ビックカメラの第3四半期は増収増益で営業利益は前年同期比倍増
ビックカメラの売上高は2.5%増で営業利益は102.5%増
ビックカメラの2021年8月期第3四半期連結の累計売上高は前年同期比102.5%の6,364億3,400万円。営業利益は161億6,200万円で同202.5%、経常利益は184億1,800万円で同184.9%と利益面が大きく伸長した。
連結子会社の日本BS放送(個別)では広告収入が堅調に推移した結果、累計売上高は前年同期比103.5%、営業利益が同120.0%、経常利益も同123.8%で増収増益となっている。
商品別売上高では季節家電が前年同期比130.6%、洗濯機が同111.4%、冷蔵庫が同106.8%と伸長し、家電電化商品セグメントの売上高は同107.9%と拡大した。
コジマは2桁増収で営業利益率は前年同期から1.3ポイントアップ
もう一つの連結子会社であるコジマの第3四半期累計も増収増益で推移している。売上高は前年同期比111.0%で、営業利益は同195.2%、経常利益も同188.0%と好調だ。
コジマは郊外型立地で地域密着型の営業を推進しており、コロナ禍で郊外型店舗に追い風が吹く中、好調さをキープ。ビックカメラの商品別連結売上高の冷蔵庫や洗濯機、調理家電、季節家電はコジマの売上高が50%以上を占めている。
売上高の前年同期比を四半期ごとに分解したのが下の図である。
新型コロナウイルスの感染拡大が顕在化したのが、2020年1月。上記のグラフでは20.2Qの時期だ。ここからビックカメラとコジマの売上高には差が生じるようになった。ビックカメラは連結のため、単体での比較ではさらに差が開いていたことが想像できる。
2021年8月期の粗利益率は28%台で推移
以下は四半期別の粗利益率を表したものである。両社とも20年8月期以降、粗利益率は前年よりも上昇傾向にある。
両社とも8月が決算月で、各四半期に該当する月が3月決算企業と異なる。1Qは9~11月で、2Qは12月~翌年2月、3Qは3~5月、4Qは6~8月である。コジマの直近4年間の推移をみると、四半期の中で最も粗利益率が高い期は4Qで、最も低い期は2Q。20年8月期を参照すると分かるが、期初の1Qは年度での粗利益率とニアイコールの数値で、2Qになると大きくダウンし、そこから3Q、4Qと高くなっていくという図式だ。
冬は粗利益率が低く、夏は高くなるというのがコジマの傾向といえよう。だが、これはあくまでコジマの傾向であって家電量販企業共通ではない。例えばヤマダホールディングスの粗利益率は3Qが最も高く、ケーズホールディングスは4Q、エディオンは1Qか2Qと各社によって違いがみられる。連結業績のため、家電販売以外の要素も関係しているし、企業としての戦略の違いも関係しているものと推測される。
次のグラフは粗利益率の増減を四半期ごとで前年同期比較したものだ。2021年8月期の粗利益率は上昇基調で推移していることが分かる。通期の粗利益率はコジマが28.4%、ビックカメラは連結で27.9%と予想しているが、先述の傾向どおりの進捗であれば、この予想値に対して上振れとなりそうだ。
第3四半期累計での販管費はコジマが前年同期比110.9%と2桁増で、ビックカメラは連結で102.1%。両社とも販管費は増加している。しかし、コジマの場合は販管費の伸長率よりも増収率が高く、売上高販管費比率としては前年同期とほぼ同じ。ビックカメラは前年同期から0.1ポイントのダウンとなっている。
ビックカメラの営業利益は通期予想の91%まで到達
以下は四半期ごとの営業利益率を時系列で示したものである。
ビックカメラの20.2Qは営業赤字になった期だが、徐々に改善されつつある段階だ。コジマは直近の21.3Qの営業利益率が前年の第3四半期を下回ったのが気になるところである。
両社の決算月まであと1カ月半。売上高と営業利益の通期予想に対する進捗状況は、コジマが売上高で75.5%、営業利益が76.8%。通常であれば夏商戦で販売増が期待できるのだが、今年の夏は予想が難しい面もある。一方、ビックカメラの進捗状況は売上高が73.5%で底上げが必要だが、営業利益は予想額の91.3%まで達しており、予想をクリアしそうだ。
ビックカメラでは改めて女性客を誘引するために「B-lifeデザイン室」を設けて女性視点での売場づくりを進めている。コジマでは売り場で販売員による実演動画を導入するなど、両社とも店舗力の強化に取り組んでいる。コロナ禍ではさまざまな制約があり、時間がかかる面もあるが、取り組んだ成果がどのような形で結実するか、8月期の決算に期待したい。