上新電機の2020年3月期連結決算は増収減益に EC売上は前年比4.8%増で全体売上の13.8%を占める


上新電機の2020年3月期連結決算が発表された。同社は早くからスマホ決済に対応し、ECの販売にも注力。また、玩具やリフォームなど、非家電商材の取り扱いも積極的に推進してきた。特に下期が厳しかった2020年3月期。連結売上高は前年実績をクリアしたが、利益面では前年実績を下回った。

連結売上高は前年比102.9%で、PCは同127.8%と大きく伸長

上新電機の2020年3月期の連結売上高は4,156億4,300万円で前年比102.9%と伸長した。商品別で見ると、PCの売上高は約62億円の増収となり、前年比127.8%と売り上げを伸ばした。これに次ぐのはテレビで同119.1%と拡大。冷蔵庫も同111.5%で、これら3商品は前年から2桁増を達成した。

だが、暖冬の影響が大きかった暖房機の売上高は前年比87.6%とダウンし、端末と通信費の完全分離プランが義務付けられた携帯電話も同86.1%で前年2桁減と落ち込んだ。

2020年3月期の売上高を半期別で見ると、消費税が増税となった下期は前年同期比94.0%。特に消費税が導入された10月から12月までの第3四半期は同92.7%と低迷したが、上期は同112.7%と2桁増だったため、通期では前述のとおり前年比102.9%となっている。

この3年間、売上高は順調に推移

同社では以前からECを積極展開しており、2020年3月期のEC売上高は前年比104.8%の571億3,400万円、売上高構成比は13.8%である。

売上総利益率は24.2%で前年から0.1ポイントダウン

売上総利益額は前年比102.5%と伸長したものの、売上原価が103.1%と増加したため、売上総利益率は24.2%で前年から0.1ポイントダウンとなった。四半期ごとで見ると、第2四半期は前年同期より1.3ポイントダウンしたが、その他の3四半期では前年同期よりもポイントがアップしている。

売上総利益額は伸長しているが、2020年3月期の売上総利益率は前年から0.1ポイントダウンした

販売管理費は前年比105.1%で、売上総利益額よりも高い伸びとなったため、営業利益は同81.7%と2桁減の89億7,900万円。売上高営業利益率は前年から約0.6ポイントダウンとなる2.2%だった。

営業外収益は前年比99.8%で、営業外費用は同123.3%と増加。営業外収支がマイナスだったため、経常利益は同80.9%の89億円。売上高経常利益率は売上高営業利益率と同様に前年から0.6ポイントダウンの2.1%で、2020年3月期は増収とはなったものの、利益面では減益だった。

営業利益額、経常利益額とも2020年3月期は前年を下回り、いずれの利益率も前年から0.6ポイントダウン

楽天市場、楽天ポイントカードでオンラインからオフラインへ送客図る

上新電機ではECの拡大を図り、自社のJoshin webをはじめ、楽天市場にも出店している。このオンラインと店舗のオフラインとの連携を強化するため、楽天市場内のキャンペーンページにエントリーして店舗で楽天ポイントカードを提示すると、ジョーシンカードのポイントに加えて、楽天ポイントが付与される取り組みを実施する。

上新電機はこれまで楽天チェックや楽天ポイントカード、楽天Edy、楽天ペイの導入で楽天との連携を図ってきた

新型コロナウイルスの感染拡大により、家電量販店のEC売上は拡大傾向にある。同社では、このオンラインからオフラインへの送客を図り、ECとリアル店舗双方の売り上げアップに努めていく方針だ。

また、2月23日には三宮1ばん館に西日本最大級という「eスポーツアリーナ三宮」をオープン。新たな顧客層の開拓も意欲的に推進している。

フロア面積173㎡、客席数170席のeスポーツアリーナ三宮

2020年3月期は3カ年の中期経営計画「JT-2020 経営計画」の最終年度で、計画に対して売上高の達成率は102.6%となったが、利益面では未達で終わった。新中期経営計画や2021年3月期の連結業績予想については、新型コロナウイルスの影響により公表を見合わせているが、特に利益面をどのような手法で改善させるのか、今後の同社の取り組みに期待したい。