東芝が新4K衛星放送対応チューナー内蔵REGZAを発表 12月からのBS/CS4K放送開始に向け、前のめりで商品化を実現


2018年12月1日からBS・CS110度で4Kの実用放送が開始される。東芝映像ソリューションでは、この放送開始に向けて、6月中旬から発売される2018年上期のレグザ新商品3シリーズ9モデルすべてに新4K衛星放送対応チューナーを内蔵した。また、3月22日に発表されたBS/CS 4K録画対応チューナーの詳細も併せて発表された。

レグザ新商品は4Kチューナーを内蔵

東芝映像ソリューションはこのほど、2018年上期のレグザの新商品発表会を開催し、有機ELテレビを含む新商品3シリーズ9機種を発表した。この新商品の最大の特長が、12月1日からBS・CS110度でスタートする新4K衛星放送に対応したチューナーを内蔵したことである。

新4K衛星放送対応チューナー内臓のレグザは3シリーズ9機種のラインナップ

周知のとおり、現在のテレビで新4K衛星放送を視聴するためには、対応したチューナーが必要である。現段階で仕様も含めてオフィシャルに4Kチューナーの発売を発表しているのは、ピクセラと同社のみ。しかし、4Kチューナー搭載テレビを発表しているメーカーはない。

東芝映像ソリューションは、「4K放送に前のめりで取り組んでいきます」(同社商品企画部TV担当・本村裕史参事)というように、4K放送に対しては積極的な姿勢で臨む意気込みを表明していた。その意気込みが実際に形となって表れたのが、今回の新商品といえよう。

有機ELの新シリーズも投入し、さらなる高画質化を実現

新商品のラインアップは3シリーズ。タイムシフトマシン搭載有機ELテレビのX920シリーズは55V型と65V型の2機種。重低音バズーカ搭載のBM620Xは43V型、50V型、55V型の3機種。シンプルでリーズナブルなM520Xは43V型、50V型、55V型、65V型の4機種。発売はM520Xの43V型と50V型が最も早く、6月6日からで、同シリーズの55V型と65V型は6月中旬から。BM620Xは6月下旬、X920は7月下旬からの発売となる。また、BS/CS 4K録画対応チューナーのTT-4K100は秋の発売を予定している。

有機ELのX920シリーズ(上)と重低音バズーカ搭載のBM620X(中)、シンプルタイプのM520X(下)
全機種で4Kチューナーを内蔵しているが、想定売価はチューナー非搭載モデルと同程度

新4K衛星放送では、著作権保護のためのCASがカードからチップへ変更となった。しかし、新4K衛星放送の視聴機器はテレビだけではなく、CATV視聴用のSTBもある。もちろん、単体のチューナーにも必要だ。そのため、チップの供給というハードルがあり、暫定的にカードでも対応できるようだ。

今回の新商品には、このチップを搭載していない。現時点では4Kの実用放送自体がスタートしていないのだから、購入しても4K放送を視聴することができず、チップ非搭載といっても特に問題はない。

CASのチップは後日、郵送方式で対応

同社ではいち早くチューナー内蔵テレビを商品化し、市場投入するためにチップは後日、郵送という形で購入者に送付される方式を採用した。購入者はテレビの「みるコレ」画面や同梱のパンフレットに記載されているQRコードにアクセスし、必要な情報を入力して送信すると、10月以降にチップが購入者に送られてくる。チップといっても本体基盤に組み込む形ではなく、テレビ本体の裏側に設けられているスロットにチップを挿入するだけ。極めて簡単に装着が可能だ。

レグザに挿入する4K放送試聴用のチップ
チップは差し込んでセットするだけで、セッティングは極めて簡単だ
本体背面にあるスロットがチップの挿入口となっている

有機ELテレビのX920は、新世代4K有機ELパネルを搭載。同パネルはピーク輝度を従来機種よりも向上させ、さらに新たな表面処理を採用することで、黒の再現能力をアップさせている。このことによって高いコントラストを実現させ、さらなる高画質での映像再生が可能となった。

エンジンも新たに開発した、Evolution PROを搭載。BS/CS 4KビューティX PROにより、新4K衛星放送で採用される新たな映像圧縮技術であるHEVC方式でのノイズを低減し、より高精細な4K画質を実現している。さらに地デジに対しても地デジビューティX PROを搭載して、地デジのノイズ抑制も実現。HDRリアライザーPROでHDR映像をさらなる臨場感ある質感で再現する。

エンジンは新たに開発。有機ELにはEvolution PRO、液晶レグザにはEvolutionを搭載

音質についてもスピーカーユニットをすべて新たに設計し直した新開発の有機ELレグザオーディオシステムを採用。総合出力46wのマルチアンプと新たに開発したレグザ・サウンドイコライザー・ハイブリッドにより、高音質で迫力のあるサウンドが画面の中心から出てくるような仕様になっている。

バスレフボックスやフルレンジスピーカー、ツィーターも設計を一新

液晶テレビもラインナップを一新

4K対応液晶テレビのBM620X、M520Xのエンジンは、Evolutionを採用。BS/CS 4KビューティXで4K放送のノイズを低減するとともに、地デジビューティXで地デジのノイズも抑制して、さらなる高画質を実現。HDRリアライザーのコントラスト制御により、立体感のある映像を再現した。

BM620Xに搭載されているバズーカオーディオシステムは、現行機種のBZ710Xをダウンサイズさせた新開発のフロントスピーカーと重低音バズーカウーファーを組み合わせた。イコライザーについても中高音域と低音域それぞれの音域に合わせたハイブリッド方式のイコライザーを採用している。

今回の新製品3シリーズに共通した機能としては、新たにスポーツモードを搭載し、芝生をよりリアルで立体感のある映像で再現し、サッカーやゴルフなどのスポーツ観戦時の芝目がくっきりと見えるようにした。リモコンも新レグザスマートリモコンとして、BS/CS110度の4K放送専用の4Kボタンを搭載している。

ダブルウインドで2分割画面の表示が可能

画面はダブルウインドでの表示が可能。放送と放送、放送と外部入力、放送と4K放送という3パターンでの表示が可能となった。さらにGoogleアシスタント搭載スマートスピーカーとも連携し、スマートスピーカーに発話することで、レグザの操作ができる。X920では、これに加えてリモコンのボイス機能で見たい番組やシーンの検索もできる。

4K放送を視聴しながら、2K放送もダブルウインドで試聴が可能

BS/CS 4K録画対応チューナーTT-4K100は、当サイトで3月26日に掲載をしているが、その時点では試作機の段階で、BS/CS 4Kチューナーのみの搭載だったが、今回の発表では地デジや2KのBS/CS用チューナーも搭載されている。つまり、TT-4K100をチューナー非搭載のディスプレイに接続することで2Kと4Kの放送が視聴可能となっているのだ。市場想定売価は当初、5万円前後だったが、これも4万円前後と変更されている。

4K録画にも対応したTT-4K100。BS/CS 4K以外のチューナーも搭載した

店頭で聞くと、お客の4K衛星放送に対する関心は、現段階ではあまり高くないようだ。まだまだ先と思っているふしもあるが、何よりチューナーが発売されていない状況のため、店頭でもお客に説明できないという部分もこれまではあった。しかし、東芝映像ソリューションがチューナー内蔵レグザを発売することで、需要の喚起とともに店頭でのアピールも可能となる。店頭でも積極的にお客に対して4Kの視聴環境が整ってきたことを伝え、テレビの需要喚起に取り組もう。