家電量販店の8月売上高は好調に推移 コジマは前年同月2桁増をキープ


新型コロナウイルスの感染拡大は、いまだに収束の気配を見せず、家電量販企業の店舗においても時折、感染者が報告されている。このような状況下で8月は全国的に気温が上昇し、猛暑日が続いた。家電量販店の8月の販売状況はどうだったのだろうか。

ケーズはパソコンが10カ月連続で前年同月クリア

ケーズホールディングスの月次速報による8月の売上高は前年同月比108.1%。前年同月は消費税増税の駆け込み需要が顕在化し、2019年8月は前年同月比で127.8%と伸長した月だった。これに対して108.1%とさらに売上高が伸びたということは、非常に好調だったといってもよいだろう。

猛暑によってエアコンは前年同月比114.1%とアップ。その他の商品に関しては前月よりも伸長が鈍化したが、クリーナーは同129.5%で、調理家電や理美容・健康器具も2桁増をキープ。パソコン・情報機器も114.7%で、前年同月実績クリアは10カ月連続。テレビも同じく10カ月連続で前年同月実績を上回っている。

ケーズホールディングスの2020年3月期売上高に占めるパソコン・情報機器の構成比は7.0%だったが、2021年3月期第1四半期では8.6%に伸長している

エディオンの8月売上は前月と同じ103.8%。2019年8月の売上高は前年同月比121.1%で、ケーズホールディングスと同様に、この121.1%に対して、さらに売上高が底上げされた。

コジマの年度売上高は速報ベースで前年比108.5%

コジマの8月売上高は前年同月比113.8%。5月から前年同月2桁増が続いている。コジマは8月が決算月で、POSデータの集計による速報値ではあるが、2019年度の売上高は前年比108.5%となった。

商品別でみると、8月のパソコン売上高は前年同月比123.8%で、年度では前年比133.8%と大きく伸長した。テレビも消費税増税の施行月である10月は前年割れとなったが、年度トータルでは前年比125.9%とアップ。洗濯機、冷蔵庫も年度ではそれぞれ前年比110.8%、113.7%と2桁増である。

コジマはサービスサポートカウンターを約50店に導入し、各種の設定や困りごとに対応している

新型コロナウイルスの影響で前年比2桁減のビックカメラ

2期連続しての減益が予想され、トップ人事が発表されたビックカメラの8月売上高は前年同月比88.5%で、2月から7カ月連続で前年実績を下回った。年度累計では前年比88.5%と前年2桁減である。ネット通販は大きく伸長しているようだが、ターミナル立地店舗が多数を占める同社にとっては、新型コロナウイルスの影響が甚大だったといえるだろう。

各社の月次売上高速報ではビックカメラグループのコジマとビックカメラの好不調が明らかだ

9月も半ばとなり、3月を決算期とする家電量販店にとっては残す半月でどれだけ売上高を上乗せできるかが重要だ。前年9月は消費税増税の駆け込みがピークを迎えた月で、ケーズホールディングスの2019年9月売上高は前年同月比160.5%、エディオンも同159.3%、コジマが同159.4%、ビックカメラも同149.8%と売上高を大きく伸ばした。時短営業やチラシ等による販促策の抑制など、十分な販売環境ではないが、ラストスパートに期待したい。