをプラスワン提案

限られた売り場スペースを効率的に活用し、お客の買上げ点数や客単価をアップさせる取り組みにより、売り場では本体もさることながら、そこに配置されたこれらの関連・周辺商材にも興味を示すお客が多く見られた。

また、デジタル機器や大型商品ではヤマダ電機独自の保証サービスもPOPで訴求し、購入後のサポートについてもアピールをしていた。

HERB Relaxを商品連動で配置

小型店舗のため、同社のSPA商材であるHERB Relaxのコーナー展開は行っていないが、前述の手元スピーカーやHDMIケーブルなどはHERB Relaxブランドであり、お客が自然とついで買いをするような工夫が凝らされている。

血圧計に使用する電池はHERB Relaxを提案

冷蔵庫コーナーはエントランス近くの壁面に大容量タイプを並べ、壁に沿うようにL字型に大型が並ぶ。壁面展示は400L前後クラスまでで、400L未満の中・小型は島で展示。冷蔵庫が洗濯機を囲む形のレイアウトで、洗濯機の上方天井には照明器具のシーリングやペンダントを配置した。売り場の視認性や展示の効率性を考えた売り場レイアウトといえよう。

橋本店長は店舗全体で注力していくこととして、「お客様が満足して帰っていただけるよう、CS面でしっかりと取り組んでいきたい。親切丁寧な対応をして、何度も足を運んでもらえるような固定客づくりに心がけていきたいと考えています」と話す。

地域密着型小型店を展開

小型店でありながらも商品展示や陳列に工夫を凝らし、限られたスペースを最大限活用した品揃えと分かりやすい見せ方を実現させているテックランドダイエー赤羽店。ヤマダ電機では同様のコンセプトで売り場づくりを実現した東京都品川区の西友大森店や大阪府東大阪市のイオン鴻池店を5月から出店している。

ダイエー赤羽店も含むこれらの店舗は、地域密着と顧客提案を重視したヤマダ電機の新たな小商圏型小型店の展開として捉えることができる。ダイエー赤羽店のオープン同日には、群馬県前橋市でインテリアやリフォームなどの住環境提案商材に特化した新業態のインテリアリフォームYAMADA前橋店をオープンしたヤマダ電機。家電需要を喚起し、新たな顧客提案に取り組んでいく今後の戦略に注目していきたい。