適度な“ゆとり“を持った商品展示で分かりやすさに注力 @cosme×YAMADA Beauty station
様々な来店客に配慮した売場づくりを実践
今回取材したのは、ヤマダ電機IKEBUKUROアウトレット・リユース&TAXFREE館の@cosme×YAMADA Beauty stationだ。同店は池袋駅東口より徒歩2分に立地することから、近隣のオフィスに勤めるOLや、周辺の学校に通う学生が多く来店する。また、TAXFREEということで訪日外国人客も多いという。
売り場は全体的に通路を広くとっているので、訪日でスーツケースなどを持つお客や、ベビーカーでの子供連れのお客にも利用がしやすい。エンドの演出は季節ごとに変えており、取材時は「化粧崩れ」「毛穴」などをキーワードとした商品を提案していた。
関連商材を組み合わせた展示提案でリピーターを獲得
売り場のレイアウトはコスメと美容家電で大まかに分けられているが、要所要所で、コスメと美容家電をミックスさせた売り場を作っている。例えば、化粧水や美容液などとともに展示していたのは、パナソニックの導入美顔器「イオンエフェクター」だ。ヒアルロン酸配合のコスメと一緒に使用してもらう提案をPOPで訴求している。ディスプレーにはタワー型の什器を使用。展示している商品の数は少ないが、棚展示とは異なる視線の動きにより、商品のパッケージや特徴が印象に残りやすいという効果が期待できる。
「タワー型の什器は、透明なのでそれぞれの商品がよく見えます。そのため、商品を置きすぎてしまうと雑多感が出てしまいます。清楚な感じが出るよう、展示する商品の数を絞り、置きすぎないように心がけています」と同店の石本有希フロア長は言う。
タワー型什器による演出で、コスメのお客にも自然と美顔器をアピールできる。この展示にしたことで、美顔器を買ったお客が、コスメを買いに再び来店するなど、リピーターの獲得につながっているという。
多様なお客に対応した売り場発信のPOP
売り場には、手書きのPOPも配置されている。POPの量が多いと見にくくなることもあるが、POPの数を絞り、文字の量や色数も抑え、POPが売り場で埋もれてしまわないように配慮している。また、外国語のPOPが多いと、日本人には何となくいづらい、違和感を感じるという印象を与えてしまうことがある。しかし、パッと売り場を見渡した時に日本語のPOP の方が目に付くので、日本人のお客が利用しやすい店の雰囲気となっている。それでいて、商品の近くには小さいサイズながら外国語のPOPもしっかりと置かれており、来店する様々なお客に対しての配慮を感じる。
美容家電コーナーでは、展示している商品の間隔が適度に保たれており、あえてボリューム陳列を訴求していない売り場と、逆にボリューム感を出す売り場とで緩急をつけている。
石本さんは「女性のお客様は、売り場に置かれている標品の数が多すぎると見る気になれないという方が少なくありません。ボリュームをもたせる売り場と、わざと隙間を作って、商品を手に取りやすい売り場をつくり、見やすいながらも買いやすい売り場を心がけています」と説明する。陳列に“ゆとり”を持たせることでPOPも配置でき、お客がじっくりと商品を選べるようにしているのだ。
顧客視点でお客のニーズに応える売り場を演出
女性目線の売り場はコミュニケーションから
石本フロア長に売り場づくりなどで気をつけている点について話を聞いた。
「当フロアは、新規で採用するスタッフが多く、そのためお客様が手に取りやすい売り場づくりや演出をするにはどうすればよいのか、スタッフとよく話し合っています。
基本的に売り場づくりはスタッフに任せていますが、分からないことや迷っていることがあればすぐに話し合えるような体制をとっています。出来上がった売り場を私が手直しすることもありますが、その際はスタッフになぜ手直しをするのか、どこを変えるのかなどを説明するようにしています」
スタッフ同士の話し合いを活発にし、自分の意見を出しながら売り場を作ることで、スタッフの意欲も湧いてくるという。スタッフそれぞれのアイデイアが集まることで、今後も「分かりやすく、選びやすい」売り場づくりに一層、磨きがかかりそうだ。