2018年度のエアコン出荷は過去最高を記録 出荷台数は前年比8.4%増の981万4,600台
2018年の夏は猛暑、冬は暖冬でエアコンの出荷が好調に推移
2018年の夏は東日本、西日本とも平均気温が例年よりも高くなった。6~8月の東日本の平均気温は例年よりも+1.7℃と、1946年からの統計開始以降で最も高い年となり、西日本でも+1.1℃で統計開始以降2位の気温となった。
夏が暑ければエアコンは売れる。その理由は、体感ではなく、実際の室温を下げることができるからだ。つまり、代替商品がないということ。しかし、冬の寒さについては、そうではない。電気やガス、灯油を熱源とするストーブやファンヒーターなどの寒さ対策での代替商品がある。
2018年の冬は全国的に暖冬といえる気温だった。そのため、即暖性や局所暖房に優れた前述の代替商品ではなく、エアコン暖房で十分ということからか、出荷自体は好調さを持続して推移した。
2018年度のエアコン出荷台数は過去最高を記録。出荷金額も前年比109.5%と伸長
日本冷凍空調工業会が発表した2018年度(2018年4月~2019年3月)のルームエアコンの出荷実績の前年同月比を時系列で表したものが、上のグラフである。一見して分かるとおり、出荷台数と出荷金額が前年同月を下回った月は、ない。1年間を通して、すべての月で前年同月実績よりも出荷台数・金額は伸長したのだ。前年の2017年度が低調だったのだろうか。実はそうではない。
2017年度の出荷台数は約905万5,000台で、過去2位となる出荷台数を記録した年だった。その2017年度をさらに上回る好調な出荷ベースで推移したのが、2018年度というわけである。2018年度は12カ月のうち前年同月比で出荷台数が110.0%以上の2桁増となった月が8カ月あり、この2桁増の各月は、出荷金額でも2桁増となっている。
2018年度の出荷台数は約981万4,600台で前年比108.4%。年度では過去最高を記録した。出荷金額は約8,044億4,400万円、対前年比は109.5%で、年間の出荷台数は最高記録となったが、出荷金額は過去6位である。ちなみに2018年度の1台当たりの出荷金額は81,964円で、前年比101.1%と単価はアップした。
2018年度の家電量販店のエアコン販売は12カ月中8カ月で前年同月2桁増
では、家電量販店での販売はどうだったのか。家電量販店の販売実績を集計しているGfKジャパンによる2018年度の各月の販売実績を前年同月比で示したのが、次のグラフである。
2019年1月と2月は前述のとおり、暖冬の影響で販売台数は前年同月を下回ったが、その他の月は前年の販売実績をクリア。前年同月比2桁増となる月は12カ月のうち8カ月あり、2018年9月は販売台数が前年同月比140%、販売金額が同142%と大きく伸長した。前年の2017年9月は気温があまり上がらず、残暑の期間がほとんどなかった。2018年9月のエアコンの販売が前年同月で大幅にアップしたのは、前年の販売が芳しくなかったことによる反動の結果ともいえよう。
2018年度の家電量販店のエアコン販売実績としては、販売台数・金額とも前年比111%となった。税抜き平均単価は99,400円で、平均単価は前年比横ばいとなっている。
2019年4月の出荷台数・金額は前年同月比120%超
2018年度がこのように好調な実績となったため、今年度は反動減により、出荷台数は2018年度から大きく減少すると多くのメーカーでは予想している。しかし、2019年4月の出荷台数は約65万1,000台で、前年同月比121.8%。出荷金額は約547億円で同128.6%と前年を大きく上回る出荷実績となった。この出荷台数・金額はここ20年の間で最も高い数値で、2019年度のスタート月としては、非常に好調な出だしとなった。
ちなみに家庭用ルームエアコンの出荷動向を月次情報として発表している日本冷凍空調工業会では、2年に1度の頻度で冷凍・空調・暖房の冷熱技術に関する国内最大の展示会「HVAC&R JAPAN 2020」」を、2020年3月3~6日に幕張メッセの国際展示場で開催する予定だ。前回は約25,250人の来場者を集め、次回はさらに多くの来場者が訪れることが期待される。開催はまだ先だが、今後のエアコンの新しい技術が披露されるかもしれない。その意味では要注目の展示会といえるだろう。
エアコンは天候要因と切っても切り離せない関係があり、メーカーや流通サイドの努力だけでは、需要をコントロールできない部分がある。また、今年度は10月から消費税の税率が引き上げられ、消費にどのような影響が及ぼすか、不明なところもある。
しかし、参入メーカーも増え、Wi-Fi対応やクラウド連動、内部クリーン機能のさらなる進化など、お客へのアピールポイントは確実に増えている。複数台数の購入提案や機能訴求による上位モデルへのシフトなど、お客への提案をしっかり行い、2018年度以上の実績となるよう、さらなるエアコンの販売強化に取り組もう。