次亜塩素酸水を正しく啓蒙する組織
次亜塩素酸水は、ウイルス・細菌・真菌まで、広いスペクトルの微生物に対して有効性が認められ、経口毒性が低いことや、瞬時に不活化して引火もしないなどの安全性の高さもあって、エタノールなどに代わる除菌剤として期待の高まる水溶液だ。特に6月には製品評価技術基盤機構(NITE)によって、有効塩素濃度35ppm以上で新型コロナウイルスにも効果があると認められたことで急速に注目されるようになった。
ただ、次亜塩素酸は非常に不安定な化学的特性を持つ物質であり、安全で効果的な運用には正しい製造と使用方法が求められる。昨今は間違った情報も多く飛び交い、誤解のある商品や効能の怪しい商品も出回り、消費者は正しい情報を問い合せる先もないなど、消費者が安心して選別・使用できない状況となってしまっている。
たとえば次亜塩素酸水について、世間で誤解される原因の多くは、家庭で広く利用されている次亜塩素酸ナトリウムを用いた洗剤の存在だ。これらの洗剤は、多量の苛性ソーダを含み、高い漂白能力も持ち、塩素ガスの発生や皮膚刺激性があるため、次亜塩素酸水と混同して使用すると大変危険である。次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムは、殺菌の主体はどちらも次亜塩素酸でありながら、安全性や効能には大きな差があるのだ。
次亜塩素酸化学工業会の設立の背景には、こうした市場環境の混乱がある。同工業会では、次亜塩素酸水の正しい知識を研究して広め、製品ごとの規格基準や運用ルールを定義し、適合する製品は認証マークを付与、消費者の正しい選択を支援していく。また、経済産業省、厚生労働省、消費者庁などの行政機関と連携して、関係法令の改正を促すことも視野に入れながら、正しい普及・啓発活動に取り組んでいくという。
設立に当たっては、法令を順守する次亜塩素酸水およびその製造装置を取り扱う企業が中心となった。次亜塩素酸化学工業会の英文表記は、Hypochlorous acid Chemical Industrial Association。略称は「HCIA」となる。所在地は、東京都豊島区池袋2丁目63番地4 山ノ紀ビル2階。代表理事には、ピュアソンの石田智洋専務取締役が就任する。ウェブサイトは準備中だ。
発足時の参加企業は、ピュアソン、東京メディカルテクノロジーズ、パークス、フジパスク、光と風の研究所、オプテック、テリオステック、グリーンウェル、サモア、シナプテック、Renafine、大阪ソーダの12社。オブザーバとして、三重大学大学院 生物資源学研究科の福﨑智司教授と、エフシージー総合研究所取締役 暮らしの科学部の川上裕司部長が参加する。
次亜塩素酸水生成剤と水道水から次亜塩素酸水を生成して空間噴霧
次亜塩素酸化学工業会の設立記者会見に合わせて、参加企業の1つであるグリーンウェルの新製品の発表も行われた。グリーウェルは高品質の非電離型微酸性次亜塩素酸水生成剤をタブレット化(錠剤化)し、特殊な包装技術によって包装未開封で最大3年の保存を可能にした「ジアグリーン」を開発、販売するメーカー。
これまでも、容量500mlの水に1錠投入することで、有効塩素濃度200ppmの非電離型微酸性次亜塩素酸水が生成できる「ジアグリーン タブレット500」と、容量5Lの水に1錠の投入で有効塩素濃度100ppmの非電離型微酸性次亜塩素酸水が生成できる「ジアグリーン タブレット5000」の2製品を販売してきた。
今回新たに投入するのは、いずれも水道水とジアグリーンを用いて、次亜塩素酸水を空間噴霧する噴霧器。自動車などの密閉に近い空間用のポータブルな小型噴霧器「Confort(コンフォルト)」と、家庭のリビングや会議室などで利用する約20㎡用の卓上型噴霧器「Coffret(コフレ)」の2製品だ。また、店舗やサロンなど約50㎡用に適した床上設置型噴霧器「Plancher(プランシェ)」もデザインなどをリニューアルして販売する。