ファミリー層のリビングニーズを掘り起こす、富士通の2019年夏モデルPC


富士通クライアントコンピューティングは7月10日、個人向けノートパソコンFMV「LIFEBOOK」シリーズの2019年夏モデルを発表した。17.3型の「NHシリーズ」、13.3型モバイルの「MHシリーズ」、ペン内蔵型2in1コンバーチブルノートとして世界最軽量を達成した「UH95/D2」で、7月18日より順次販売開始する。

家庭におけるリビングでの過ごし方に変化

今期はパソコン市場が元気だ。Windows 7とOffice 2016のサポート終了を控え、法人需要が拡大しており、個人需要もそれに引っ張られるようにじわじわと伸びてきている。PC各社が夏モデルを投入し始めたが、ここでは7月10日に発表会を開催した、富士通クライアントコンピューティング(FCCL)をピックアップする。

FCCLの調査によれば、昨今家庭におけるリビングでの過ごし方に変化が見られるという。かつては食事が終わるとめいめいが自分の部屋に籠もる家族が多かったが、広めのリビングの増加傾向と合わせ、リビングで他の家族と一緒にいながら、自分のデバイスを利用して過ごす家庭が増えているというのだ。

それは家族で過ごしていると言えるのかと感じる人もいるかもしれない。だが、同じくFCCLの調査によれば、家族の一人が知ったインターネットの情報を家族間で話題にするという家庭は、「よくある」と「ときどきある」を合わせて実に84.2%にのぼる。子供や配偶者から聞かれたことが分からず、その場でインターネットで調べた経験のある人は、「よくある」と「ときどきある」を合わせて86.5%だ。

家族がお互いに自分のペースで情報交換する過ごし方が広まってきているというわけだ。

斎藤邦彰社長は新製品の紹介に入るにあたり「無機質なパソコンでも、人を想うとこうなるという形を示したい」と語った
家庭におけるリビングでの過ごし方が変化し、リビングで家族と一緒にいながら自分のことをしている人が増えてきている

リビングでの利用シーンの想像を膨らませよう

そんなホームユースに向けて新たに投入するのが、LIFEBOOK NHシリーズ。「持ち運べる大画面が、家族の真ん中に。」がコンセプトだ。家族がリビングで1つの画面を覗き込めるマシンをイメージしたという。実売想定価格は、上位モデルの「LIFEBOOK NH90/D2」が税別230,000円前後、下位モデルの「LIFEBOOK NH56/D2」が税別180,000円前後となる。

LIFEBOOK NHシリーズは、家族がリビングで1つの画面を覗き込めるマシンをイメージして開発された

17.3型というかなり大きな画面は、実際のところ家族数人で覗き込んでも問題ない十分な広さだ。流石にニュースサイトなどの細かな文字を読む場合は正面から見たいところだが、ネット動画の再生や、ゲームのプレイ画面を見せるようなケースなら、横から覗き込んでも支障なく見られるだろう。

上位モデルNH90/D2は、CPUにCore i7 9750Hを搭載。家庭向けとしてはかなりハイスペックで、動画編集やゲームも相当ハードな内容でなければ、ストレスなく利用できるはずだ。

ただし、元々パーソナルで使われがちなノートPCを、家族で利用するという提案は、言葉だけでは結構イメージしづらい。店頭で見たお客が、自分と家族が利用しているシーンをイメージできる工夫が必要だ。

そこで有効利用したいのが、HDMI出力端子に加えてHDMI入力端子も備えていること。ビデオカメラやゲーム専用機の映像をPCの画面上に表示できるので、家族での利用用途のイメージを膨らませるのにうってつけと言える。展示する際もビデオカメラやゲーム専用機を横に置いて繋げれば、自分もリビングで同じことがしたいというニーズを喚起できるに違いない。

スピーカーは、パノラマサウンドや人の声が聞き取りやすくなる設定が可能。ネット動画や音楽などのコンテンツも家族で楽しめる
狭額縁を採用したことで、従来モデルの15.6型ワイドから高さが1.5cmダウンしながら、液晶画面は17.3型ワイドを搭載。画面の表示面積は1.2倍に増えている
LIFEBOOK NHシリーズはHDMI出力端子だけでなく、HDMI入力端子を搭載しているのも特徴だ。店頭展示に上手く活用したい

