フリマアプリの不正利用による「Paidy」決済を悪用した詐欺行為が発生し、取引を一時停止 被害額については「Paidy」が全面的に補償し、再発防止対策を検討


携帯電話番号とメールアドレスのみの入力で、オンラインショピングで後払い決済ができる「Paidy」。フリマアプリで取得した情報を不正に使い、従来はなかった、この新しい決済サービスを悪用した詐欺行為が発覚。「Paidy」はリリースを発表するとともに、不正防止策の見直しを行い、対応を講じると報じた。

2019年11月から家電量販のECサイトでも「Paidy」を導入

クレジットカードがいらず、携帯電話番号とメールアドレスのみの入力で、オンラインショピングで後払い決済ができる「Paidy」は2014年にサービスをスタート。昨年11月からビックカメラ.comやヤマダウェブコムでも加盟店契約を締結し、「Paidy」サービスを提供していた。

昨年12月に開催されたプレスセミナーの時点では「Paidy」を利用したアカウント数は約300万口座、加盟店数は70万店という。日本のEC市場が諸外国と比べて、その成長スピードが遅いのは、オンラインサイトにおけるセキュリティ面の不安や初回のオンラインショッピングにおいて約半数を占める代引きの手間などを顧客が感じているからであると同社では解説していた。

ユーザーはオンラインショッピングにおいて、セキュリティや代引き決済に課題を感じている

企業サイドにとってもECをさらに推進するためには、クレジットカードを持たない新規顧客の開拓や支払い遅延による回収リスク、代引きの受け取り拒否や不在による商品キャンセルなどのハードルがある。

代引き決算では約2.3%の返品率があり、さらに決済画面での離脱や支払い遅延も企業サイドにとってはリスクとなる

この利用客と企業、双方の不安や手間を解消するのが、「Paidy」の決済サービスだ。顧客が「Paidy」の決済サービスを利用する際に必要なのは、携帯電話の番号とメールアドレスのみ。しかも支払いは翌月払い。企業にとってもクレジットカードを持たない顧客へのリーチとともに代引き時の不在によるキャンセルや決済時点でのサイト離脱を防ぎ、回収リスクについても「Paidy」が100%支払い保証をしている。

これまでの「Paidy」は主にアパレルのオンラインショッピングがメインだったが、さらにその対象カテゴリーを拡大させようと考え、昨年から家電量販チャネルやAmazonでもサービス提供を開始した。

「Paidy」は携帯電話番号とメールアドレスのみの入力で、翌月払いができる

フリマアプリを利用した詐欺行為が発生

今回、「Paidy」を悪用した詐欺行為はフリマアプリを踏み台とした、いわゆるなりすましによるもののようだ。フリマアプリを利用した購入者が出品者に代金を振り込んだにも関わらず、ECサイトから購入者に商品が届いたことで、フリマアプリで取得した情報を不正に使い「Paidy」を悪用したことが判明。「Paidy」の大きな特長である入力情報の簡素化と後払いが悪用された形だ。

「Paidy」ではこの事態を受け、関係各社と連携を取って対応するとともに、詐欺に関する被害届を警察に提出する予定という。また、再発防止対策を講じるために悪用の懸念が高い取引に対して、「Paidy」サービスの一時的な制限や停止を実行。対応が終了次第、サービスを再開する考えだ。

オンラインショッピングにおいて決済時の手間を省き、お客と企業の双方に大きなメリットをもたらす「Paidy」で、このような事案が発生したのは、非常に残念としか言いようがない。対策としては、現在の入力情報に加え、本人確認情報の付加を検討しているようだが、家電のオンラインショッピング普及拡大のためにも早期の再開に期待したい。