レイコップがふとんコンディショナー「ふとコン」を発売 寝床温度をコントロールし、快適な睡眠環境を提供


2012年に発売を開始したふとんクリーナーでふとんクリーナー市場を作り上げたレイコップが、新たなカテゴリーの新製品を市場投入。発売日前日に製品発表会が行われた。睡眠が不足しているといわれている日本人の睡眠環境を改善し、より良質な睡眠を提供することで健康な暮らしを実現できるようにするという。

本体とエアマットから構成される「ふとんコンディショナー」

レイコップが新発売したのは、ふとんコンディショナー、略して「ふとコン」。商品はエアマットとエアマットに風を送る本体ユニットから構成されている。本体は幅463.5mm×奥行き223.5mm×高さ526.5mm。エアマットは縦1,980mm×横1,010mm×厚さ45mmで、エアマット内に搭載されたセンサーが寝床内の温度を見張り、本体から送る風の温度や風量をコントロールする。

本体とエアマットをパイプで接続。送風口を下にすれば床敷きにも対応できる

新製品発表会で登壇したレイコップ・ジャパン マーケティング課課長の呉 主熙(オ ジュヒ)氏は「レイコップはふとんクリーナーのパイオニアとして2012年に販売を開始し、国内だけで約500万台の販売実績を誇っています。クリーナー市場のマーケットリーダーとして清潔な睡眠環境を提供することに力を入れてきましたが、市場がある程度成熟した今、新しい市場にも目を向けることにしました」と説明。

登壇し、「ふとコン」の市場投入の背景を解説するレイコップ・ジャパン マーケティング課 呉 主熙(オ ジュヒ)課長
レイコップのふとんクリーナーは2017年12月までで490万台を販売。ふとんクリーナー市場を作り上げてきた

日本人の平均睡眠時間は7時間43分。調査対象29カ国で下から2番め

続けて、呉氏は開発の背景を説明。2014年にOECDが世界29カ国を対象として、国民の平均睡眠時間を調査した結果、日本人の睡眠時間は1位の南アフリカよりも1時間半も少ない、調査対象国で下から2番めの7時間43分だったという。

また、非営利機関のRAND Europeによる調査では、睡眠不足による経済損失は日本の場合、国内総生産(GDP)比で2.92%にものぼり、これは同調査の対象国であるアメリカ、カナダ、イギリス、ドイツと比べて最も高い割合になっている。

日本人の睡眠不足による経済損失は、GDP比2.92%の1,380億ドルにものぼる

日本におけるこれらの睡眠環境の状況から、レイコップ・ジャパンは睡眠環境改善と新しいビジネス市場を開拓するために「ふとコン」の開発と市場投入を決めたというわけである。

続いて登壇した日本糖尿病学会専門医で医療法人みなとみらい理事長の田中俊一氏は、温度と睡眠の関係性について説明。日本人の睡眠時間は年々、短くなっていることを指摘。深い睡眠を取ることは脳細胞を休養させ、脳の細胞を回復させるという。「睡眠の深さには約1時間半のサイクルがあります。1時間半のサイクルを5回繰り返すと7時間半で、この7時間半の睡眠が、死亡リスクが一番低いという調査結果があります。糖尿病に関しては、7時間睡眠を取っている人を1とすると、6時間では2倍、5時間では3倍近い発生リスクが報告されています」と睡眠時間が短いことで、人体には様々なリスクが生じると解説した。

睡眠時間の重要性を解説する医療法人みなとみらいの田中俊一理事長
アメリカで実施された調査をもとにした6年後の死亡リスクでは、7時間半の睡眠時間が最もリスクが低い

7時間半のベストな睡眠を取るためには、寝る前にPCやスマホなどを操作しないことと入浴から30分以上経ってから床につくこと。そして、暑すぎたり寒すぎたりせず、途中で目が覚めにくい適切な寝床温度の環境を作ることがポイントとまとめた。

深い睡眠に最も適した寝床内温度は33℃±1

続いて同社のプロダクトマネージメント課課長の武藤真嗣氏が登壇。「寝室の温度は、すでにエアコンなどでコントロールされています。レイコップは室温以上に重要である寝床内の温度に着目しました。一般的に快適な睡眠のための寝床内の温度は33℃±1とされており、この温度が夜中の目覚めが最も少なく、深い眠りの時間が最も長くなるといわれています。ふとんコンディショナーは最適な温度と最上の寝心地で、最高の快適さをコンセプトとして約2年半の歳月をかけて、今回の発売にいたりました」と話し、同製品の特長を説明した。

「ふとコン」の製品特長を説明するレイコップ・ジャパン マーケティング課 武藤真嗣課長
快適な睡眠が得られる寝床内温度は33℃±1と学会に研究論文で報告されている

本体の操作モードは「睡眠ケアモード」と「寝具ケアモード」の2つ。「睡眠ケアモード」は就寝時刻の10分前から作動し、入眠をサポートする。就寝時に体温を約1℃下げることで寝付きが早くなり、睡眠の質も高まるという。睡眠時はエアマット内のセンサーが寝床内温度を見張り、自動で送風と温風をコントロール。寝床内を33℃±1にキープする。起床時には寝床内の温度を上げ、スッキリした目覚めをサポートする。

