ヤマダ電機が住宅関連ビジネスを加速 センチュリー21、大塚家具との業務提携を店舗で具現化
センチュリー21の店舗をインショップで導入
ヤマダ電機はセンチュリー21との業務提携により、現在、全国で展開している家電住まいる館にインショップでセンチュリー21の店舗を出店していくと発表した。センチュリー21はフランチャイズ制を採用している不動産会社で、2019年3月末で国内に954店舗のネットワークを持っている。
ヤマダ電機で住宅の賃貸や売買、管理を担当しているのはヤマダ不動産。全国の家電住まいる館やLABIの約25店の店内で営業を行っている。家電住まいる館は全国で80店を超えており、さらに拡大させていく計画である。ただし、不動産の売買や賃貸の仲介には宅地建物取引主任者、通称宅建の資格が必要だ。家電住まいる館の拡大に合わせて、ヤマダ不動産が不動産の仲介ビジネスを進めていくには有資格者の増員が必要不可欠となる。
一方、センチュリー21サイドでも事業の拡大には、さらなる店舗展開が必須で、これを経営の重要施策の一つに挙げている。つまり、両社は業務提携によってそれぞれの戦略が補完できるということだ。さらにセンチュリー21では、単に出店にとどまらず、ポイント制度の連携や金融サービスの提供などでの協業も模索していきたいとしている。今回発表されたセンチュリー21との業務提携で、家電住まいる館での住宅仲介ビジネスは急速に拡大していくものと考えられる。
人と商品の双方で本格的なコラボ店舗をオープン
また、ヤマダ電機では今年2月に大塚家具との業務提携も発表していたが、その提携の具体的な内容も公表された。リリースによると、7月19日にリニューアルオープンする群馬県前橋市のインテリアリフォームYAMADA前橋店において、大塚家具の商品の取り扱いをスタートさせる。
同店はピロティ形式の3階建て店舗で、売り場面積は3,200㎡。店名からも分かるとおり、インテリアやリフォームなどの住宅および住宅関連分野に特化した店舗で、売り場全体の約2,000㎡が家具・インテリアのスペースだ。
大塚家具ではヤマダ電機との業務提携発表後、3月にはヤマダ電機のLABI品川大井町と家電住まいるYAMADA幕張店の2店舗にそれぞれ2名の人員を出向させており、6月には大阪市のLABI1なんばを含む7店舗に16名を追加で出向。人的リソースでの提携は着々と進んでいる。商品面でも5月から5店舗でソファの取り扱いがスタート。今回のインテリアリフォームYAMADA前橋店では5名を出向させる。取扱商品でもアイテムを拡大し、ダイニングテーブルやカーペットなども本格導入するというものだ。
家電と住宅、住空間を融合した「住宅まるごと」から金融、生活サービスなども付加した「暮らしまるごと」を提案するヤマダ電機は、特に住宅分野において攻めの姿勢を見せている。一見すると住宅重視とも捉えがちだが、その一方で家電ではFUNAIやSPA商品などの取り扱いを拡大。店舗内では体験・体感型コーナーを増やし、家電においても事業拡大に取り組んでいる。
家電だけのビジネスでは、企業としての成長が望めないと早くから積極的に非家電ビジネスに取り組んできたヤマダ電機。2020年3月期は、2015年に策定した5カ年間の中期経営計画の最終となる期だ。各分野のビジネスがどのような形で結実するか、今期の動向を注視したい。