ビックカメラが最短45分の配送サービスを開始 渋谷東口店のみの試験サービスで対象商品と対象地区を限定


ビックカメラはアプリで注文し、店舗で受け取る取り置きサービスを各店舗で展開中だ。しかし、新型コロナウイルスの影響で密集を避ける傾向が強くなっている。そこで同社は、このスキームの拡大とさらなる顧客の利便性を向上させるため、新たなサービスを開始した。それが最短45分の配送サービスだ。

配送サービスは宅配代行のエニキャリと協業

ビックカメラはエニキャリと提携し、6月22日から渋谷東口店で最短45分の配送サービスを開始した。位置づけとしては新たな取り組みの実証実験で、期間は3カ月間の予定。実験の結果によっては本格運用やエリア展開も図るとのことだ。

7月21日までは配送料無料で注文から宅配までは最短45分をうたう

エニキャリは2019年創業の宅配代行サービスにおけるプラットフォームとデリバリーを運営するスタートアップだ。同社の宅配代行サービスは飲食物がメイン。ユーザーがエニキャリのアプリやサイトから注文すると、エニキャリのドライバーが店舗で注文品をピックアップして自宅まで届け、料金も回収する。新型コロナウイルスの影響により、Uber Eatsや出前館に代表される宅配代行サービスが注目を集めているが、同社の事業も同領域といえる。

エニキャリは、ユーザーが自社サイトに掲載しているメニューを選ぶと自宅までデリバリーサービスを行う

ただし、今回のビックカメラとの協業においては、エニキャリのサイトを介さないオープン型の配達インフラ「DeaaS(Delivery as a Service)モデル」を採用。商品の注文は「ビックカメラ・ドットコム」で行い、エニキャリのドライバーが渋谷東口店で商品をピックアップして顧客宅に配送するというものである。

渋谷エリア限定で対象商品は最寄り品などの小型商品

配送サービスといっても、すべての家電商品が宅配可能ではない。対象商品はPC周辺機器やPCアクセサリー、インクなどのサプライ品や日用品、ゲームソフト。一部の報道ではノートPCやゲーム機器と表記されているが、これは誤りである。

対象商品はマウスなどのPC周辺機器やインクジェットプリンターのインクなど

エニキャリのドライバーは専用バッグを背負い、自転車で配達を行う。当然、大きなサイズの商品は持ち運びできない。そのため、宅配サービスが可能な商品は前述のカテゴリーで、サイズも小型のものになるわけだ。

エニキャリのドライバーは専用のバッグを背負って自転車で配送を行う。エニキャリのサイトより

ビックカメラは都内に多数の店舗を持っているが、なぜ渋谷東口店だったのか。この問いに対して、エニキャリが配送をカバーしているエリアが渋谷区を中心としていたためとビックカメラの広報担当者はいう。もともとエニキャリのサービス自体が小商圏を対象としたクイックデリバリーで、カバーしているのは多数の飲食店が林立する渋谷。そのため、実験店舗として渋谷東口店が選ばれたのだ。

配達の対象地域は渋谷区の南側と目黒区の一部。注文可能時間帯は午前0時から午後7時半で、宅配可能時間が午後1時半から8時半ころまで。7月21日までの1カ月は配送料が無料で、その後は売価に配送料が加算されるが、その配送料は現時点では未定だ。

配送の可否はドットコムの在庫一覧に表示

注文の流れは次のとおり。まずはビックカメラ・ドットコムで注文する商品を選び、『在庫のある店舗を探す』をクリックする。すると、在庫一覧のウインドウが開き、宅配サービスの対象で渋谷東口店に在庫があれば『今すぐお届けする』が表示されている。

渋谷東口店のみでの取り組みのため、『今すぐお届けする』が表示されるのは同店だけである

『今すぐお届け』をクリックし、『規約に同意してエニキャリで注文する』を選択すると、カートの画面になる。『購入手続きへ進む』を選ぶとユーザー情報の入力ページに飛び、エニキャリの会員であればそのままログインし、非会員は『会員登録して購入』か『ゲスト購入』を選択して、配達先の所在地などや配達の時間帯、支払い方法を選択し、内容確認を経て注文を確定する。

ユーザー情報の入力ページ。エニキャリの会員登録をしなくてもゲスト購入として注文が可能

支払いは配達時に現金かPayPayのいずれかに限定

支払いについては配達時、ドライバーに現金かPayPayで支払う。現時点での決済方法は、このいずれかのみである。仮に配達時に不在の場合は店舗への持ち帰りになるという。ちなみにこのサービスではビックポイントの加算と使用はできない。

今回の取り組みは、お客の利便性向上とビックカメラではいう。対象商品が限定はされているが、サプライ品や日用品などは、つい切らしてしまうことがある。逆に考えると、必要な時に切れていたのに気が付いたが、短時間で配達してもらえるというメリットは大きい。

冒頭に記したように渋谷東口店でスタートした配送サービスはエリア自体も非常にミニマムな実証実験という位置づけだが、ビックカメラの新しい取り組みがどのような結果となるのか、今後の動向に注目したい。