コジマの8月売上高は前年同月比80.4%、ビックカメラは同79.6%


月次速報による家電量販店の8月売上高は既報のとおり、ケーズホールディングスが前年同月比81.7%で、上新電機が同79.6%、エディオンが同78.8%だった。月次売上を公表しているビックカメラとコジマは3社に遅れたが、このほど月次売上を発表した。8月は両社にとって決算月にあたる。あくまでPOSデータの速報値ではあるが、通期での動向はどうだったのだろうか。

POSデータによる月次速報でコジマの8月売上は前年同月比80.4%となった。全体的には前年同月の猛暑や需要増の反動が表れたと同社では見ている。次のグラフは年間の売上前年対比を時系列で表したものである。

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2020年5~8月は前年2桁増で推移した影響もあり、2021年5月以降の売上は前年割れとなっている

同社は8月決算で、上期は2020年9月~2021年2月で、この上期は前年同期比110.5%と2桁伸長だった。2020年3月は一昨年同月比89.0%と落ち込んだこともあって、2021年3月は前年同月比126.0%と伸長。2020年4月は一昨年同月比プラスだったが、2021年4月はさらに伸長して前年同月比105.0%だった。しかし、2021年5月からは前年割れの月が続き、下期は累計で前年同期比94.3%と前年実績を下回った。上期の貯金が功を奏し、通期の累計では前年比101.8%となった。

決算短信で通期の売上高は前年比103.4%と予想していたが、月次速報ではショートしたように見えるが、少なくともPOSデータでは前年実績をクリアしている。

8月の携帯電話売上は前年同月比106.5%で通期では105.7%と伸長

商品別の動向を見てみよう。主要商品として公表されている7商品の8月売上では、携帯電話が前年同月比106.5%と前年実績をクリアしたが、その他の商品はいずれも前年割れで、エアコンの8月売上は前年同月が猛暑で前年2桁増となったことに加え、天候不順や大雨の影響から同52.4%と大きくダウンした。

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公表以外の商品での8月売上では完全ワイヤレスイヤホンが前年同月比187.7%、除湿機が同128.4%、パソコン周辺機器は同104.3%と伸長したという

テレビは上期が前年同期比116.9%、下期は同93.7%で、通期では前年比104.4%と前年実績を上回った。エアコンは上期が同111.7%と2桁増だったが、下期は同88.5%。通期は同94.9%で前年実績を下回った。パソコン本体も上期は同100.5%と前年売上を維持したが、下期は失速し、通期では同93.3%となった。

営業本部の直下にEC事業部を新設し、ECを強化

同社は9月1日付けで組織変更を行った。これまで営業本部の下には4部門があったが、ここに「EC事業部」を新設して、EC事業部の直下に「EC管理室」と「EC企画室」を設けた。これまではECは営業企画・管理部の直下にEC事業室として置かれていたが、部署として独立した形だ。また、営業部の直下に「女性・Smile推進室」と「営業支援室」を新設した。また、営業企画・管理部の直下にあった「くらしの応援便室」も営業部の直下に移行した。

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経営企画部の直下には「新規事業開発室」と「サステナビリティ推進室」も新設された

今回の組織変更でEC事業部を独立させたことからも、ECをより強化していこうという姿勢が見える。また、リアル店舗での施策と関連した部署を営業部の直下に集約しており、これは売り場でのソリューションや提案力を向上して現場の力を高めようという考えと推測される。ECによる売上の拡大と地域密着での顧客固定化を2つの柱として、さらなる成長を図るコジマの真価が問われるのはこれからだ。

ビックカメラの通期売上は前年比93.9%

ビックカメラの8月売上は前年同月比79.6%と大きく落ち込んだ。前年の8月はどうだったかというと、一昨年同月比88.5%で、前年の反動というわけではない。本8月の落ち込みの要因としては、大都市圏で発令された緊急事態宣言の影響と天候不順と同社ではみている。

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この1年の推移を見ると、2021年3~5月の前年同月2桁増は、前年が大きく落ち込んだことによる反動増といえそうだ

上期は前年同期比88.8%と低迷し、下期は100.1%と盛り返した。この結果、通期では同93.9%となった。一昨年の通期は前年比88.5%だったため、2021年は一昨年比で83.1%と売上規模は縮小している。

提案・体験型売り場の導入やEC、法人営業の強化、PBの拡充、新規出店や店舗の再編など、さまざまな施策を講じてきたが、コロナ禍で集客力が低下した店舗の売上を底上げすることはままならなかったといえる結果だ。

各カテゴリー別の売上推移は次のグラフのとおりだ。

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家庭電化商品の下期は前年実績をクリアしたが、8月の売上が伸びず、通期では前年比99.0%と前年割れ。情報通信機器は同100.1%で前年並みとなっている

中間決算時に発表した2021年8月期の単体売上高予想は前年比102.7%。新型コロナウイルスの第5波という想定外の事態により、決算は予想よりも下振れするのではないかと見られる。

組織変更で機敏性と革新性を持った経営戦略を推進

2021年9月からは経営戦略-経営企画本部、経営管理-経営管理本部、事業推進-ロジスティクス本部とマーケティング本部、内部統制-内部統制本部の4部門5本部制に変更。マーケティング本部の直下にチャネル戦略開発部を新設し、店舗以外の新規チャネルを開拓していく。

ターミナル立地のメリットが逆にデメリットとなる状況が当分続きそうだが、この先はポスト・コロナではなく、ウィズ・コロナとして対応していく必要がある。ビックカメラがどのような手法で売上を元に戻していくか、その手法に注目していきたい。