既報のとおり、月次速報による7月売上高はケーズホールディングスが前年同月比101.9%、上新電機が同99.5%だった。さらにエディオンとビックカメラ、コジマも月次速報を発表したのでこの3社の販売状況をお知らせする。ビックカメラとコジマは8月が決算月。7月までの状況はどうだったのか。
エディオンの7月売上高は前年同月比99.7%
開催自体に賛否両論ある中でオリンピックが閉幕した。開催前はネガティブな意見も多く見られたが、競技が始まり日本の選手による金メダルラッシュという状況を受け、結果的には大きく盛り上がった大会だったといえるだろう。
オリンピック需要ということで、テレビの販売増が大きく期待されていた。しかし、昨年の7月が販売好調だったため、全体的にこの7月のテレビ販売は前年同月実績を下回った企業が多かったようだ。
エディオンの7月売上は前年同月比99.7%。4~6月の第1四半期累計が前年同期比92.7%で、上期累計では同94.7%となっている。
同社は商品別売上を四半期単位で開示しており、第1四半期は携帯電話とゲーム・玩具、住宅設備が前年同期実績プラスとなったが、テレビや空調、生活家電などは前年割れだった。前年の8月は一昨年同月比103.8%で、9月は同66.8%。新型コロナウイルスの新規感染者急増が深刻な状況下で8月は厳しい状況が考えられる。9月にどれだけ底上げできるかが重要だ。
11カ月の累計売上は前年同期比104.0%となったコジマ
コジマの7月売上は前年同月比90.2%。期末まで11カ月を経過した時点で累計の前年同期比は104.0%で、前年実績をクリアしている。だが、前年の8月は一昨年比113.8%と伸長した月だ。通期の売上高は前年比103.4%と予想しており、予想どおりとなるかどうかは、この8月の状況次第となっている。
7月の商品別ではエアコンと携帯電話が前年実績をクリアし、累計でもエアコンは前年同期比103.7%、携帯電話は同105.7%と伸長した。
テレビは5月から3カ月連続で前年同月実績割れだが、累計では前年同期比106.3%。洗濯機は6~7月が前年割れだが、累計では同101.9%と前年実績をクリア。冷蔵庫は3カ月連続で前年割れとなり、累計でも同94.0%だ。
現段階での商品別累計売上を一昨年と比較すると、テレビは同135.1%、パソコンも同127.5%、洗濯機は同113.1%。全店売上も一昨年同期比112.2%と2桁増で、一昨年より売上規模は拡大していることが分かる。
商圏や客層が固定されており、不特定多数の集客が期待できない郊外型店舗は都会のターミナル立地に比べて売上拡大が難しいと言われてきた。コロナ禍で風向きが変わり、顧客をしっかりと確保している郊外型店舗には追い風となっている面もある。だが、基本的に来店客数を増加させにくいという部分は変わっていない。
地域特性に合った展示提案やサービスを指向するコジマでは成長し続けるために、より顧客視点での売場づくりや展示演出、顧客へのソリューションに注力している。決算まで残すところ半月あまりで同社がどのような実績を挙げるか注目したい。
3Qは2桁増だったビックカメラの累計売上は前年同期比95.2%
ビックカメラの7月売上は前年同月比92.0%。累計では前年同期比95.2%である。開示している4つの商品セグメントすべてが7月は前年割れとなったが、累計では家電電化商品と情報通信機器商品が前年プラスとなっている。
ワクチンの接種が始まり、ターミナルや繁華街にお客が戻ってくると考えられていた。しかし、強い感染力を持つとされているデルタ株による感染が急増し、1日の新規感染者としては過去最多を記録したエリアも少なくない。特に関東、関西の大都市圏は深刻な状況だ。
ビックカメラのEC売上は拡大しているようだが、現実としては少なく見積もっても商品販売の7割以上はリアル店舗で購入されている。郊外型店舗を展開する企業のように出店を加速させることは難しく、なかなか打つ手が見出しづらい面は否めない。
同社では単体の通期売上を前年比102.7%と予想している。7月までの累計売上は先述のとおり、前年同期比95.2%。月次速報の売上高と会計上の売上高は異なるが、ラストスパートに期待したい。