ケーズの7月売上高は前年同月比101.9%。上新電機は同99.5%


今年の7月は線状降水帯による集中豪雨が多く発生するとともに、新型コロナウイルスの新規感染者も急増。23日からはオリンピックが始まるなど、何かと慌ただしい月だった。この状況下で7月の販売はどうだったのか。ケーズホールディングスと上新電機の月次速報をみてみよう。

既報のとおり、POSデータの月次速報によるケーズホールディングスの第1四半期は前年同期比89.3%だった。これはあくまで速報値で、同社が7月の月次速報と同日に発表した第1四半期の連結決算で売上高は同96.1%(収益認識基準を前期にも当てはめて算出した場合は、同96.6%)となった。

会計上の売上高と速報値との乖離は、連結対象企業の売上高がオンされることと、商品の購入日と納品日で期がズレる“注残”によるところが大きい。同社の場合、今年の3月31日までに納品できなかった未配送商品は約180億円。これが4月1日からの第1四半期に計上されると同時に、受注したにも関わらず6月30日までに納品できなかった約170億円は第2四半期に計上されることになる。差し引きして約10億円が第1四半期のPOS売上高に加算され、前述の連結決算の売上高になっている。

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第1四半期連結決算における未配送の影響額は約10億円。前年の第1四半期は特別定額給付金や猛暑の影響により6月末での未配送額が280億円にものぼっていた

7月のエアコン売上高は前年同月の反動から149%と伸長

7月の月次速報による売上高は前年同月比101.9%で、前年実績をクリアしたのは3カ月ぶり。前年の7月も一昨年比108.7%と伸長しており、2019年7月比と比較すると売上高は2桁増となっている。

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第1四半期は反動増と反動減がみられたが、7月は前年実績をさらに底上げした

7月の売上高を商品別でみると、テレビは前年同月比101.2%。4月以来の前年同月クリアとなった。オリンピック視聴のために購入する層の増加はある程度予想されていたが、同社ではオリンピックが始まってからもテレビの販売は順調に推移しているという。

テレビのほかに主要商品で前年実績を上回ったのはエアコンで、前年同月比149.1%と大きく伸長した。しかし、前年7月は天候不順のために一昨年比74.4%と不調だったことも伸長要因の一つと同社では説明する。

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商品別ではテレビとエアコンが前年実績をクリアしたが、テレビは累計で前年同期比95.8%と前年割れ

4月からの累計で前年実績をクリアしている主要商品はエアコンのみで、新型コロナウイルスの新規感染者が過去最多を更新した都道府県もあることから全般的な販売状況は改善したとはいえない状況が続いている。同社でも「来店客数は前年の9割は超えていますが、元どおりではありません。オリンピックが始まってからはさらに減少しているようにも感じています」と話す。

同社では連結決算での上期売上高を前年同期比94.5%と予想しているが、4~7月の月次速報による累計では同92.7%。残り2カ月での底上げが重要といえよう。

月次速報を公表した上新電機の7月売上高は前年同月比87.5%

上新電機はこれまで月次速報を公表していなかったが、7月から公表すると発表し、4月からさかのぼって速報値をリリースした。これは主として投資家に対するディスクロジャーでタイムリーな投資判断の機会を提供することが目的とのことだ。

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上新電機は決算説明動画の公開やIRニュースのリリースなど、投資家に対する情報の公開に従来よりも積極的な姿勢を見せている

公表する売上速報はPOSデータに基づくもので、リアル店舗とEC、法人売上をまとめたものだ。公表している他法人と同様、数値はあくまでPOSデータによる受注で、会計上の売上高とは異なる。

4月からの売上高の推移をみると4月は前年を上回ったが、5月以降は前年同月を下回っており、他法人と同様の傾向だ。月次速報での第1四半期累計は前年同期比87.5%だが、連結決算では同90.9%となっている。

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前年の月次は非公表だが、5~6月は前年が好調だったことによる反動減と推測される

品種別として取り上げているのは6カテゴリー。このうち、パソコンはパソコン本体に加えてタブレットも含まれている。

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第1四半期累計と7月度をみると、携帯電話が前年同期よりも大きく伸長していることが分かる

テレビは4月が前年同月比106.1%だったが、その後の3カ月は前年割れが続いている。パソコンも今年度に入ってテレワーク需要自体が落ち着いてきたこともあり、厳しい状況のようだ。

一方で好調なのが携帯電話。4月は前年同月比200.8%と倍増で、6月こそ92.3%で前年実績を下回ったが、5月も7月も115%超。好調に推移しているといえよう。エアコンも第1四半期は前年8掛けだったが、7月は同135.2%と盛り返した。

第1四半期のEC売上は伸長し、売上高構成比は19.1%に

同社は連結決算の上期予想売上高を前年同期比88.2%とみており、かなり慎重なスタンスだ。連結決算での店頭販売は前年同期比89.1%だったが、ECは同109.5%と伸びており、売上高構成比は19.1%と前年同期から3.3ポイントアップしている。

スタッフの試用レポートやおすすめ製品の動画、独自の特集コンテンツなど、同社のECは高く評価されており、楽天市場でも楽天ショップ・オブ・ザ・イヤーの総合グランプリを受賞。また、4月からはバーチャルリフォーム店舗も開設し、現在は1Fのビルトインガスコンロと2Fのキッチンリフォームフロアが閲覧できる。ECの動向によっては予想を上回ることも十分に可能だ。

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バーチャルリフォーム店舗は全5フロアのうち、現在2フロアがオープン。年内に全館オープンが予定されている

同社ではこの8月から約20年間採用してきたスタッフの制服を一新し、店舗受取サービスやアプリ会員向けにキッズメンバーズサービスを開始するなど、店舗力の強化にも取り組んでいる。