Androidテレビは、こう売ろう
ランクアップ提案がしやすいソニーの新ラインナップ


本格的なボーナス商戦が始まった。夏という季節もあって、ほとんどの量販店がエアコンの買い替え・買い増し販促に注力している。そのボーナス商戦でもう一つの目玉となるのが、テレビだ。テレビに占める4Kの販売構成比は依然、増加基調にある。さらにこの夏は4メーカーが有機ELテレビのラインナップを揃え、特設ステージを売り場に設ける店舗も多い。本項では有機ELテレビの投入メーカーであり、特徴的なモデルをラインナップしたソニーに、店頭での売り方を聞いた。

有機ELは今までになかった新しい視聴体験を提供

6月10日に65V型と55V型の有機ELテレビA1を市場投入したソニー。同日には4K液晶テレビのX9500E、X9000E、X8500E、6月24日にはX8000Eも発売し、この夏の4K対応テレビは6シリーズ15モデル。8月発売予定のA1シリーズの77V型も加えると6シリーズ16モデルになる。

新しいテレビという位置づけの有機ELテレビA1シリーズ

有機ELテレビのA1は正面からスタンド部が見えないデザインで、パネル部は極めて薄い。パネルの背面もガラスで覆ってあり、細部まで作り込んだデザインとなっている。接客の際は、ソニー独自の音響システムである「アコースティック サーフェイス」の説明とともに、横から見た佇まいなどもしっかりと見てもらおう。

A1はアコースティックサーフェイスによる独特のデザイン

ソニーマーケティングのホームエンタテインメントプロダクツビジネス部ディスプレイマーケティング課統括課長の白拍子誠一氏は、「まずはA1シリーズから説明をしていただきたいですね」と話す。その理由は、「A1シリーズの特徴でもあるデザインや、画面の真ん中から音が出るという今までのテレビでは体験できなかった新しい視聴体験が、A1ではできます」ということだ。

つまり、A1シリーズはラインナップの上位であるとか、ソニー初の大画面有機ELテレビということではなく、これまでのテレビとは全く異なる新しいテレビである点を訴求してほしいということなのだ。

有機ELテレビの説明では、液晶テレビとの比較から入りがちになる。しかし、単純にパネルの構造の違いがそのまま両者の優劣となるわけではない。お客がよく視聴するコンテンツや視聴環境によっても適したパネルは変わる。

「画面の真ん中から音が出る、画質も非常に優れているというのは液晶テレビでは構造上できなかったことで、有機ELパネルを採用して初めてできた構造」という形で有機ELテレビを説明してもらいたいと白拍子氏はいう。

A1シリーズの画面サイズは65と55で、65V型の店頭売価は80万円前後。55V型は50万円前後と、高額商品だ。8月5日には77V型の発売も予定されているが、店頭予想価格は250万円前後になりそうという。

77V型は秋の発売予定を8月に前倒して発売となる

ソニーの最高画質モデルZ9D

視聴コンテンツに特にこだわりがなく、予算もあまり気にしない。しかし、より大画面で、より高画質にしたいというお客には継続モデルのZ9Dを勧めたい。

ソニーの最高画質モデル、Z9Dシリーズ

Z9Dは2016年10月に発売されたモデルで、現在もソニーのテレビ史上最高画質モデルとして位置づけられている。すべてのLEDを完全独立駆動させ、バックライトの光が拡散せず、まっすぐに照射されることで、圧倒的なコントラストや細かい色彩の表現を実現したモデルだ。

「Z9Dでは音のサラウンド感が物足りないというお客様にはホームシアターを組み合わせてもらうか、ハイレゾ対応の磁性流体スピーカーを搭載したX9500Eをお勧めしていただきたい」と白拍子氏は話す。

A1、Z9D、X9500Eとも4K高画質プロセッサーのX1 Extremeを搭載しており、「高画質という点では、いずれも申し分ない表現力となっています」という。

クリアな音を実現した磁性流体スピーカー

磁性流体スピーカーの特長をお客に説明する際、音やスピーカーに対する知識をお客が持っていないと、どうやって説明をしたらよいのか、とまどう場合もある。この説明について、次のとおりだ。

