バッファローのデータ復旧サービスがパワーアップ 他社製品の対応で、データ破損・消失に対するソリューションを強化


2017年5月から自社製品のデータ復旧サービスを開始したバッファロー。軽度の論理障害は無償対応とし、中度の論理障害でも固定料金としてユーザーが安心して自社製品を使用できる環境を構築した。そのバッファローが12月5日からデータ復旧の対象商品を他社にも広げて対応していくと発表。デジタルサポートに取り組む家電量販店が増加している中、データの消失に対するソリューションとして非常に期待できる取り組みである。

データを保存したストレージも経年劣化で故障する

ストレージに保存しておけば半永久的にデータ保存ができる。一般の消費者はそんなイメージを抱いているのではないだろうか。ストレージが落下や破損による衝撃でダメージを受ければ、データが失われることは当然である。しかし、これだけではない。ストレージ自体も経年劣化の影響から逃れることはできず、気がついたらデータを取り出すことができないという状況にもなるのだ。

ストレージへのアクセスで自然と不良セクタが増加。それが経年劣化となり、突然の故障につながる

ストレージに保存するデータとしては、各種の文書や集計データのみならず、写真や動画など、多岐にわたる。クラウドも保存場所の一つであるが、無料で使用できるのは一定容量でしかない。データが大量になると、課金という形で有償サービスを利用することになるが、ランニングコストを考えるとクラウドではなく、リアルのストレージ利用が一般的だ。

ユーザーに、より高い満足度や安心感を持ってもらうことを目的として、バッファローは自社製品のデータ復旧サービスを開始したのである。

データ復旧依頼の半数がUSB外付けHDD

サービス開始日から9月30日までの約5カ月間で依頼のあった2,429件(個人が1,437件、法人が992件)での製品別カテゴリーでは、全体の51.2%、個人では64.8%がUSB外付けHDDであった。次に復旧依頼が多かったのが、ネットワーク対応のHDDであるNASの1ドライブモデル。全体の25.1%、法人からの依頼ではUSB外付けHDDよりも多い34.0%で、個人の依頼では19.0%と、個人と法人とで依頼件数が大きく異なっている。この2つの依頼が占める割合は全体で76.3%、個人では83.8%、法人でも65.6%である。

個人の依頼の6割以上がUSB外付けHDD内のデータ復旧

法人からの依頼を業種別に分けると、製造業が最も多く19.8%。卸売表と小売り業が17.8%と続き、複合サービス事業およびサービス業が12.5%。この3つの業種が依頼全体の半数となる50.1%を占めている。

データ復旧センターとしてユーザーからの持ち込みに対応している拠点は全国で東名阪の3カ所。地域別の依頼でも、これらの拠点がある関東、近畿、中部の構成比が高くなっているが、拠点のない地域からの依頼も十数%、法人に限っては20%以上あった。

東京のデータ復旧センターではお客が預かったストレージをスピード診断し、見積りを提示

家電量販の多くの店舗が、何らかの形で法人対応をしており、法人専用カウンターを設けている企業もある。バッファローの5カ月間の取組状況を見ると、店舗が顧客とする法人客にとっても、このデータ復旧サービスが持つ意味合いは大きいといえよう。

小規模の事業所ではコンシューマー向けNASを利用

個人のデータとは、写真や動画などのパーソナルなものが多いが、法人では実際の業務や事業に必要なデータが保存されているケースが多い。そのため、ドライブを複数搭載し、RAID機能の付いたNASの利用が推奨されるところだが、当然、コンシューマー向けのNASよりも高額になる。法人からの依頼でも法人向けNASよりもコンシューマー向けNASの依頼の方が多かった。

NASにRAID機能が搭載されていれば、ミラーリングやデータ分散などを利用して全データが消失してしまうことを防げる。従ってデータ復旧の依頼も少なくなる。また、高額のために小規模の事業所ではコンシューマー向けを使用し、その結果としてデータが失われてしまう。法人の依頼でRAID機能付きNASが少なかったのは、このような理由だろうと推察できる。

法人対応に取り組んでいる店舗では、このデータ復旧の依頼実態を把握し、法人の顧客に対する提案とソリューションとしてバッファローの取り組みを伝え、店舗に対する顧客満足度のアップを目指したいところだ。

データ復旧サービス開始後、半年で他社製品にも対応

バッファローは自社製品以外のストレージのデータ復旧にも対応する取り組みを12月5日から開始した。6月2日にバッファロー東京支店で開催されたデータ復旧事業の発表会において、他社製品についても将来的には対応していきたいとのことだった。将来というと数年後というイメージだったが、発表から約半年後には対応できることとなったのである。

具体的にはアイ・オー・データ、エレコム、ウェスタンデジタル、シーゲート、東芝デバイス&ストレージなどの他社製品で発生したデータの復旧にも対応するということだ。

基本的な対応の流れはこれまで変わらず、依頼はデータ復旧センターへの持ち込みか、製品の送りつけで申し込む。持ち込みの場合は即日、3段階のレベルで論理・物理障害の診断結果と見積り金額が提示される。診断・見積りについては無料。障害の程度によってデータ復旧センターでの対応になるか、高度の障害にも対応する子会社のアドバンスデザインに送られての復旧となる。

幅広いストレージのデータ復旧に対応

復旧費用は当然、バッファロー製品よりも割高だ。しかし、都市部で対面対応の復旧拠点を設けているメーカーはない。また、民間のデータ復旧サービス会社は多くの場合、店舗を持たずにストレージを送る形で、依頼した先によって見積金額はバラバラで、復旧費用はブラックボックス化されているのが実情だ。

復旧費用はバッファロー製品よりも割高だが、自社製品と同様に固定料金を採用し、他社製品のユーザーの困りごとを解決する

透明性を持った料金体型では幅広いストレージに対応

バッファローのデータ復旧は中度までの論理障害であれば固定料金として、物理障害であってもNASでは固定料金。透明性を持った料金体系だ。さらに、データ復旧に対応するストレージもNASを含めた外付けHDDだけでなく、USBメモリーやSSD、SDカード、ブルーレイなどの幅広いストレージに対応している。

バッファローでは、7月5日から同社製品に関して経年劣化による故障を予測する「みまもり合図」というサービスも開始した。データの破損や消失を未然に防ぐ対策を講じるとともに、万が一、データが失われた場合の対応策も強化し、データを扱う人や企業の安全を守る取り組みに注力している。

「みまもり合図」はPCに取り付けられた外付けHDDのS.M.A.R.T.情報をクラウドで監視する仕組み

前述のとおり、家電量販店ではデジタルサポートを強化し、お客のソリューション対応に努めている。お客の困りごとの中にはデータ消失もあるだろう。バッファローが取り組んでいるサービスを接客や法人営業の際に訴求し、顧客の信頼につながる商品説明に注力したい。

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