ダイニチがハイブリッド加湿器「LXシリーズ」の新製品を発売 就寝中の湿度を3段階から選択できる「おやすみ快適」機能を搭載


家電市場ではコロナ禍で巣ごもりやテレワークなどの新たな需要が創出されている。乾燥によるウイルスの付着と免疫力の低下を予防するという目的から加湿器も需要が急増している製品の一つだ。家電量販店での加湿器の販売数量・金額において7年連続してNo.1の販売シェアを誇るダイニチ工業は、このほど2020年の新製品を発売した。

就寝時は「おやすみ加湿」から「おやすみ快適」に進化

2003年にハイブリッド加湿器を市場投入し、その静音性と国内生産による品質性を誇るダイニチ工業は、ハイエンドモデルのハイブリッド加湿器「LXシリーズ」の2020年モデル2機種を発売した。

発売したのはプレハブ洋室27畳まで、木造和室16畳までのHD-LX1020と、プレハブ洋室33畳まで、木造和室20畳までのHD-LX1220。

HD-LX1020(左)とHD-LX1220(右)。両機種とも色は共通で、サンドホワイト(右)とモスグレー(右)の2色

同社がモニターアンケートを行ったところ、就寝時に湿度を50%に保つ「おやすみ加湿」に設定していたのは全体の25.8%。51.5%が「おやすみ加湿」ではなく、湿度設定可能モードを選択していたことが分かった。

この51.5%の約半数が「おやすみ加湿」よりも高い60%と70%に設定していたという。この結果から同社では、「自分に合った加湿をしたい」「寝ている間もより快適に過ごしたい」というニーズがあると考えた。

就寝時、設定湿度が50%に固定の「おやすみ加湿」以外を設定しているユーザーが多かった

そこで、新製品では新たな設定モードとして「おやすみ快適」を搭載した。就寝時を大別すると“眠りにつくまで”と“眠りについてから”に分けられる。「おやすみ快適」では、この“眠りについてから”の湿度が選択でき、ユーザーは自分に合った設定湿度で快適な睡眠が得られる。

設定後の1時間は静音性を優先し、入眠後は静音だが設定湿度になるようにコントロール

ユーザーに好評の「カンタン取替えトレイカバー」を継続搭載

1,200mL/h(HD-LX1220。HD-LX1020は960mL/h)の高い加湿能力と加湿スピードや2019年モデルから採用した手入れが容易な「カンタン取替えトレイカバー」、給水時のタンクの持ち運びに便利な「タンクWとって」、抗菌加工なども継続機能として搭載している。

タンクの水を貯めるトレイに樹脂製のカバーをセットする「カンタン取替えトレイカバー」は、汚れたら取り替えることで手入れの手間が大きく省ける。アンケート調査では、ユーザーの81%が“手入れがしやすい”と回答している
給水タンクの下にも取っ手を付けた「タンクWとって」は両手で持ち運びができて、重量の負荷が分散される

ダイニチ加湿器の抗菌アタッチメントによる効果【ダイニチ工業公式】

「Ag+抗菌アタッチメントEX」はタンクキャップのアタッチメントから抗菌成分が水に溶け、タンク内の雑菌の繁殖を抑える

機能の横展開で各シリーズの新製品の機能充実を図る

また、「LXシリーズ」以外のシリーズの新製品も発売となったが、いずれのシリーズでも「LXシリーズ」に搭載されている機能が追加搭載されている。各シリーズを簡単に紹介しよう。

6Lタンクを2つ搭載し、約60畳のスペースにおいて45分で湿度を30%から50%にする加湿量の「HDシリーズ パワフルモデル」の新製品3機種(HD-154、HD-184、HD-244)には新たに「カンタン取替えトレイカバー」を搭載。

HDシリーズパワフルモデルはプレハブ洋室42畳・木造和室25畳までのHD-154、同50畳・30畳までのHD-184、同67畳・40畳までのHD-244の3機種で、カラーはホワイトのみ

洋室、和室を問わずインテリアともマッチするスタイリッシュなデザインの「RXシリーズ」の新製品には、「おやすみ快適」と「Ag⁺抗菌アタッチメントEX」を搭載した。

RXシリーズはプレハブ洋室8畳・木造和室5畳までのHD-RX320、同14畳・8.5畳までのHD-RX520、同19畳・12畳までのHD-RX720、同24畳・14.5畳までのHD-RX920の4機種。RX320は4色展開でRX520は3色、RX720と920は2色展開だ。写真はRX320でカラーはプレミアムブラウン

置き場所を選ばないホワイト基調のデザインが映える「HDシリーズ」は就寝時の設定モードがなかったが、新製品では「おやすみ加湿」機能を搭載した。「LXシリーズ」と「RXシリーズ」の従来機に搭載していた機能を「HDシリーズ」に搭載した形だ。

HDシリーズのラインアップは洋室8畳・木造和室5畳までのHD-3020、同14畳・8.5畳までのHD-5020、同19畳・12畳までのHD-7020、同24畳・14.5畳までのHD-9020の4機種。カラーはホワイトのみ

ダイニチの4~7月の出荷台数は前年の倍増に拡大

同社によると、「LXシリーズ」の2019年モデルは2019年度の売上計画に対して約170%の実績値となったという。また、2020年4~7月の同社の累計出荷台数は前年同期比約220%と倍増。加湿器本来の需要期は終わったにも関わらず、新型コロナウイルスの影響で需要は伸び続けているようだ。

店頭において加湿器は実演することが容易ではなく、機能の特徴やラインアップの違いなどがお客に伝わりにくい面がある。ダイニチの新製品で「HDシリーズパワフルモデル」を除くシリーズの最小運転音は13dB。このまま伝えてもお客は分からない。同社では「静かな公園の木の葉が触れ合う音よりも小さい」としており、これならお客は容易に静かさをイメージできる。

湿度の目安を分かりやすく伝えよう

また、温度と異なり、湿度のパーセンテージを示されても分かりにくい。これも目安を示すとよいだろう。同社はホームページで、
・就寝時や室内の結露が気になるときは → 50%
・乾燥が気になるとき → 60% または 70%
としている。
また、一般的に肌の乾燥予防には55~65%、インフルエンザウイルスの予防には50~60%と言われている。

このようにお客に説明することで、新搭載した「おやすみ快適」の湿度選択のメリットが伝わりやすくなる。形として見せられる「カンタン取替えトレイカバー」や「タンクWとって」は実際に取り外してお客に見せることが可能な機能だ。

「カンタン取替えトレイカバー」は通常使用での交換目安は1シーズン。取り付けなくても使用可能だが、その場合はトレイのお手入れが必要になる

同社のラインアップは、実は適用床面積で見ると非常に分かりやすい。適用畳数が被るのは「RXシリーズ」と「HDシリーズ」だが、「RXシリーズ」の「ターボ」や「おやすみ快適」に対して、「HDシリーズ」では「ターボ」が非搭載で、「おやすみ加湿」という運転モードの違いがある。

高気密住宅が増え、さらにウイルス予防として換気の重要性が広く知られるようになった現在、需要が増加している加湿器をしっかり説明して拡売していこう。