若い夫婦役のイメージキャラクターを起用
イメージキャラクターは、関根ささらさんと池田 航(こう)さんの2名。都市部在住の生活スタイルや商品選びにこだわりを持つ、ちょっとクレバーな若夫婦の設定で、テレビ、雑誌、ネットはもちろん、店頭ポスターやリーフレットなど、多方面のプロモーションに起用する予定だ。
シロカ 商品本部マーケティング部の長島利通部長は、「これまで当社ではマーケティングやブランドコミュニケーションを十分にやって来られなかった。改めてシロカのブランドイメージをどう作るか考え、今まであまりやってこなかったことにトライしていく」と語る。
イメージキャラクターの二人の掛け合いが動画で見られる、YouTubeのシロカ公式チャンネル「シロカの家電でやってみた!」をオープンしたほか、2019年2月には表参道駅で二人を起用した広告ジャックも予定する。
1分で焼けるトースターと鍋にもなるスープケトル
新ブランド戦略では愛称(ペットネーム)も試す。1月25日発売のトースターは「プレミアムオーブントースター すばやき(以下、すばやき)」、2月9日発売のケトルは「おりょうりケトル ちょいなべ(以下、ちょいなべ)」が製品名となる。
すばやきは、2枚焼きの「ST-2A251」と、4枚焼きの「ST-4A251」の2モデルで、それぞれブラックとホワイトの2色展開。ちょいなべは、「SK-M151」の1モデル。色はブラックのみだ。
すばやきは、0.2秒で発熱する「瞬間発熱ヒーター」とコンベクションオーブンでも使われている熱風循環により、トーストが最短1分で焼ける「素早さ」を実現。これに「素晴らしい美味しさ」を掛けて愛称とした。冷凍したトーストでも80秒で焼くという。
パン焼き理論で知られる工学院大学の山田昌治教授が監修として開発に参加し、発表会にも登壇した。
山田教授の研究によれば、パンに含まれる水分は、焼き始めに表面の水分が蒸発していくのと同時に内部にも逃げ、一時的にパンの中心部の水分は焼き始めの前より増えるのだそう。時間を掛けて焼くとこの水分も蒸発して固くなってしまうが、すばやきは高火力で一気に焼くことで、トーストの中心部の水分が維持されているうちに焼き上げ、内部がもっちりふわふわ、外側はサックリした食感を実現するという。
お手入れ性も重視し、扉や網を工具なしで簡単に取り外せる仕様とした。パンくずや油汚れが容易に掃除できる。
一方、ちょいなべは「電気ケトルでラーメンを作る人がいる」と知った開発部が、「そんな無理をしては、お手入れや温度調節が大変なはず。それならちゃんと美味しく作れ、片付けもラクで、しかもスタイリッシュなケトルを出せば支持されるのではないか」と考えて生み出した製品だ。
ケトルと鍋を合体させたデザインで、ヒーター部をケトルと分離することで、丸洗いできるように工夫した。ヒーター部には、温度を40~100℃で調節できるダイヤルが付いており、食べたいものに応じて好みの温度を維持できるため、家庭で難しいチーズフォンデュや、“飲んでいるうちにぬるくならない熱燗”も簡単に実現する。もちろん、ラーメンも作れ、器を替えずにちょいなべから直接食べるのもアリだという。
大手総合家電メーカーのブランドイメージ戦略とどう差別化していくか
長島部長は、「シロカというブランドを認知しないまま、デザインなどが気に入ってシロカの調理家電を購入しているユーザーが意外に多い。満足度も高いので、ブランド認知が上がれば、もっと販売を拡大できる」と述べる。
イメージキャラクターは20代の若夫婦の設定だが、30~40代の夫婦やカップルでも好感が持てるよう注意深く作り込み、販促物やネット動画など、トンマナを揃えて展開していくという。
「店舗展開も広げていきたいが、どちらかと言うと店舗での売り方を変えていくことが重要だ。通販も含め、回転率が上がれば、取り扱ってくれる店舗も無理なく増やせる。特にトースターは従来モデル以上の売上を目標に掲げており、積極的に展開していきたい」と長島部長は意気込む。
シロカの福島誠司代表取締役社長も、「丁寧な物づくり、こだわった販売、美しい暮らしを作る企業でありたい」と語ったが、まさにこれはシロカの作り上げたいブランドイメージだろう。
とはいえ、同じようなブランドイメージを目指すメーカーは多く、大手の総合家電メーカーはいずれもCMに力を入れている。体力勝負で大手と真っ向対決ともいかないはずで、どう食い込んでブランドを確立するのか、今後の展開に注目したい。