2020年度のヤマダHDの営業・経常利益は前年比倍増 ケーズHDは売上高や利益面で過去最高を記録


家電量販企業の2021年3月期決算が発表された。コロナ禍というこれまでに経験したことがない状況下で、当初の懸念とは裏腹に家電製品の需要は増加。密を避けるために各種のセールや販促展開を抑えた結果、販管費は抑制され、各社の実績は大きく伸長した。

ヤマダは8.7%増収で営業利益は140.2%の増益

ヤマダホールディングスの2021年3月期の連結業績は売上高が1兆7,525億600万円で、前年比108.7%と伸長。営業利益は920億7,800万円で同240.2%、経常利益は988億7,500万円で同214.6%、親会社株主に帰属する当期純利益も517億9,800万円で同210.5%。利益面では前年実績の倍増となった。

売上高を部門別でみると、家電販売および工事・サービスの売上高が1兆3,772億7,600万円で前年比103.4%。住宅・リフォーム関連が2,061億7,200万円で同138.1%、太陽光やGMS商材、AVソフト等は1,690億5,600万円で同129.4%。売上高に占める住宅・リフォーム関連のウエートは前年の9.3%から11.8%と増加している。

ヤマダホールディングスでは家具やインテリアも含めた幅広いSPA商品の展開を加速しており、売上高の12.6%、粗利益額の約23.5%がSPA商品によるものという。プロパー商品よりも粗利益率が高いとされているSPA商品が利益面に大きく貢献したようで、量はもちろんだが、より質を重視して各種の施策に取り組んできた同社の展開が実績として結実したといえるだろう。

各種の指標を見ても、経営面が改善されているのが分かる。粗利益率は29.7%で、前年から1.1ポイントの増加。売上高販管費比率は24.5%と前年から1.7ポイント減少し、営業利益率は5.3%で前年から実に2.9ポイントも改善された。経常利益率も同様に前年から2.8ポイント増の5.6%である。

2022年3月期は減少予想だが、組み換え前比較では増収予想

2022年3月期の連結業績予想は売上高が前年比96.2%の1兆6,860億円と減収予想で、粗利益や営業利益、経常利益も減益を予想。親会社株主に帰属する当期純利益は前年に計上した特別損失が減少することにより、前年比100.4%で微増の増益と予想している。

この予想については会計基準の変更によるところがあり、その影響額は売上高で約1,000億円。あくまで会計上の処理で、前年と同じ会計基準での予想は増収とのことである。

ケーズの既存店売上は前年比109.9%と伸長

ケーズホールディングスの2021年3月期の連結業績は売上高が7,925億4,200万円で前年比111.9%と2桁の増収となった。営業利益は同156.8%となる517億3,700万円。経常利益も同153.2%の567億4,700万円で、親会社株主に帰属する当期純利益は同179.9%の387億3,400万円。これらの実績はいずれも同社の過去最高額となっている。

既存店の売上高は前年比109.9%で、コロナ禍で同社が展開する郊外立地の店舗にとっては追い風となったという。商品別売上高ではクリーナーが前年比122.3%、テレビが前年比119.8%、パソコン・情報機器が同116.9%と多くの商品が2桁増となった。

また、コロナ禍で店舗を回っての買い回りや特売セールの実施が抑制されたため、粗利益額は前年比115.6%と上昇。折込チラシの中止などで広告宣伝費が前年71.3%と減少した反面、特別手当の支給等による人件費や商品売り上げの増加にともなう無料保証引当金と支払手数料が増加し、販売管理費は前年比107.5%となった。

業績好調を受けて中期経営計画を上方修正

2022年3月期の連結業績予想は売上高が前年比97.4%、営業利益が同86.0%、経常利益が同86.3%、親会社に帰属する当期純利益も同82.6%と減収減益を予想。これはヤマダホールディングスと同様に会計基準の変更による影響を反映したものだが、前年の巣ごもりやテレワークによる需要増加の反動という要素も含んでいるようだ。

同社では過去最高を記録した前年業績を踏まえて、2020年3月期から5カ年間の中期経営計画も見直して上方修正した。当初の中経では、中経の最終年度である2024年3月期の売上高を8,000億円、営業利益が450億円、経常利益は500億円、当期純利益を320億円としていた。今回の見直しでは売上高が100億円増の8,100億円、営業利益と経常利益がともに40億円増の490億円、540億円として、当期純利益も20億円増の340億円と修正した。

両社の業績を見ると、2020年度は家電量販店にとって気づきの年だったといえるのではないだろうか。その気づきとは、集客に不利とされていた郊外店のポテンシャルであり、多額の費用をかけていたチラシ広告の効果と必要性であり、生活における家電製品の価値などである。

2022年3月期がスタートしてから約1カ月が経過した。まん延防止等重点措置や緊急事態宣言などで、複数の地域では時短営業や休業を余儀なくされている。状況としては決して改善されたわけではないが、厳しい状況下でもしっかりと実績を出してきたことは今期の営業活動でも確実に活かされるであろうことを期待したい。