コンバーチブル2in1も目的に合わせた選択肢を用意

今回のFCCLの発表で興味深いのが、液晶画面がくるりと回ってキーボード背面に付き、いわゆるタブレットとしても使えるコンバーチブル2in1を、2タイプリリースしたこと。

1つは家族の生活スタイルに合わせた使い勝手の幅を広げる「LIFEBOOK MHシリーズ」。もう1つはペン内蔵型2in1コンバーチブルノートとして世界最軽量を達成することで、モバイル性を最重視した「UH95/D2」。どちらも、サイズは13.3型で、クラムシェル、テント、タブレットの3モードが利用でき、アクティブペンでタッチ対応液晶が操作できる点は同様だ。

MHシリーズは、クラムシェル、テント、タブレットの3モードで利用できるコンバーチブルタイプの2in1パソコンだ

MHシリーズはモバイルと言っても家族での利用を想定しており、家の中のどこででも、いろいろな使い方ができるというアプローチで、価格も比較的抑えめとなっている。実売想定価格は、上位モデルの「LIFEBOOK MH75/D2」が税別170,000円前後、下位モデルの「LIFEBOOK MH35/D2」が税別130,000円前後だ。

スタンバイ中もSNSメッセージや音声認識が待ち受けできる「モダンスタンバイ」に対応しており、スマートフォンのような素早い画面表示が可能になっている。

気を付けたいのは、下位モデルのMH35/D2はクラムシェルのみで、コンバーチブル2in1ではないところだ。同じシリーズの上位と下位でこの仕様違いは少々混乱しそうであり、特に指名買いのユーザーほど上位と下位の違いはしっかり伝えて確認したい。

MHシリーズのクラムシェルモード
アクティブペンが付属。こちらは単6電池で駆動する

世界最軽量のパワーワードを強く打ち出すべし

一方、UH95/D2はどこにでもPCを持っていきたい人に強くオススメできる、868gの軽量さが魅力のモバイルPCだ。昨年末に698gの圧倒的な軽量さで登場した「LIFEBOOK UH-X」の兄弟機であり、本体のフットプリント(縦横サイズ)は、UH-Xとまったく同じ、W309×D214.8mm。厚みはUH-Xより1.4mm厚く16.9mmとなっている。実売想定価格は税別230,000円前後となっている。

LIFEBOOK UH95はモバイル性を重視しながら、タブレットとしても利用したいユーザー向けのコンバーチブル2in1だ

アクティブペンは本体に収納した時に充電でき、15秒で90分の使用が可能な急速充電にも対応。キーボード上部にWindows Inkボタンを備え、Windows Inkワークスペースがすぐに呼び出せる。また、その横にディスプレイ上部とは別の2つめのウェブカメラを搭載する。これはタブレットモード時に背面カメラとして動作し、ホワイトボードやハンドアウト資料が撮影しやすい仕様となっている。

UH95/D2はNHシリーズやMHシリーズのようなファミリーで共有するモデルというよりは、仕事で会社や営業先に持っていったり、学生が学校に持っていったりするパーソナル性の高いモデルだ。同じコンバーチブル2in1でも、ユーザーの利用目的で選択の幅を広げていると言える。

売り場では、世界最軽量のパワーワードを強く打ち出すべきだろう。セキュリティワイヤー付きでも、ある程度手に取って重さが実感できるようにするなど、軽量PCを探しているユーザーの関心を惹くように工夫したい。

ペン内蔵型2in1PCとして世界最軽量の868gを実現している
LIFEBOOK UH95は3モードの違いが分かりやすいように展示していた
本体側面の最前部にアクティブペンを内蔵する。写真はペンを少し引き抜いたところ
LIFEBOOK UH95のキーボード上部には、Windows Inkボタンと、ホワイトボードをスマートに共有できるカメラを搭載する

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