ヤマダ電機新社長に副社長の三嶋恒夫氏が就任 家丸ごと提案の家電住まいる館で新業態を全国展開


ヤマダ電機の2017年度連結決算は売上高こそ前年比100.7%とプラスだが、営業利益は同67%、経常利益も同71.7%と、利益面では大幅な減益となった。そのヤマダ電機が社長交代人事を発表。桑野光正代表取締役社長が副会長となり、替わって三嶋恒夫氏が新社長として就任する。

サンキューでの経験と実績を家電住まいる館に活かす

ヤマダ電機は5月10日、一部の報道で伝えられていた代表取締役社長の人事異動を発表。桑野光正代表取締役社長が取締役兼執行役員副会長に就き、三嶋恒夫副社長が代表取締役社長兼代表執行役員COOとして就任する。実際の異動は6月28日に開催される株主総会での承認を経てからになる。

新社長に就任する三嶋恒夫氏は、エディオンの連結子会社で北陸を拠点に30店舗を展開(2018年4月19日現在)するサンキュー出身。サンキューは2007年にエディオンの連結子会社となり、2012年に三嶋氏はサンキューの代表取締役社長に就任。2014年には親会社であるエディオンの執行役員となり、翌2015年には取締役ELS本部長に就いたが、2015年12月に退任。その後、2017年1月にヤマダ電機に入社し、同年6月にはヤマダ電機の執行役員副社長に就任している。

三嶋氏の出身であるサンキューは10年以上前から太陽光発電と水回りなどのリフォームコーナーを店舗に導入し、積極的にこれらの事業を推進してきた。特にリフォームについては、どこの家電量販店も扱っていない時期から力を入れていた、そのノウハウやオペレーションはエディオンに継承され、エディオンが現在、ELS事業として展開している基礎はサンキューからのノウハウの移植があったからといえよう。

サンキューでは以前からリフォームを積極的に推進してきた。写真は2015年の100満ボルト金沢本店

ヤマダのオリジナルソファも店舗に導入

三嶋氏の経歴と実績は、住宅関連事業を積極的に展開するヤマダ電機にとっても大きな効果をもたらすと期待され、同社への入社に至ったと考えられる。2018年度に家電住まいる館は100店規模の出店を計画し、家具においてもヤマダ電機オリジナル商品の導入が始まっている。今回の三嶋氏の社長就任で、家まるごと提案を推進しているヤマダ電機の本気度が分かる。

新業態としての認知度やニトリに代表される家具・インテリア企業との競争、家電も家具もインテリアも対応できる社員の教育と育成など、一朝一夕ではクリアできない課題もある。それはヤマダ電機が家電量販店においてのファーストペンギンであるからに他ならないが、これらの課題をクリアしていくのは決して低いハードルではない。確固たる経験と実績を有する三嶋社長の裁量がヤマダ電機をどのように形にしていくのか、その動向をウォッチしていきたい。

連結子会社に水回りメーカーを擁し、リフォームにも注力するヤマダ電機。写真は家電住まいる館春日部本店