プレゼントにも最適!フェイスケア家電の最新事情


フェイスケア家電の市場の動向

GfK Japan※1によると、15年度のフェイスケア関連家電※2の販売動向は前年比で数量が115%、金額では137%だった。数量、金額ともに二桁増、単価アップと好調に推移している。

フィリップスは、フェイスケア家電の中でも洗顔器と美顔器の需要が伸びていると指摘。同社はこの2カテゴリが今後も伸長し、フェイスケア家電の核になると予測している。今後の市場動向においては、伸長基調を楽観視できない要因がある。インバウンド需要の変化だ。年初からの円高の影響や中国人旅行者の日本での観光スタイルの変化などで、インバウンド需要がひと段落したとみる流通関係者は多い。

理美容家電はインバウンド需要が高い商品。特に都市型店では、黙っていても売れるという状況だった。しかし、インバウンド需要の変化により、今後は日本国内の女性に向けた訴求をさらに強化するのが肝要だ。

※1 「全国有力家電量販店の販売実績集計」
※2 スチーマー、洗顔・ボディブラシ、美容器、アイラッシュカーラー等

日本人女性の美容行動が停滞気味

現代の日本人女性の美容への意識と行動は、パナソニックが独自に行った調査や各メーカーへの取材から、下記のような傾向があることが分かった。

①美容「意識」は継続して高い
②美容「行動」は大きく低下
(特に20~30代のママ世代が顕著)
③メイクの意識は上昇しているが、スキンケアの意識は低下
…本質的・長期的な努力より、対症療法的なケア方法を選択
④メイクを始める時期の低年齢化により、20代前半の女性の美容への意識が高い

①~③母親層や20代後半以降の女性は、美しくおしゃれでありたいという意識は高いが、積極的に肌ケアをするのは面倒だと感じているようだ。結果的に、不十分な肌ケアによって悪化した肌の難点を、メイクでカバーするという行動パターンになっている。

このような要因の一つに、働く女性が増えたことによる労働疲労、ネットやラインアップの拡充による情報疲労があるという。

十分な肌ケアをしていれば素肌を美しく保つことが出来るので、ベースメイクや肌の不調を隠すメイクの時間や手間を大幅に減らすことが出来る。自信も生まれる。

④20代前半の女性は高校生くらいから日常的に化粧をしている人が多く、肌への関心が高い。加齢や自然環境から受ける物理的ストレス、労働や育児による精神的ストレスの影響が出る前に、早めのケアをする傾向が強いという。

本筋とは逸れるが、昨今の消費者傾向として、男性の美容への興味の高まりは見過ごせない。恋人や家族の使っている美容家電を一緒に使う男性が増えているのだ。

店舗での訴求方法

前述のように日本女性の美容行動は鈍化している。これはフェイスケア家電を店頭で販売するうえでの最大の課題点だ。

図表1を見ると、日本人女性が現在使用している美容機器のうち、洗顔と美顔のカテゴリでは、手動で行っている人が多い。この部分の人たちを電動機器へとシフトさせることができれば、市場はさらに伸長するだろう。現在手だけで肌ケアしている人に電動での肌ケアの魅力を伝えることで、潜在需要を獲得したい。

電動の利点は、例えば泡立て。きめ細やかでボリュームたっぷりの泡によって汚れ落とすというのが現在の洗顔の基本となっているが、自宅で泡立てネットなどを使って手動で泡を作る場合は、根気よく5分程度泡立てに専念しないと洗顔に効果的な泡は作れない。電動ならば機械が洗顔に最適な泡を作ってくれるのだ。

このように、肌ケアの工程一つひとつに、手ではできない電動ならではの利点がある。電動機器は時短と効率性を兼ね備えることができる。電動は大掛かりというイメージをどうしても払拭できない人には、休日だけのスペシャルケアという訴求も効果的だろう。

フェイスケア家電を店頭で訴求する際、顧客のニーズに応じるため、特に下記二点に注目したい。

1.実際の使用感を伝える

家電量販郊外店Aの販売員は、お客が求めている情報は体験談だという。理美容家電コーナーに訪れるお客のほとんどがネットで商品情報と口コミをチェックしており、ある程度の知識は蓄えてくる傾向が強い。

商品スペックや使い方はメーカーのサイトを見れば信頼できる情報が手に入るが、ネットでの口コミはどんな人が書き込んだかわからないので、鵜呑みにしている人は多くないという。

店頭での最大の強みは、顔を見て接が受けられること。販売員は自身や家族、同僚の実際の使用感を顧客に積極的に伝えたい。ネットよりもリアルで体験談を聞きたいと思っている人は多いのだ。

2.機器使用後の楽しみを伝える

フェイスケア家電市場は単価アップをしている。顧客が最上位機種を求める傾向が強いことが一因のようだ。

お客は最大限の効果を求めている。その効果とは、前述のように、化粧でごまかさないで済むような肌本来の根本的なケア。店頭では、最上位機種は下位機種にない豊富で効果的な機能が搭載されていることを訴求し、単価アップを目指したい。

その他、店頭では、ネットでの情報過多に対応するために機種ごとの違いを整理して伝えるということも大事だ。

また、プレゼント需要や、一台を家族で一緒に使うことも踏まえ、図表2や3のような年代別・季節ごとの肌特性をパネルなどにして貼り出すと参考になるだろう。肌は個人差が大きいが、目安になる。