音はスピーカーの振動板が振動して、それが空気を伝わって人の耳に入る。その振動板はダンパーと呼ばれる機構部が支えている。ところが、振動板を振動させるためにはダンパーそのものなどの機構部も一緒に振動してしまい、それが音の歪みの原因にもなる。そこでダンパーを使用せず、液体の磁性流体をダンパーの代わりに使うことで、振動板だけが振動する構造とした。だから音がクリアで幅広い音域を表現することができるのだ。

このX9500Eはサイドスピーカータイプ。白拍子氏は「音がこもっていない、音が前に出てくるというのはサイドスピーカーモデルの一番の特長。音質は大事ですが、音が聞こえるかどうかをお客様に分かりやすく訴求した方がよいと思っています。

はじめからハイレゾ対応やサブウーファーも入っている、という説明ではなく、まずはクリアで前に出る音ということをお客様に体感と説明で伝え、その後でハイレゾ対応や音楽・映画でもよい音が出るという順番で話すほうがよいと思っています」と話す。

サイドスピーカーモデルのX9500E

X9500Eの下に位置するX9000Eは壁掛けを訴求したモデル。白拍子氏によると、最近は壁掛けニーズも以前より増加しており、ソニーが壁掛けとして提案するのがX9000Eだ。

昨年モデルのX9300Dも壁掛け提案モデルだったが、バックライトはエッジ型だった。今回のX9000Eは直下型バックライトを採用し、コントラスト性能がアップしている。

スリムなデザインで壁掛けに適したX9000E

カタログではコントラストを数字で表記

カタログを見てもらうと分かるが、今回のラインナップでは「コントラストの数字表記」を掲載している。バックライト技術の進化により、液晶テレビのコントラストは大きく改善されてきた。

白拍子氏によると「コントラストは今、お使いのテレビと見た目の差が一番分かるポイント」とのことで、「LEDの部分駆動が搭載されていない当社の従来機種と比較して、コントラストがX9000Eでは5倍、X9500Eでは10倍、Z9Dでは16倍という表記にしています。数字を示すことで、ラインナップ内でのランクアップを提案しやすくなると思います」と説明する。

最下段にコントラスを数字で表記(総合カタログのP6-7より

55v型以上のサイズではX8500Eもある。「4KHDR対応を強化し、いわゆるHDRでないコンテンツを4KHDR相当にアップコンバートするため、いろいろなコンテンツを高画質で見ることができるモデルです。大画面モデルの中では一番下のランクになりますが、画質としては十分なモデルに仕上がっています」(白拍子氏)。

最後に紹介するのは、X8000E。このシリーズは43V型と49V型を揃えた。その画面サイズから、どちらかというとパーソナルユースを想定したシリーズで、「上位モデルは予算的に厳しいからX8000Eという流れではなく、ある程度の画面サイズでYouTubeやNETFLIXなどのコンテンツを楽しみたいというお客様にお勧めできるモデル」とのことだ。

売り場で実演したいリモコンの音声検索

2017年6月以降に発売された今回のシリーズ(Z9Dも含む)は、すべて音声検索ができる仕様となっている。リモコンの音声検索ボタンを押して、普通に発声するだけで、YouTubeやcookpadなどのアプリからの検索やブラウザーでの検索が可能だ。

リモコンの最上段中央に「音声検索」ボタンを配置
音声検索を訴求する販促ツール

繰り返しになるが、改めて整理しよう。有機ELテレビのA1は、従来のテレビとは異なる新しいテレビという形で打ち出す。液晶テレビで最高画質の映像を楽しみたいのならば、Z9D。音の聞こえ方や音質にこだわりがあるお客ならX9500E。壁掛けというスタイルを考えているならX9000Eがある。ある程度の予算の中で高画質を楽しみたいお客にはX8000Eが勧められる。どちらかというとパーソナルで、特にネットコンテンツを楽しみというニーズであればX8000Eという形で売り分けをしよう。

Android TVを打ち出すソニーのテレビの販売では、映像の視聴体験とともにアプリやコンテンツも実際に体験してもらおう。それぞれの特長が分かりやすいラインナップになっているので、お客へのヒアリングに注力し、ニーズに合ったモデルを提案しよう。

ソニーのA1シリーズコーナー(ジョーシン松戸店)

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