ノジマが全店舗で電子棚札を約140万枚導入 プライス貼り替えの手間を省き業務効率改善狙う


家電量販店で徐々に普及が進んでいる電子棚札。導入コストはかかるが、導入後は人の手による作業が不要のため、作業効率は大きく改善する。ノジマではこのほど、全店舗で電子棚札を完全導入。これは家電量販では初となる。

以前から導入を進めてきた電子棚札を全店導入

現在、小売り業だけでなく、飲食業や輸送業など、多くの業種で人材確保が重要な課題となっている。家電量販店もしかり。店舗では常にパートやアルバイトの募集を行っているのが実情である。

特に他業種と異なる作業は、プライスカードの貼り替えだ。対競合、対ネット通販、処分、期間限定販売など、プライス変更の理由はさまざまで、1日に複数回のプライス変更もあり、その貼り替え作業には人の手と時間を要する。電子棚札の導入が徐々に進んできた背景には、この作業を廃することでの作業効率の改善が大きい。

ノジマでは以前から電子棚札の導入を進めてきた。しかし、全店舗ではなく、また、特定の商品カテゴリーのみという形であった。プライス変更があまり頻繁でないカテゴリーで、実証実験的な意味合いもあっただろう。また、店内のコントローラーから各棚札とは無線でつながれているため、店舗や売り場によって確実に動作するかも確かめていたのだろうと推測される。

以前、スマホアクセサリーのプライス表示で採用されていた電子棚札

今回、ノジマはパナソニックとパナソニックシステムソリューションズジャパンによる電子棚札を、10月18日に全国184店の全店で導入完了したと発表。全店での導入は家電量販店のみならず、チェーン展開をする業態で初とのことだ。

10月1日の消費税率改定時もプライス切り替え作業時間はゼロ

基本的に電子棚札は本部がコントロールすることで、一斉にプライス変更が可能となる。しかもプライスの変更がPOSと連動するため、会計時にも特段、必要な作業は発生しない。10月1日に実施された消費税率の変更による税込表示も一括更新を行うことで、現場の作業時間はゼロだったという。

全店舗の導入完了で、使用される電子棚札の数は約140万枚。表示は白黒赤の3色表示を採用し、サイズは1.6インチから7.4インチまでの4種類を使用。商品によって最適なサイズを選択した。

白黒赤3色を使ったノジマオリジナルデザインの画面
大型家電や小型家電など、商品そのもののサイズが異なるので、電子棚札も使い分ける

電子棚札にはアプリと連動させて、お客のスマートフォンに情報を表示させることができるものもある。
現時点でノジマアプリやノジマオンラインと連動はさせていないようだが、今後、スマホ連動でオムニチャネル化を推進することも可能だ。

ノジマはメーカーヘルパーを使わず、自社のスタッフによるコンサルティングセールスを行っている。だからこそ電子棚札の導入で、スタッフはより接客に専念できる態勢となった。現在も旺盛な店舗展開を行い、新卒の採用にも意欲的に取り組み、人材の育成や強化に注力する同社にとって、電子棚札の完全導入は大きな武器となるに違いない。