本体の操作部。シンプルで見やすく、操作がしやすいデザインとなっている

タイマー設定で就寝および起床時刻をセットしておくことで、入眠時から起床時まで寝床内を快適な温度に保ち、質の良い睡眠が実現するという仕組みだ。

就寝時は温度を下げ、入眠時は33℃±1、起床時は温度を上げて快適な睡眠を実現

イオンと温風を送ることで除湿と除菌、脱臭に効果を発揮

「寝具ケアモード」は、寝具に潜むダニの対策はもちろん、除湿や除菌、脱臭までも行うもの。エアマット全体に50℃以上の温風と同社が開発したホメスタイオンを送ることで、これらが可能となったと話す。ホメスタイオンは同社のレイコップRXに搭載したOHラジカルとオゾンを組み合わせた技術で、加齢臭のもととなるノネナールや汗の臭いを除去することにより、寝床内の脱臭を可能とした。

寝具ケアモードについて、第三者機関で行った実証実験の結果、除菌率、防ダニ効果はともに99.9%、ニオイセンサーによる脱臭率は90%という結果が出ている。

寝具ケアモードでは120分間、50℃以上の温風とイオンの放出により、衛生環境に影響を及ぼす複数の原因菌を除去

東洋紡と共同開発した中材をエアマットに使用

敷布団やベッドのマットレスの上に置いて使用するエアマットの中材には、東洋紡と共同開発をした3層構造体のエアスペーサーを使用。96%が空気の層で構成された高反発設計のマットとなっている。

エアスペーサーは繊維が絡みあった3層構造で、空中で横になっているような寝心地という

マットの最上部には体をソフトに包み込むフィット層を配置し、真ん中は体圧を厚み方向に拡散するリレー層、最下段には体をしっかりと支えるサポート層の3層構造で、「エアスペーサーは熱に強く、高い耐久性も保持しており、水切り性にも優れているので水洗いも可能です」と武藤課長は説明する。

高い耐久性と高反発・高弾力性を兼ね備えたエアマット
床からマットレスまでの高さ650mmまで対応可能

また、エアスペーサーは一般社団法人 繊維評価技術協議会が抗菌脱臭加工品について、その効果や耐久性、経口毒性、皮膚の刺激性を審査して一定の基準をクリアした加工品に対して、その品質を保証するSEKマークを取得。清潔・快適な使用が可能。エアマットはシングルサイズのみだが、今後、ラインナップを拡充していくことを検討しているという。

ベッドの上にエアマットを置いた状態。現在、エアマットはシングルサイズのみ

企業公認シエスタプロジェクトをスタート

同社では「ふとコン」の市場投入に伴い、「いい仕事は、いい睡眠できまる」をスローガンとした企業公認シエスタプロジェクトをスタート。登壇した同社のマーケティング課 PRディレクターの高吉史彬氏は、同プロジェクトについて、「日本の働く人々にシエスタ、つまり昼寝をすることでの業務効率アップを提案します。シエスタを取ることで、短くても質の高い睡眠で心と体をリセットして、仕事に戻ることができます」と述べた。

企業公認シエスタプロジェクトについて説明するレイコップ・ジャパン マーケティング課 高吉史彬PRディレクター

同プロジェクトではシエスタを公認するという企業を募集し、応募企業に対しては「ふとコン」を無償提供し、活用してほしいという。募集期間は8月31日までで、応募は電話やFAXで行う。

また、「ふとコン」発売を記念して、「全員もらえるキャンペーン」も実施中だ。5月31日まで「ふとコン」購入者に同社のレイコップLITEをもれなくプレゼントするという内容である。

「ふとコン」発売を記念して、全員もらえるキャンペーンを実施

「ふとコン」は現在、一部の家電量販店と同社のオンラインショップで販売。これから家電量販店での取り扱いも拡大させていく考えで、年間の販売目標は3万台という。

省スペース設計の専用展示台を用意

オンラインショップでの売価が128,000円と決して安価な商品ではない。体感もそれなりのスペースが必要になる、同社では本体とエアマットを縦に配置し、デモ映像を流すモニターとリーフレット用の棚も考慮した専用台を用意して展開を図る考えだ。

枕やマットなどの寝具を替えて、より自分に合った睡眠環境を作ろうとする人は少なくない。実際に快眠提案の売り場を設けた店舗もある。しかし、実際に成功したという事例は少ない。その原因の一つに販売サイドの睡眠に対する知識不足というものがある。

今回の同社の製品は、実際に敷くエアマットと本体からなり、エアマットに掛けるカバーを除けば、同社が提唱する快適な寝床内環境がそのまま実現できる製品となっている。

睡眠に不満や寝不足を感じている消費者は多い。その層に対して、いかに説明ができるかに注力することで、興味や関心を引くことは可能だ。ふとんクリーナーから一歩進み、睡眠そのものの改善が期待できる同社の製品。快適な寝床内温度の「33℃±1」をアプローチとして、お客への提案に注力されたい。

本体、エアマット、モニターをセットにして、省スペースの専用展示台