GfKジャパンが暖房器具とエアコンの販売動向を発表 冬商戦初動の暖房器具販売では電気暖房が堅調に推移
1月上旬まで西日本では低温日が続くと気象庁が発表
地域によっては強い寒波の影響で、例年よりも非常に多い降雪や低温が観測されている。12月26日に気象庁は「西日本の長期間の低温に関する全般気象情報」を発表。西日本では11月中旬から断続的に強い寒波が南下し、気温の低い状態が続いている。この1か月間の平均気温は平年を1℃~2℃ほど下回っており、さらに1月上旬までは気温の低い状態が続くと発表した。
冬商戦の一つの柱となるのが暖房器具。夏商戦の柱がエアコンであることは言うまでもないが、家電量販店におけるエアコン販売は7月が好調だったものの、8月から9月は低調に推移した。季節家電として捉えると、この冬商戦の暖房器具販売を盛り上げたいところだ。
全国の家電量販店約4,000店の販売実績を集計しているGfKジャパンは12月25日、家電量販店における暖房器具とエアコンの販売動向について発表した。
10~11月の暖房器具の販売台数は前年同期比106%
電気、ガス、石油を熱源とする暖房器具の10~11月の販売台数は前年同期比106%と伸長している。
例年、暖房器具の販売は10月頃から本格化し、12月がピークとなる。10~11月の実績から、暖房シーズンの初動としては堅調な出だしといえるだろう。
この10~11月の販売実績を製品カテゴリー別に見ると、電気温風機の販売台数は前年同期比114%で、販売金額は同110%。電気ストーブは販売台数・金額とも同111%と2桁伸長している。電気温風機は加湿機能や人感センサーを搭載したモデル、持ち運びのしやすいコンパクトなモデルが売れ筋に多数入っている。床暖房などのメイン暖房とは別に、足元や洗面所などで使用するスポット暖房としての需要が高いとGfKジャパンでは見ている。
また、石油ファンヒーターの10~11月の販売実績は台数が前年同期比102%で、金額が105%。単価は前年よりもアップしている。
東日本は前年割れで西日本は2桁伸長と実績は西高東低
10~11月の暖房器具全体の販売台数を地区別で見ると、関東・甲信越以北の東日本では前年割れとなったが、東海・北陸以西の西日本では前年同期比で115%と伸長。東日本に比べて西日本は気温が低い日が多く、東日本と西日本では対照的な動きとなった。
12月に入ると寒さが一段と増し、12月4日からの2週間では、全国の暖房器具の販売台数が前年同期比で122%と大きく伸びており、今後のさらなる需要増が期待される。
エアコンの10~11月の販売実績は台数が前年同期比101%で、金額が同103%。販売台数は微増というところだが、単価はアップしている。2017年4~11月では台数が同104%、金額が同105%となっている。
エアコンは寒冷地仕様が前年から13%増の2桁伸長
エアコンの中で特に伸長著しいのが、寒冷地仕様モデル。10~11月の販売で、寒冷地使用モデルの販売台数は2桁伸長の同113%となった。
5年ごとに実施されている総務省の全国消費実態調査で、2014年のエアコン普及率は全国平均で86.4%。この全国平均に対して、北海道は25.7%と非常に低い普及率だ。青森や岩手の普及率も50%台で、宮城と福島が60%台、秋田・山形も70%台。北海道・東北地区のエアコン普及率は他の地区と比較して低く、逆に伸び代があるともいえる。
ここ数年、メーカーでは低い外気温でも暖房能力が発揮できる寒冷地仕様モデルに力を入れており、これが寒冷地仕様モデルの伸長を推進しているといえよう。10~11月のエアコン販売全体に占める寒冷地仕様モデルの台数構成比は3%程度だが、今後さらなる需要の増加が見込まれる。
なお、12月4日から2週間のエアコンの販売台数は前年同期比117%。寒冷地仕様モデルは同136%と急伸している。
お客のニーズに合わせて熱源の異なる暖房器具のセット提案を
暖房器具は冷房と異なり、前述のとおり熱源が電気だけでなく、ガスや石油など燃焼系のものもある。また、設置する部屋や全体・スポットという暖房の目的によっても選択肢が多数あるのも特徴。広いリビングでは、エアコンをメイン暖房としながらも電気カーペットや電気温風機などをスポット暖房として提案することも可能だ。
個々のお客によって提案できる暖房器具は異なり、セット提案の組み合わせもさまざまなバリエーションが考えられる。つまり、販売サイドの提案力が試されるのが暖房器具とも言えるのだ。商戦期はどうしても来店客が多くなり、接客にかける時間は平常時に比べて少なくなりがちである。しかし、自店の顧客として次回も来店してもらうためには手間を惜しまずに対応したい。
熱源ごとの暖房器具のメリットを知識として知っておき、リビング、子ども部屋、寝室、洗面所、トイレなどの部屋ごとに提案する暖房器具のメリットや最適な組み合わせを考え、お客のニーズと目的に合わせて提案していこう。