パナソニックの最新ロボット掃除機は、ぶつからない!倒さない!追いかける!?


パナソニックは3月下旬にロボット掃除機「RULO」の新製品「MC-RSF1000」を発売する。市場想定価格は税別150,000円前後。新たに周囲を360度検知する「レーザーSLAM」と搭載。25mmまでの段差を乗り越えるアクティブリフト機能を採用したほか、人の足を認識して追尾するotomo機能も備えた。ここでは発売に先駆けて実施されたメディアセミナーの様子をレポートする。

ロボット掃除機の国内需要

パナソニックによれば、ロボット掃除機の国内需要は、2019年度も新規参入メーカーなどもあって、約50万台(前年比103%)で推移すると予測している。国内掃除機市場におけるロボット掃除機の構成比についても拡大基調としており、2018年度の17%から2019年度は18%へ、2020年度は20%へと拡大すると見込む。

パナソニックではロボット掃除機の国内需要を微増と見込む

ロボット掃除機の国内普及率はまだまだ約7%程度と低い。しかし、同社が「共働き夫婦が生活を充実させる為に購入したい家電」として調査した結果では、最も多い21.1%がロボット掃除機を挙げ、特に共働きの妻に限定すると、その数値は24.0%になったという。

ロボット掃除機が普及しないのは何故なのか。パナソニックが「関心はあるがまだ使ったことはない」層に聞いた、まだ買わない理由は、価格を除くと「きちんと掃除できるか不安」が41.9%で最も高く、「ゴミの取り残しがありそう」が29.8%、「事前の片付けが面倒」が25.1%と続いた。「部屋が狭い」の17.0%や「掃除途中で止まる」の15.5%、「自分で掃除する方がきれい」の12.6%などより高くなった。

パナソニックの新型RULOは、こうした背景を踏まえて投入する、国内ユーザーの不安解消に重点を置いたロボット掃除機「MC-RSF1000」だ。千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター(fuRo)と共同研究し、最先端のコンセプトモデルを作った後、民生用として現実的な価格で提供できる形に落とし込む流れで開発している。

MC-RSF1000の製品化前に、fuRoと共同開発したコンセプトモデル

障害物にぶつからない安心走行

MC-RSF1000は、大きく3つの特長を備える。

MC-RSF1000の特長をまとめたスライド

1つめは、1秒間に10回転して自機の周囲360°をレーザーでセンシングする、空間認識技術「レーザーSLAM」の搭載だ。

従来のカメラSLAMを使用した機種では、家具の下や暗所の走行時に自己位置を見失う場合があったが、新製品ではレーザーSLAMにより、部屋環境と自己位置を常に正確に把握し、半径8mの空間を認識しながら走行する。

テーブルや椅子の脚はもちろん、床に置かれた雑誌やぬいぐるみなど、障害物を事前に検知し、ぶつからないように回り込む。ロボット掃除機がテーブルにぶつかって、テーブルの端に置いてあった食器が床に落ちて割れてしまったり、中身がこぼれてしまったりといった心配がない。

従来のカメラSLAMから、レーザーSLAMに変ったことで、より正確で効率の良いマッピングが可能になった

セミナー会場ではぬいぐるみや本、積み木、サッカーボールなどを配置した部屋の中で、それらにぶつからずにゴミだけを除去するデモンストレーションも実施された。サッカーボールが転がるのではないかと思ったものの、見事に避けた。実は積み木にはブラシが当たってしまったのだが、他の障害物で位置がずれたり倒れたりしたものはほとんどなかった。

パナソニックの担当によれば、障害物を避けるプログラムは発売までの残り期間もチューンを続け、より精度の高いものに仕上げたいとのことだった。

障害物を避けるデモンストレーションの様子。サッカーボールを器用に避けたのは驚いた

25mmの段差を本体がぐっと持ち上がって乗り越える

2つめは、前方にある段差やラグなどの障害物を検知して本体を持ち上げ、引っかかることなくスムーズに乗り越えて走行するアクティブリフト機能だ。

障害物の検知はフロント3Dセンサーで行い、障害物が近づくと自動で本体内のカムがタイヤユニットを押し出して本体を物理的にリフトアップする。乗り越えられる段差は8~25mm。それより高い段差の場合は、ぶつかる前に回避する。

フロント3Dセンサーで障害物を発見すると…
アクティブリフト機能で本体前部がぐっと持ち上がる

ちなみにMC-RSF1000では、マッピングのためのレーザーセンサーや障害物検知センサーだけでなく、落下防止用の赤外線センサーや持ち上げセンサー、衝突センサーなど、合計29個のセンサーを搭載している。

3つめは、音声操作が可能なGoogleアシスタントをはじめ、業界初のotomo機能など、様々な操作方法が可能なことだ。

スマートスピーカーを使ったGoogleアシスタント経由での音声操作は、掃除の開始やスタート、充電、静音運転モードのオンオフなどが可能。スマートフォンの専用アプリ「RULOナビ」からも、お掃除記録の確認、エリア登録、音ひかえめ設定、スケジュール設定などが操作できる。もちろん、本体ボタンからも運転開始や終了、充電などを指定可能だ。

スマートフォンの専用アプリ「RULOナビ」で、お掃除記録の確認を表示。かなり正確にマッピングされていることが分かる

otomo機能は本体上部の丸いレーザーセンサー部分を3回タップすることで、人の足を見分けて自動追尾するモード。あまり早く動くと見失ってしまうので、ゆっくり歩く必要があるが、ピンポイントで掃除させたい場所に歩いて誘導できる点が便利だ。

目的地に到着したら、上部の丸いボタンを押すか、MC-RSF1000の前で5秒間立ち止まる。するとその周辺を重点的に掃除する。

otomo機能は4歳の子供でも使いこなせるというデモンストレーション

店頭での体験で商品の価値に気付かせる

共働き世帯の増加により、ロボット掃除機の潜在需要は間違いなく高まっている。スマートフォンとの連携にも抵抗感のない世代が増えており、もっと普及の広がって良い製品と言えるはずだ。

店頭では、レーザーSLAMに関しては動画などを使っての説明になるだろう。一方でアクティブリフト機能やotomo機能はお客が実際に触って試すにはもってこいの機能と言える。税別15万円はかなりいい値段ではあるが、新製品の魅力に気付かせることで、最先端の技術に憧れる層だけでなく、ロボット掃除機の機能面に不安があって購入に踏み出せずにいた層の背中を押したい。店頭で接客しがいのある製品だと感じた。