2018年の玩具の販売金額は前年比103%と伸長 男児玩具は前年割れだが、女児玩具は前年106%に


中長期的な視点で家電需要の縮小が予想される中、家電量販企業の課題の一つともいえるのが、非家電商材の取り扱いだ。この商材の中で玩具は比較的古くから多くの企業で扱っており、企業によって差はあるが、売上高に占める割合は決して低くない。GfKジャパンによると、2018年の玩具の販売動向は前年比3%増となった。

2018年の純玩具の販売金額は前年比103%

有力家電量販店の販売実績を集計しているGfKジャパンは27日、全国の家電量販店、GMS、インターネット販売における2018年の玩具販売動向を発表した。

テレビゲーム関連商品やシミュレーション・カードゲーム、ホビー関連商品、雑貨等を含まない純玩具についての販売金額は前年比103%となった。

出典「全国の家電量販店、GMS、インターネットの販売実績集計/GfK Japan調べ」

クリスマス商戦は前年比1%増に

玩具販売の最盛期として挙げられるのは、なんといってもクリスマス商戦だ。この商戦期を11月~12月第5週の計9週間で見ると、12月第3週までは各週で前年実績を下回っていた。しかし、クリスマス直前の12月第4週に入ると前年プラスに転じ、同週の販売金額は前年比107%となり、最終週の第5週も同134%と伸長。第5週にクリスマス当日や祝日が重なったため、需要が商戦後半に集中したと推測される。商戦9週間の結果としては販売金額で前年101%。スロースタートの商戦ではあったが、最終的には前年実績を上回る実績となった。

ひとことで玩具と言っても、男児向けや女児向けなど、複数の分野に分けることができる。同社の集計では、5つに大別している。それは、男児玩具、女児玩具、基礎玩具、ゲーム、ぬいぐるみ・人形の5つだ。

出典「全国の家電量販店、GMS、インターネットの販売実績集計/GfK Japan調べ」

玩具全体の販売金額に占める割合が最も高いのは、男児玩具で37%。TVアニメとして放送されている新幹線変形ロボ「シンカリオン」の玩具が販売増となったが、男児キャラクター関連は販売減となり、販売金額は前年比99%で前年割れとなった。

乳幼児向けの基礎玩具は電子トイがけん引し、販売金額は前年比6%増

販売金額構成比で男児玩具に次ぐのは、28%の基礎玩具。これは主に乳幼児向けで、キャラクターを使用した知育・教育玩具や高価格商品などが含まれており、平均価格で1万円以上の液晶画面を搭載した電子トイが需要をけん引。販売金額は前年比106%と伸長した。

販売金額構成比で3位は女児玩具。玩具全体の24%を占めている。2018年はアメリカ発のカプセルに入ったドールの「L.O.L.サプライズ!」シリーズがYoutubeやSNSで話題となり、幼児や小学生にとどまらない人気を博し、需要増に貢献。女児玩具の販売金額は前年比106%となった。

「L.O.L.サプライズ!」シリーズはドールのコスチュームやアイテムを集める楽しみでヒット

小型液晶ゲーム機の貢献でゲームは前年比6%増

女児玩具に次ぐ販売金額構成比4位は8%のゲーム。「たまごっちみーつ」や「すみっコあつめ」などの小型液晶ゲーム機が人気を集め、12月単月のゲーム全体の販売金額は前年同月比115%と伸長し、年間での販売金額も前年比106%となった。

すみっコを集めて世話をしたり、ゲームができる小型液晶ゲーム機がヒット

販売金額構成比で4%を占めるぬいぐるみ・人形の2018年の販売金額は前年比95%と前年を下回った。この分類では、2016年に発売されたコミュニケーション・トイの1種である「うまれて!ウーモ」シリーズがヒット商品となっていたが、その盛り上がりが落ち着いたことも前年マイナスの背景となっているようだ。

玩具市場で家電量販店は重要な販路となっている。実際に複数の家電量販企業が玩具だけの専門販売店を出店したり、独立したコーナーとして展開するなどの施策を行っている。少子化が進んでいるにも関わらず、2018年の販売金額は前年よりも増加となった。やり方によっては、集客増や単価アップなどもできる余地があるのではないだろうか。玩具の世界も急速にネットやSNSでの情報拡散が進んでいる。MDや売り場担当者も最新の情報収集に注力し、売り場演出によって玩具販売においてもリアル店舗の強みをさらに生かしてほしい。