いよいよ国内販売開始 TCLのQLEDテレビとは
QLED搭載テレビは低コストで広色域を表現
TCLが日本法人のTCLジャパンエレクトロニクスを設立したのは、2015年9月のことだ。4年を経ての国内本格参入となるが、本国では1981年に創立した老舗メーカーであり、テレビ出荷台数は2018年に2,861万台で世界第2位のポジションを占める。
TCLジャパンエレクトロニクスの李 炬(リキョ)代表取締役社長は、「日本市場は製品の品質、流通、規格などにおいて、他国の市場よりもハードルが高い。だが、困難な市場だからこそ、サプライチェーンを活かしながら競争力を更に高められる。日本市場は世界の頂点に立つためには避けて通れない市場であり、QLED搭載4Kスマートテレビで挑戦したい」と語った。
QLEDという言葉が耳慣れない読者も多いだろう。QLEDの「Q」は、量子ドット(Quantum dot)と呼ばれる半導体結晶を指す。量子ドットは光の色変換効率が高く、シート状にしてパネルに組み込むことで、鮮やかな画面を低コストで実現できる。
また、ディスプレイ直下に15,000個のミニLEDライトを搭載し、最高ピーク輝度は1,500nits。画面のLEDを768個のゾーンに分け、個々で細かく制御するローカルディミングによって、風景の奥行き感や素材の質感をリアルに再現する。HDR/HLG規格やDolby Visionにも対応。毎秒120コマの倍速駆動(120Hz)により、スポーツやアクション映画などの動きの速い映像でも残像感の少ない描画が可能だ。
3シリーズ7機種をラインアップ
X10のほかに、65V型/55V型の2モデルで展開するC8シリーズ、65V/55V/50V/43V型の4モデルで展開するP8シリーズもラインアップする。いずれもAndroid TV 9.0を搭載し、WebサイトやYouTubeなどの動画サイトが見られる。
X10、C8、P8のすべてが4K対応だが、内蔵チューナーは地上・BS・CS110度デジタルを2系統備え、4Kチューナーは搭載しない。4Kチューナー内蔵モデルは現在開発中で、同じく現在開発中の8K対応モデルとともに来年には発売したい考えだ。
日本市場に根付くべく地道な足場固め
TCLジャパンエレクトロニクスでは、TCLブランドを国内で浸透させるために、まずは若年層へのアピールに注力するという。同社は昨年からネイマール選手をグローバルスポークスマンに起用しているが、スポーツやエンターテインメントなどの分野だけでなく、若者とコミュニケーションできるチャネルには投資していきたいと語っている。
流通での取り扱いは、8月末時点でヨドバシカメラ、ビックカメラ、Amazon.co.jpを挙げる。展示スペース確保の努力をしつつ、ラウンダーの採用も進め、販路拡大のために量販各社と商談中だ。今後はヘッドホンなどのAV機器や白物家電でも、国内市場に参入したいと意気込む。
国内ではまだブランド認知の低い同社だが、日本語を含む12言語で24時間対応するコールセンターをすでに国内に開設している。修理センターも設置し、全国79カ所に出張拠点を持つなど、迅速なアフターサービス体制を心がける。同社では販売目標として、2020年までに2%、2021年には3%のシェア達成を掲げる。世界第2位の企業でありながら、一歩ずつ足場を固める姿勢からは、日本市場に確かな存在感を示そうという覚悟が感じられる。今後の展開に注目したい。